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武瑠によるソロプロジェクト・sleepyhead、3月にEP『meltbeat』をリリース 初の全国ツアーも決定

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武瑠によるソロプロジェクト・sleepyheadが、2019年3月13日に2nd EP『meltbeat』をリリースすることと、EPを引っ提げた初の全国ツアーを行うことを発表した。

この商品の完全受注限定盤には、「meltbeat」ミュージックビデオとそのメイキングやドキュメンタリー、ライブダイジェストなどを収録したDVDをはじめ、武瑠デザインによるmillion dollar orchestraとのコラボBluetoothイヤフォン、ツアー全公演各会場にて終演後のハイタッチ会に参加できる“夢想通貨”が付属するという。

また、この作品を引っ提げた初の全国ツアー『sleepyhead LIVE TOUR 2019 meltbeat』では、渋谷eggman公演を皮切りに全国8都市10公演を行う。初の試みとしてU-18割引チケットを導入するなど、これまでライブに訪れたことのないファンにも参加しやすいツアーとなっている。詳細は公式サイトをチェックしてほしい。


BUCK-TICK、2019年5月に幕張メッセ2DAYSが決定 ワンマンでは初

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BUCK-TICKが、2019年5月25日(土)26日(日)に、幕張メッセでワンマンライブ『ロクス・ソルスの獣たち』を開催することを発表した。

これは、12月29日に日本武道館で行われたワンマンライブ『TOUR No.0 -FINAL-』の終演後に発表されたもので、BUCK-TICKが幕張メッセで単独公演を行うのは初となる。チケットの抽選受付は本日よりスタートしているので、詳しい情報はオフィシャルサイトでチェックして欲しい。

MOROHAアフロの『逢いたい、相対。』第十一回ゲストは北島康雄(四星球) 北島康雄が抱える孤独

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MOROHAアフロの『逢いたい、相対。』第十一回目のゲストは四星球の北島康雄。音楽から滲み出る、ものすごい剣幕で観客を黙らせるMOROHA。片やコミックバンドの看板を掲げ、観るものを笑いの渦へ巻き込み、会場中を踊らせる四星球。対照的に見える2組がどうして親交があるのか。それは本編で「笑いに使う筋肉と、シリアスな方に使う筋肉は別だと思います?」というアフロの質問に、北島が「表裏一体」と答えた通りである。シリアスと笑いは≒。だからこそ両者は認め合っているのだと、今回の対談で明らかになった。対談後、北島が「うわぁ、喋りすぎた」と照れくさそうに言った。世間に見せる四星球・北島康雄の仮面をアフロが剥がしていく様子は見ものである。——2019年2月4日に行われるMOROHA自主企画「月金でギンギン!~職場の死神背負って来い~」の2マン前に是非とも一読いただきたい。

●「見てくれを気にしないぜ」という自我と「気にするぜ」という自我●

北島:(竹原)ピストルさんとの対談で「紅白で譜面台を置いてたのはどうしてですか?」みたいな質問をしてたやん。かなりガチな企画やなと思った。

アフロ:そうですね。

北島:聞きたいことを聞いてるんや。

アフロ:この連載はそうですね。だから昨日の夜、俺は寝れなかったっすもん。

北島:よう言うわ(笑)!

アフロ:逆に「なんか聞きたいことあったかな」って。

北島:質問を絞り出さなって。

アフロ:でもね、今日は張り切ってZOZOスーツで来られて(笑)。それドットがついてるから、そうでしょ?

北島:お前なんやねん(笑)。

アフロ:アハハハハ。今は遠征で東京に来てるわけじゃないですか。それでも、こうやってオシャレな格好でキメてるじゃないですか。荷物が減って楽だから上下ジャージで行こう、にならないんですね。

北島:うぅ……まぁ……あの、僕に服の話する(笑)?

アフロ:(北島)康雄さんがオシャレなことに対して、みんな突っ込まないじゃないですか。この日のために四星球のインタビューも読んできたんですけど、誰もバンドの核でもある「康雄さんがブリーフを脱いだらオシャレ」という問題を取り上げてなくて。

北島:いや、それは恥ずかしい話や。「僕がなぜオシャレをするか?」っていう(笑)。

アフロ:なんでオシャレなんですか?

北島:「なんでオシャレなんですか?」とか「オシャレっすよね」とか、その話題を振られたら恥ずいやん。だから、ちょうど良い答えを用意してて。

アフロ:はいはい、なんですか?

北島:「オシャレか分かんないっすけど、服は好きですね」って。

アフロ・北島:アハハハハ! 

アフロ:いや、そういう大喜利大会じゃないんすよ! 一応、本質に迫っているつもりですよ。結局、洋服は自我の表れだったりするじゃないですか。「見てくれを気にしないぜ」という自我と「気にするぜ」という自我って、大体同じところにある気がするんですよね。

北島:確かにアフロの言ってる「気にしてる」と「気にしてないぞ」は≒な気はしてて。等身大と言うてるヤツはおかしいよな。

アフロ:そうなんです。四星球の音楽を聴くと「洋服なんてくだらねえ。パンツ一丁でいくんだ」という風に見えるじゃないですか。だけど、その康雄さんはいつも洋服に気を遣っているという。

北島:小学生の頃から服は好きやって。そのままズーッと来てて、途中からバンドが入ってきただけで。

アフロ:服を好きな康雄さんがバンドの会議で「はっぴとブリーフでいきましょう」となった時に「いやいや、待ってよ!」とならなかったですか?

北島:それは僕が言ったから、それは全然別。

アフロ:じゃあ洋服に関して言えば、オンとオフなんですね。

北島:そこまで考えてないよね。子供の時から父さんのMA-1を着るような感じやったから、着たいもの着てるだけ。洋服の「着たいことを着てる」がバンドでは「やりたいことをやってる」に近いかもしれへん。

アフロ:例えば、オシャレなバンドを見て羨ましくならないですか? 「ステージの上でカッコつけてこそなのにな」って。

北島:全然ないな(笑)。それは音楽あってこその格好やん。

アフロ:目立ちたがり屋だったんですか?

北島:目立ちたがり屋やった。

アフロ:洋服もその一環だったりします?

北島:それは違くて、姉ちゃんの影響が強いかもな。弟は姉ちゃんに眉毛をいじられたり、好きな服を着させられたりするやん? その影響かもしれん。

アフロ:俺も姉ちゃんに白いタンクトップを着させられて、極太のキーチェーンをぶら下げさせられて(笑)。『池袋ウエストゲートパーク』の大ブーム時期に俺のことをキングにしようとしたんです。

北島:アハハハハ! 丸顔のキングに!

アフロ:アハハハハ……あ、(机に置かれた牡蠣を見て)これって醤油かけた方がいいですか?

大将:お好みで大丈夫です。

アフロ:うぅ〜どうしようかなぁ。

北島:(黙ってアフロを見つめて)……牡蠣に醤油をかけるか気になる程度の会話でしかなかったってことや。僕の服の話なんて。

アフロ:いやいや(笑)。先にお伝えしておくと、明後日(12月16日)がZepp Tokyo(『単独』)なんですよ。こんなしょうもない会話してる場合じゃない!

北島:しょうもない、言うな!

●「好きという言葉を気軽に言わないんだよ」って知っといてもらわないと。誰にでも「好き」と言ってたら、本当の時に伝わらない●

アフロ:康雄さんをいつ呼ぼうか、ずっと考えていたんですよ。この連載が始まった早い段階から。しかるべきタイミングがあるはずだ、と溜めてて。ここで呼んだのは、Zepp Tokyo直前は緊張するだろうなと思ったから……。

北島:和ます要員として(笑)。とにかく、MOROHAはZepp Tokyoまでいったんやね。登っていくのが好きやんな?

アフロ:メジャーと仕事をすると決めた時点で、狙いは登っていくことでしたからね。多くの人に聴いてもらってハッキリと嫌いな人には嫌われたい。

北島:MOROHAを嫌いって言うヤツおるの?

アフロ:いますよ。

北島:アフロは自分から嫌われようとしてるフシがあるやん。

アフロ:俺、大体が嫌いなんですよ。そんな人間だから人からも嫌われてるんです。こっちが嫌っているのに、向こうが好いてくれるわけないっすもんね。康雄さんは嫌いな人いないでしょ?

北島:嫌いな人はおらんけど、興味の有り無しがハッキリしてて。無愛想じゃないけど顔に出ちゃうことはあるかも。

アフロ:その感覚を持ってる人が、どうして以前「アフロ、ちゃんと愛想よくしなきゃダメだろ」と言ったんですか。

北島:あれは年下の子が挨拶に来てたからやん。

アフロ:年齢関係ないじゃないですか。

北島:これは良い機会やから言うわ。絶対に載せてほしいんやけど、「聴いてください」と持ってきてくれたCDの上に自分のタオル乗せて「タオル置き」にしたらあかんわ。

アフロ:いやいや、机の上にCDを置くじゃないですか。だけど机のことを「CD置き」って言わないでしょ?

北島:アハハハハ、机やもんな(笑)。

アフロ:タオルはタオル。CDはCDですから。

北島:だけど上に置く必要はないやん。むしろタオルの上にCDを置こうよ。

アフロ:逆に、タオルの下に置くことでCDを忘れないんですよ。

北島:おじいちゃんか!

アフロ:それを言い出したら大変ですよ。もらった名刺をポケットに入れちゃダメとか、いろいろとマナーが細かいじゃないですか。本当にそれ気にする?と思って。

北島:気にせんけど、CDの上にタオルを置かれたら嫌かな。

アフロ:何がいけないのか分からないけど、康雄さんが「タオルあかんやろ!」と言うからタオルを退けましたよ。

北島:CDの話と繋がるんやけど、年下の子がMOROHAの楽屋へ挨拶に来る空気めっちゃ好きやな。アフロもUKもパブリックイメージは怖い人というイメージがあるやん。

アフロ:そうですかね。

北島:しかも「じゃあ、またどこかで対バンしましょう」とか言う人おるけど、アフロは一切言わんやろ?

アフロ:言わないっすね。

北島:毎回、CDを渡した人たちは「イメージ通りの人やったな」と帰っていくよな。大体は「案外、接しやすい人やったな」と思って帰るのが普通やけど。アフロのところへ来る人は緊張の面持ちで楽屋を訪ねて、その緊張のまま帰っていくのが僕は見ててすごい気持ちええ。

アフロ:康雄さんね、ダメだよ。興味ないのに「良いね」とか言っちゃダメ。それは、その人達のためにならない。30歳で音楽を辞めたら、まだ就職先あるけど「康雄さんに「良い」と言ってもらえたから、俺たちはまだ出来るんだ」って一生懸命に続けて。気付いたら40歳になってて、その時に辞めようと思ったら大変よ。康雄さんはそういう立場なんだから。優しい一言でバンドを続けるかどうかを決めちゃうんだよ。

北島:それを気にして動いてるんや?

アフロ:俺はそういう風にしなきゃいかん、と思う。あと「自分は好きという言葉を気軽に言わないんだよ」って知っといてもらわないと。誰にでも「好き」と言ってたら、本当の時に伝わらないじゃないですか。だから大事にしてますね。だけど、康雄さんはみんなに優しい。

北島:僕らはコミックバンドやからさ、来てくれた方には笑ってもらいたいのはあるよね。

アフロ:じゃあ、心を開いてるわけじゃないんだね?

北島:ライブの康雄さんとして接してるところはある。「好き」という言葉は簡単に使わんけど。

アフロ:「いつか一緒にやりましょう」とか言うんですか?

北島:「こいつの熱量すげえな」と思ったら言う。自分が20代の時は熱量勝負のところがあったしな。ライブも観てもらえてなくて、音源も聴いてもらえてないとそこ(熱量)でいくしかないやん。

アフロ:音楽をやっているすべての人にそうなんですけど、「MOROHAが好きなので絶対に一緒に仕事したいです」と言った熱量がいざ仕事をした時、どれだけ続くのかなと思うようになっちゃったんですよ。その熱量が続く人は100人に1人いるかどうか。だから瞳孔開いて、瞬間的にガーッといく感じは誰でも出来るんです。それが本当なのかな?って。

北島:メジャーに行って感じたのは、その熱量をこっち側が持続させなあかんと思った。努力と結果を見せて、良いライブをするとか良い曲を書くとか、思ってもなかった発想を見せるとか。そうすれば向こうも「康雄くん、面白いな」って、より熱が上がるよね。

アフロ:それはメジャーへ行って気付いたんですか?

北島:そうやな。四星球の担当者ってDragon Ash、サンボマスター、BUCK-TICKと同じ人なんやけど、コミックバンドを扱ったことがなかったのよ。最初はそれだけでテンション上がってくれて。次はコミックバンドの1つ奥側の部分も見せるとより上がってくれた。今度は奥じゃなくてメジャーへ行って感じたことを表現したら、さらに熱量が高まった。だから周りの熱量を維持させるには、こっち側が魅了しなくちゃいけないと思う。

アフロ:本当にそうっすね……ぐうの音も出ないほど正論ですよ。だけど俺は、ひねくれ者だからヘソを曲げちゃうんです。それが歌詞になったりするんですよ。

北島:めっちゃMOROHAやなあ! 諸刃(MOROHA)の名のままや! 結局、メジャーに行こうがインディーズにいようが、対何かじゃないとダメなんやな。共存するわけじゃなくて、メジャーへ行ったことで何と戦うか。

●四星球は年間で1本のライブをやってる感じ●

アフロ:そうっすね。そういえば、機材車は買ったんですか?

北島:買ったけど結局入れる荷物も増えるから、パンパンに変わりないかな。まあ僕の責任なんですよ。最初に使うものを考えておけば、少しはスペースを確保できるから。

アフロ:まさやんさんに「これを作ってくれ」とお願いして、その出来に康雄さんが納得できなくて使わなかったことはあるんですか?

北島:めっちゃええこと聞いてくれるやん。それは使えるように内容を変える。

アフロ:それカッコイイ! 使わない選択じゃなくて、使えるネタを考えると。

北島:基本的には使うようにしてて、例えば出し方を変えたら全然イケるやん。まさやんは“ほら貝”を作るのが苦手なんよ。

アフロ:アハハハハ! いやいやいや、なんの会話してるんですか!? 太字ですね。

アフロ・北島「まさやんは“ほら貝”が苦手」!

北島:ほら貝を使わなあかん状況だったとして。2時間のワンマンやったら、開始45分くらいに「今日はいっぱい小道具を使わせてもらいます。そこで、まさやんに“ほら貝”を発注したんですけど……これ、ほら貝であってますか?」と先に見せておいて、その1時間後くらいには“ほら貝”として認識してくれる。だからフリを入れておけばOK。

アフロ:じゃあ「スイカを作ってくれ」とお願いして。イメージは1/4スイカだったのに丸いスイカを作ってきちゃった。そういうトラブルはないですか?

北島:それやったら、アイツ(まさやん)は5分かからず作れるよ。車まで取りに行っても5分かからんくらい。仮に道具がなかったとしたら、半分のスイカにしてモリスが食べたことにする。

アフロ:四星球は、その瞬発力がすごいと思うんですよ。ラッパーでいうフリースタイルな部分が発達してますよね。それはライブで培われたものなんですか?

北島:ライブ中は脳みそが2つある感じなんよ。今をやっている脳、2手3手先をやってる脳がある。アウトプットに関しての脳はあるけど、インプットの脳がないのよ。

アフロ:え、どういう意味ですか?

北島:例えば、漫画を読みながら映画を観ることは出来ないけど、外に出すときの脳は2つある。外から見ればフリースタイルに見えるけど、感覚的には2つの脳で動いてる感じかな。

アフロ:俺がラップをしている間に、「この後、何を喋ろうかな」って次の曲間のMCを考えるのと同じ感じですか?

北島:それに近いけど、それは次のMCやろ? 次の次も行きたいわけよ。だからライブ終わりに反省する。2手先まで考えながら終わってしまうから、モヤモヤしてすっごい気持ち悪い。

アフロ:それがボケでありフリなのに、オチが出せないまま終わっちゃうわけですね。

北島:そうそう! まだ、あったなって。

アフロ:そしたら終わりがないじゃないですか。

北島:終わりはないよ。

アフロ:物語が続いてるということですか。

北島:まさにその通りで。普通は年間100本、200本ってライブ本数を数えるやん。そうじゃなくて、年間1本のライブをやってる感じなんよ。

アフロ:じゃあ、ずっとライブに来てくれてる人は前回のライブがフリになってる?

北島:そうそう! 年間で1本やってて、その瞬間を切り取ったのがライブ1本。だからモヤモヤしたまま続いているんやなと思う。

アフロ:難しいですよね。元々、作ってきたものが曲としてあるじゃないですか。だけど、その日のものを吸収しようとし過ぎたら、曲の方が薄まっちゃったりして。ライブが終わった後に「今日は曲が留守だったな」と思うことがあって難しい。

●「人のライブなんか観て、俺は何をやってんだ」って●

北島:MOROHAは絶対にそうなるよね。

アフロ:ちなみにライブはめちゃめちゃ自信あると思うんですよ。

北島:自信はあるね。

アフロ:もういっそCDはなくなれ、と思ってない?

北島:それはないよ。CDのセールスがスゴかった96年〜98年を中学時代に見てきてるから、やっぱり1発当てたいよね。あと単純にCDを聴いてくれた人がライブをより楽しめる要素としてほしい。本当は予習という言葉は何やろ、と思うのよ。「YouTubeで予習してきました」って嬉しいけど、アーティスト側から言うことはダサいなと思ってて。そんなのしてこんでも、お前の技量でやれやと思うんよ。予習をしてくれたらライブがスムーズに進むのは分かるけど、するかしないかはお客さんの勝手。だから自分の持ち時間内でやりくりしろよ、と思うんよ。CDを買ってくれた人には、ライブでもう1個先を楽しませたい。なんなら、CDはライブを楽しむ小道具の1個やと思ってます。

アフロ:「初めてのワンマンはどこどこでやって、それから紆余曲折あって遂に武道館までこれた」みたいなバンドのドラマを好きになってくれるのは、音楽シーンのお客さん。だけど、そこだけを相手にするんだったらメジャーと一緒に仕事をしなくて良いわけで。

北島:そうやな。むしろインディーで土の匂いがする方がエエわけやろ?

アフロ:そうなんですよ。だけど1曲目を聴いたお客さんがハッとして、そこにお金を払いたいと思わせるかどうかがメジャーと仕事をするかどうか、そういう音楽をやりたいのかどうかの線引きだと思うんです。そういう意味では、そのメンタルを持っている四星球はメジャーへ行くべきだったんでしょうね。1発で心をもっていかないと意味ないと思ってるでしょ?

北島:1発いかなとは思ってる。だけど、その1発がフリにならなあかんけど。

アフロ:なるほどな。俺はどこかでMOROHAのライブって何回も来るもんじゃねえなと思ってるんです。逆に、何回も来てくれると「ありがてぇな」と思う反面「本当に響いてるかな?」と心配になるんですよ。俺自身の原体験として、ライブに行くこと自体が「何をしてるんだろう」って時間だったんです。「人のライブなんか観て、俺は何をやってんだ」って。

北島:最初の1発で何かを与えられてたら、そいつはライブに来ないで何かを始めているはずだと。それこそMOROHAを好きになったユニバーサルの人(現・担当者)が何回もライブに足を運んでくれた、と言ってたやん。まさにそれやんな。その熱心な姿を見て、アフロはメジャーへ行くことを決めたの?

アフロ:それこそ迷っていた時期があって。ちょっとチャラい系のサラリーマンが電車の中で携帯を見てて、小さくガッツポーズしたんですよ。もしかしたら、一生懸命やっていた仕事の商談が上手くいったのかなって。仕事が上手くいった時にガッツポーズをする瞬間が、この電車にいる全員にあると思えば、誰しも少なからず俺の歌っている曲とリンクする感情があるんじゃないかって。

北島:それはエエ話やな。

●笑いに使う筋肉と、シリアスな方に使う筋肉は別だと思います?●

アフロ:今後の目標ってあるんですか?

北島:発明やな。今までライブのソフトはいっぱい作ってきたから、ほんまのハード作りをしたいというか。

アフロ:今まで四星球がしてきた発明って何ですか?

北島:言っていい? これ、特許を取っていたらめちゃくちゃ儲けてるよ! フェスの発明でいうと、10数年前は『AIR JAM』以外の大型フェスにインディーバンドは出られなかった。僕らは四国で活動していたから、香川の『MONSTER baSH』には出られたんよ。そこに出るバンドって、みんな自分たちで機材セッティングをしない。過去の歴史の中で自らやっていたのが、ガガガSPだけらしい。四星球が出た時も、当然スタッフはおらんから自分たちでセッティングしてた。その待ち時間をどうにかしたいから、セッティング中にネタをやるのを僕らが初めてやりました。

アフロ:よくバンドが「ちょっと本気目のリハやります」みたいな。

北島:そうそう。それはフェスシーンが認めてくれてます。フェスで映像を使ってボケるのも僕らが最初。10数年前は組み込まれた映像を流すしか出来なかったんやけど、そこを無理言って「まさやんのお母さんからビデオレター届いてるネタをやりたいんです」と言ったら、やらせてくれて。2つのステージを行き来するネタも僕らが始めましたね。

アフロ:なるほどなぁ。

北島:最近やった発明は、ワンマンライブで曲を貯金するシステム。「Mr.Cosmo」は曲の途中でミステリーサークルを作って、ステージから降りるんやけど、そこでパッと音を止めて「ミステリーサークルの分は貯金します」と。他にも曲の途中で「ここの部分を貯金します」と言って、5曲くらい貯まったところで貯金をおろすと、その数曲分がちゃんとメドレーになってる。そういうことをどんどん考えて、ゆくゆくは他のバンドマンにも使ってもらえる発明をしたい。

アフロ:普遍性があるものというか。

北島:そうやな。20代の頃は「俺たちのアイデアをパクんなや」という気持ちがあった。30歳になると「パクれるもんなら、やってみろや」になって。そして今、35歳の僕は「どうぞ使ってください」になってきた。

アフロ:例えば、康雄さんのアイデアで俺らを演出するとしたら何が浮かびますか?

北島:MOROHAは完成し切ってるからアレやけど、いつもUKが台に座ってるやん。足も痺れて動きたいなと思った時に、アフロが踏み出した片足の膝上にUKが座って弾く。

アフロ:アハハハハ。

北島:僕が考えるから、どうしても笑いの方へいくな。

アフロ:笑いに使う筋肉と、シリアスな方に使う筋肉は別だと思います?

北島:う〜ん、一緒かなぁ。

アフロ:だとしたらシリアスな方にいけるじゃないですか。

北島:表裏一体というか……シリアスを笑う要素もあるわけやん。例えばバラードの後に僕1人だけ袖へはけて3人が「ライブ続くのに、あいつ何ではけていったん?」と笑いに変わる。だから“シリアスと笑い”はお互いに支え合っているんやな。

アフロ:ただ「笑っていいよ」という雰囲気を出すのが大変ですね。

北島:そうやな(笑)。

アフロ:すごいと思うのが、四星球は超アウェイな環境でもお客をもっていくじゃないですか。後方で腕組みをしてるお客も、すぐに巻き込む。どうしてできるんですか? 腹をくくってるから?

北島:ベタもやるし、私にしかわからないと思わせる笑いも入れるし、尖ったところも出すし、わざとスベる。この4つをやったら誰かは心を開く。しかも、それをもう一周するから今度は「尖ってるのにスベった」「尖ってるのにベタをやってる」という要素が加わって、さらに客を掴むのは早い。

アフロ:四星球のライブを観ながら副音声で解説してほしいですよ。「この時に、ここのお客がこういう顔をしてるやろ? だから、ああいうボールを投げた。そしたら向こうのお客には、さっきのフリが効いてるから、これを思いついたんだけど、それは取っておいて……」みたいな。

北島:まさにそれ。

アフロ:すごいねぇ。前人未到の位置に立っている気がしますよ。

北島:それは嬉しい。『MONSTER baSH』の楽屋で「みんなが相撲を取っている時に、四星球はトラックを持ってきて土俵を作ってる」と言ってくれたやん。それだけやったら普通のありがとうやけど、アフロは「俺も土俵を作ってきた自負はあるので」と言ってくれた。それで僕は「MOROHAと同じだけのことをやれてたんやな」と嬉しかった。メジャーへ行く前は人と違うことをしようと、そればっかり考えてたけど。今は人のやってないことを探すんじゃなくて、自分のやりたいことをやった結果、誰もやってないことなら最高やなと。

アフロ:ロックにも通じることですね。反抗することが目的じゃなくて、自分のやりたいことを追求する。

北島:そのやり方って難しいけど、方法は1つしかなくて。やりたいことをめっちゃ見つけるしかないねん。今はそこに行き着いてて、やりたいことをめっちゃ探してるかな。そこで考えた発明の1つが“貯金システム”やった。最初、お客さんに説明した時「は? この人何を言ってんの?」っていう空気になるの。「だから言ってるやん! 貯金して最後におろすから、その時にみんなのテンションの利子がついて返ってくるから」と。最初に分けからないと思わせることで、それがフリになってるわけよ。

アフロ:……あのさ、孤独じゃないですか?

北島:めっちゃ孤独やな。

アフロ:誰とも分け合えないでしょ?

北島:分け合えへん(笑)。

アフロ:今日みたいに色々話してもらったら理解できるけど、同じ脳みその敷地を持っている人がいないでしょ?

北島:それで、ええねん。メンバーにも核の部分は説明しないようにしてるのよ。それは、演者でありお客さんとしても楽しんでほしいから。僕がバーッとアイデアを出して、3人が中和してお客さんへ届けてくれる。それで四星球は成り立ってる気がする。

アフロ:アイデアがなくなる恐怖はないですか?

北島:めっちゃある。貯金システムをライブでやった日の夜は「この先そんなことが何回浮かぶんかな」とマジで思った。もし年をとって何も出てこなくなってもハッピにブリーフ姿が面白くなるから、その時には今の笑いが追いついてくるのかなと思った。

アフロ:きっとバンドマンの中で「自分たちはできないけど、四星球にやってほしいこと」ってたくさんあると思うんですよね。みんなが作る四星球のライブも面白そうですね。

北島:それはめっちゃ嬉しいなぁ。

アフロ:でも康雄さん厳しそうだなぁ。「全然面白くない!」とか言いそう(笑)。

北島:言わん、言わん。全然言わん!

アフロ:「それサムイんちゃう?」とか。

北島:お前、俺のイメージどんなやねん!

文=真貝聡 撮影=高田梓

【来週の星占い-12星座別おすすめエンタメ情報-】(2018年12月31日~2019年1月6日)

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誰にとっても印象深い転換点となるであろう、2019年がついにはじまる今週。荘厳な雰囲気に包まれ、穏やかな時間が過ぎていくのは三が日あたりまで。休める人は今のうちにゆっくりと休息を取ってください…。というのも、新年早々、派手な騒ぎや危なっかしい事件など、新しい時代に対する世間の感覚や、国家や組織の今後の方向性を感じさせるニュースが飛び込んできそうなのです。

「今まではこうだったよね」という、長年の勘や経験則のパターンが覆されるような出来事に接するのかもしれません。交通機関や物流など移動に関すること、お金や遺産など家族と生活に関すること、生活の根本となっている基礎の部分が、平成の次の時代からはこんな風になっていくのか…と強制的に切り替わっていく。そんな空気は、来週からもビシバシ感じていくことになるでしょう。

すでに年末ごろから、次のステップに場当たりをつけている方も多そうですし、考え事や休み明けからの段取りのことで頭や心はフル回転なんて方も多いでしょう。そこまでボンヤリと過ごせる感じではなかもしれませんが、家族や身内、利害関係のない頃から互いを知るような「ルーツ」との会話には重点を置きたいところ。関係性があまりよくないという方も、元気かどうか平成最後のどさくさに紛れて、生存確認をしてみてもいいのではないでしょうか。直接話すのが怖ければ、年賀状なんてアナログツールをここぞとばかりに試すのもいいでしょう。

そこで徹底的に、別の道や別の世界に生きているということが見え隠れするのかもしれませんし、新たに出逢い直し、結い直し、話し合い直し、の可能性が見いだせるのであれば、それはまたそれ。それぞれが「何らかのお告げ」として大切にすべき機会、これから持っていくものかどうかの最終点検をお忘れなく。情にほだされるのではなく、少し距離感を持って理知的に判断する、がキーポイントです。それぞれの社会的に置かれた状況が、一見優勢であっても劣勢であっても、根本的なところでのイーブンな関係、尊敬を持てない関係は我慢せずとも良しです。

初詣にお出かけになる方も多いと思いますが、神社やお寺、お墓詣り、代々続いている老舗のお店や伝統工芸、お家芸的なエンタメ、ベテラン職人が登場するスポーツや展示会などに出かけると、予期せぬ気づきや吉運がお福分けされてきそうですよ!

【来週のミラクルワード】
・おひつじ座(3月21日~4月19日 生まれ)
尊厳、プライオリティ
・おうし座(4月20日~5月20日 生まれ)
原点回帰、リセット
・ふたご座(5月21日~6月20日 生まれ)
幻想的な、イマジネーション
・かに座(6月21日~7月22日生まれ)
買い替え、リプレイス
・しし座(7月23日~8月22日 生まれ)
福袋、ニューアイテム
・おとめ座(8月23日~9月22日 生まれ)
身内企画、ファンクラブ
・てんびん座(9月23日~10月22日 生まれ)
耽美、オーセンティック
・さそり座(10月23日~11月21日 生まれ)
代替、ジェネリック
・いて座(11月22日~12月21日 生まれ)
寛解、アファーメーション
・やぎ座(12月22日~1月19日 生まれ)
洗練、インテリジェンス
・みずがめ座(1月20日~2月18日 生まれ)
人気株、ホットスポット
・うお座(2月19日~3月20日 生まれ)
情操的な、エモーショナル

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LUNA SEA 『EDEN』を“異色作”から“名作”へと見事に昇華させた2018年クリスマス公演DAY2レポート

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LUNA SEA LUNATIC X'MAS 2018 -Introduction to the 30th Anniversary- SEARCH FOR MY EDEN
2018.12.23 さいたまスーパーアリーナ

12月22日、23日の2日間にわたってさいたまスーパーアリーナにて『LUNATIC X’MAS 2018-Introduction to the 30th Anniversary-』を開催したLUNA SEA。今回は結成30周年のアニバーサリーイヤーに向けて、初日はメジャーデビューアルバム『IMAGE』を携えて1992年に行なった全国ツアー『IMAGE or REAL』を、2日目はメジャー2ndアルバム『EDEN』を携えて1993年に行なった全国ツアー『SEARCH FOR MY EDEN』を再構築したライブを開催した彼ら。ここでは、その2日目の公演『SEARCH FOR MY EDEN』のレポートをお届けする。この公演を通して、LUNA SEAはバンド結成30周年を記念して2019年5月29日に東京・ZEPP TOKYOにてSLAVE限定の無料ライブ『LUNA SEA The 30th Anniversary SLAVE限定GIG』を、さらに5月31日、6月1日には東京・日本武道館で『LUNA SEA The 30th Anniversary Special Live 日本武道館2days』を行なうことを発表した。

ライブ2日目のテーマとなったメジャー2ndアルバム『EDEN』は、LUNA SEAの作品のなかでも“ポップすぎる”“明るすぎる”と賛否両論が巻き起こった異色作で、今作の曲は、ライブでおなじみとなった曲以外は後年披露されることはなくなっていった。最新作『LUV』を作り上げたとき「『EDEN』を作った頃の感覚にすごく近い」と教えてくれたのはJだった。そうして、この日のライブを通してこれら二つの作品を、時空を超えて繋ぎ合せてプレイすることで、彼らは『EDEN』を異色作から“名作”へと見事に昇華させていったのだった。「賛否両論は次に進化するためのステップだ」とかつて語っていたSUGIZO。その言葉を見事に体現する、素晴らしいアクトだった。これだから、LUNA SEAはやめられない。

LUNA SEA/RYUICHI 2018.12.23 撮影=LUNA SEA Inc.

LUNA SEA/RYUICHI 2018.12.23 撮影=LUNA SEA Inc.

まだ開演時間前だというのに、場内にはLUNA SEAの登場を待ちきれないファンの手拍子がすでに巻き起こっている。この日の場内には、開演前から明らかに異様な熱気が満ちていた。

『EDEN』のジャケットビジュアルがステージを覆う紗幕に映し出されたあと、前日に続き、この日も当時と同じようにケイト・ブッシュの楽曲「Rocket's Tail」をSEにメンバーが登場。真矢は赤髪のメッシュ、RUYICHIは青いメッシュを入れ、角度によってはワンレンのボブに見えるスタイルで当時を再現。

ライブはRYUICHIが「JESUS、Don’t you love me?」と囁いたあと、真矢の小気味いいドラムがギターリフを呼び込む「JESUS」で、アルバムと同じように幕開け。<あなたに>、<すべてを>と合いの手を入れるSLAVEの声が大迫力で響き渡り、Jは手で目を覆いながら<JESUS、Don’t you love me!>と激しく連呼。真矢が掲げたスティックを振り下ろすと同時に音玉が大爆発して始まった「Dejavu」では、RYUICHIが<繰り返す>と歌いながら、手をぐるぐる回しコール&レスポンスでオーディエンスをさらに沸かせる。この後、短く挨拶をしたRYUICHIが「今日もさらに進化したLUNA SEAをお届けします」と告げ、20年以上演奏していない『EDEN』の曲を次々と披露していく。

「ANUBIS」は、真矢のお得意のドラミングに乗って、Jのベースがグイグイ曲を推進していくところがとてつもなくカッコよかった。ドラムがシャッフルビートに切り変わり、SUGIZOがフレットレスギターで流れるようなフレーズを奏でて始まった「STEAL」は、いまのLUNA SEAが演奏するとダンサブルで、そのサウンド感と女言葉を歌うRYUICHIのねっとりとした艶っぽいボーカルの対比が印象的だった。そして、当時を再現するように「STEAL」とセットで次は「LAMENTABLE」へ。「STEAL」のアウトロからだんだんと音数が減り、ベース音だけが残る。ブレイクの間にベースを持ち替えたJが「LAMENTABLE」のイントロを長めに弾き、そこから再び音数がだんだんと増えていくところは、いまのバンドサウンドが曲に新しい生命力を吹き込んでいってるようで、観ていてドキドキが止まらなかった。

ここで、来年2019年で結成30周年を迎えるLUNA SEAについて、RYUICHIは「俺たちのやってきたことは無謀であったりめちゃくちゃだった。でも、そこにはLUNA SEAっていう“筋”があるから、めちゃくちゃ楽しいんです。これからもLUNA SEAの道を5人で行きたいと思います」と伝えたあと、「RECALL」の演奏からライブを再開。

LUNA SEA/SUGIZO 2018.12.23 撮影=LUNA SEA Inc.

LUNA SEA/SUGIZO 2018.12.23 撮影=LUNA SEA Inc.

INORANが儚くせつないフレーズをアコギで奏で、間奏ではSUGIZOがギターで木漏れ日のようにこの曲に光を注いでいくと、前日は魔界の帝王のようだったRYUICHIが情感たっぷりに素晴らしい歌唱でこの曲を丁寧に歌い上げていった。ステージに紗幕がかかり、そこにSUGIZOがバイオリンを弾くシルエットが映し出されると、無数のキャンドルと教会のステンドグラスが映し出され「Providence」が始まった。SUGIZOが1曲まるごと流麗なバイオリンを奏でるこの曲は、アルバムのなかでも要となる、これまでのライブでも演奏し続けてきた三拍子のバラードナンバーだ。

耽美的な雰囲気に包まれた場内に、真矢のリムショットが鳴り響き、始まったのは「BELIEVE」のC/W曲「Claustrophobia」だ。こちらもライブ披露は20数年ぶりとなる。INORANの儚いアルペジオ、SUGIZOのギターフレーズが作り上げた静謐で陰影のある世界観。それを、魔界の帝王に急変したRYUICHIが、曲の後半、感情をむき出しにしたシャウトで突き破っていく姿は圧巻で、曲が終わると場内からは大歓声があがった。

LUNA SEA/INORAN 2018.12.23 撮影=LUNA SEA Inc.

LUNA SEA/INORAN 2018.12.23 撮影=LUNA SEA Inc.

そして、ライブはドラムソロ、ベースソロのコーナーへ。「さすが、私たちを含め、今日はみんな20代!! 歓声もお若いですね(笑)」。そんなギャグを平然といってのける真矢は、音を詰め込んで爆音で鳴らしていた昔と違って、いまは音のない間合いで、ドラムソロを成り立たせるというスゴ技を披露。当時ベースソロパートはなかったJは、最新ツアー同様、EDMトラックに合わせて(誰もが真似できるようにという意味で)シンプルなベースフレーズを弾き、コール&レスポンスでオーディエンスのテンションをどんどん上げていく。ベースソロで、こんな風に観客を煽って盛り上げていくスタイルを作ったのもJが初めてだろう。

リズムセッションをはさんだあと、30年近く彼らがライブで演奏し続けてきた定番曲「BLUE TRANSPARNCY」が始まると、SLAVEがヘドバンを巻き起こす。INORANが手拍子で客席を煽ると、コール&レスポンスで観客は割れんばかりの大合唱を届けていった。

そうして、この後のMCではキラキラ光るジャケットに着替えたRYUICHIが、30周年に行なう音楽活動について少し触れる。「ライブは、俺らの想いをみんなの側で届けたいと思います」といって、前日に続きファンの期待感を煽る発言を届け、そのあと「待っててくれる?」と魔界から戻ってきたとは思えない無邪気なスマイルを浮かべて観客に語りかけるRYUICHIは、最強だった(笑)。

 LUNA SEA/J 2018.12.23 撮影=LUNA SEA Inc.

LUNA SEA/J 2018.12.23 撮影=LUNA SEA Inc.

このあとは前日同様「White Christmas」、「I for You」をパフォーマンス。演奏し終るとRYUICHIが「いままでの過去、超えてみない? どう? 人間って本気になるってあるじゃん。いま、やってみない? スタッフもカメラマンもどう?」と提案する。LUNA SEAはステージから必ず「コンサートスタッフにも拍手」という言葉で、裏方スタッフを労うのは有名だが、このRYUICHIのひと言で、関係者全員の本気スイッチが入ったのはいうまでもない。SLAVE同様、関係者、スタッフまで“本気”にさせて、さらなる先にある頂点を一緒に見たいと思わせてくれるLUNA SEAの吸引力は、いまも昔もまったく変わらない。これは、本当に本当に、凄いことだと思う。そうして、この後RYUICHIのタイトルコールに客席全員が発狂したのが「STAY」だった。20年以上まったく演奏されなかったアルバム随一のポップチューンが、いま目の前で蘇る。オーディエンスはそんな曲にも関わらず、サビの<FOR YOU>、<FOR ME>の掛け合いをパーフェクトに歌い上げてみせ、驚いたINORANは満面の笑みを浮かべ、客席に拍手を送った。この曲で開けたポップ感を、続く「IN MY DREAM(WITH SHIVER)」がさらに解放していく。

ここではメンバーも解放的になり、上手ではSUGIZOとJがお互いのジャケットを引っ張りあいっこ。INORANはドラム台に上がり、真矢の背後に立って肩をトントントン。そうして、下手サイドでSUGIZOが間奏のソロを弾きだすと、センターでINORANとRYUICHIが向かい合って耳元でコソコソ内緒話をしたあと、RYUICHIがコミカルな動きをしだしてINORANの大爆笑を誘う。そんなメンバー同士の微笑ましい仕草で、ファンを喜ばせていった彼らが「TIME IS DEAD」では、表情が一変。真矢が“Hey!”と叫ぶ生声とともに、ものすごい集中力でジャージャン、ジャージャンと5人の音がナイフのようなキレ味で揃うパフォーマンスはオーディエンスのテンションを上げていく。そこから、フロント4人がドラム台の前に並んで揃ったときの半端ないオーラと王者感。このLUNA SEAを見て、興奮しない人はいないはず。そこに、本編最後を飾る曲として「BELIEVE」を届けた彼ら。センターで、満場の観客が高らかな大合唱で応えるのをじっと見つめるRYUICHI。すると、そのうちRYUICHIの表情が崩れていき、涙を堪えたような表情になっていく。「RYUICHI!」と叫ぶSLAVEのエールで再び笑顔を取り戻し、曲をフィニッシュへと導いていっていったシーンは見る者すべてが心を震わせたに違いない。

LUNA SEA/真矢 2018.12.23 撮影=LUNA SEA Inc.

LUNA SEA/真矢 2018.12.23 撮影=LUNA SEA Inc.

アンコールは、SLAVEたちがペットボトルにスマホライトを当てるというワザで場内をキラキラさせながら「きよしこの夜」の大合唱をLUNA SEAにプレゼント。RUYICHIは「ありがとう」と感謝を伝えた後「ファンの歌はウチが一番!」ととびきりの笑顔をうかべて、観客を讃えた。そして「俺たち5人の想いをみんなに届けたいと思います」といって、ミラーボールがきらめく下で、今度は彼らがLUNA SEAのクリスマスソング「HOLY KNIGHT」をプレゼントすると、ステージ上空から真っ白い雪まで降ってきた。

そんな幻想的な冬の景色をレインボーカラーのド派手なレーザービームが遮り、始まったのは最新アルバム『LUV』の「BLACK AND BLUE」だ。アルバムのなかでも客席に天使が舞い降りてくるような包容力と祝祭感で、ライブのたびに大感動を与えてくれるこの曲で、『EDEN』と『LUV』をいまこの瞬間に見事に繋いでみせたアクトは、頭のなかで謎がバタバタと解けていくようなマジカルな高揚感を体内に引き起こし、クライマックス級の高まりと多幸感を呼び起こしていった。

メンバー紹介のコーナーでは、真矢が「僕は根っからのヴィジュアル系なんで、ヴィジュアル系のクリスマスソングを歌います」といって、「赤鼻のトナカイ」を巻き舌で<真っ赤のお鼻のぉぉ~かかってこーい!!”と煽りながら歌い、メンバーとオーディエンスを笑わせた。そしてRYUICHIが「ここで大事な告知をしたいと思います」と告げたあと、みんなへの感謝の気持ちを込めて2019年5月29日に東京・Zepp TokyoでSLAVE限定のフリーライブを行なうこと、さらには30周年のスペシャルライブとして、2019年5月31日、6月1日に日本武道館2Daysを行なうことを発表すると、ファンの絶叫がどっと場内に響いた。そうして、最後は「ROSIER」、「WISH」というキラーチューンを投下して、会場を狂騒と歓喜で大爆発させ、高揚の果てへと導いていった。

そうだった――。これはまだまだ30周年の序章に過ぎないのだ。2019年、LUNA SEAはいったいどんなことをやらかそうとしているのか。この後の展開が待ち遠しい。

取材・文=東條祥恵 撮影=LUNA SEA Inc.

LUNA SEA 2018.12.23 撮影=LUNA SEA Inc.

LUNA SEA 2018.12.23 撮影=LUNA SEA Inc.

 

ナオト・インティライミ、気合いと覚悟の“オマットゥリ”でファンに感謝「こうしてついて来てくれる、みんなが心の支えです」

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12月29日(土)、ナオト・インティライミが、自身2度目、3年振りとなる単独ドーム公演『ナオト・インティライミ ドーム公演2018~4万人でオマットゥリ!年の瀬、みんなで、しゃっちほこ!@ナゴヤドーム~』を愛知県・ナゴヤドームで開催した。ライブ中には、2019年7月10日「ナオトの日」に毎年恒例のスペシャルライブをマリンメッセ福岡で開催することを発表している。

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

世界を旅するシンガーソングライターとして知られるナオト・インティライミ。2018年は全国47都道府県の弾き語りツアーで日本を巡っていた彼が、3年ぶり、自身2度目となる単独ドーム公演をナゴヤドームで開催した。三重県出身ということで、“最寄りのドーム”であるナゴヤドームは彼にとって念願の場所。全国各地から駆けつけたファンと共に、年の瀬の晴れ舞台を存分に楽しんだ。

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

ステージ上に置かれた小さな神社や、“煩悩の達人”と銘打って始まったリズムゲームなど、ファンを楽しませるアイデアが開演前のワクワクを後押しする。暗転するとお客さんの持ったペンライトが黄色にきらめき、ナオトが登場すると大歓声がこだました。「FUNTIME」でダンサブルにスタート。数十名のダンサーを引き連れ、軽快にステップを踏みながら歌うナオト。「ついにこの日が来たぜナゴヤドーム!ダンサーがいて、バンドがいて、っていう公演は2年半ぶりです。待たせたなー!」と挨拶し、「今日のセットリスト、エグいです。誰一人として置いていかないから覚悟しな!」とお客さんを焚きつけた。安定感抜群の歌声はもちろんのこと、軽妙なトークも彼のライブの魅力だ。

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

お客さんを楽しませたいという思いをそのまま形にしたように、セットリストも演出も盛りだくさんだったこの日。そのひとつが「お初ティライミの人も楽しめるように!」と用意されたシングルメドレーだ。イントロの度に歓声が沸いた「恋する季節」や「君に逢いたかった」などの人気曲を終えて去ると、「皆様は、株式会社インティライミの社員ですね?」とアナウンス。そのまま“(株)インティライミグローバルパートナーズ”の会社説明ムービーがスタートした。その映像のクオリティに加え、スーツに着替え、代表取締役社長に扮したナオトが千鳥足で忘年会のスピーチをする演出にはお客さんも大爆笑。そんなユーモラスな味付けでありつつも、ムービーで伝えた“Catch the Global”の目標、「こころことば」で歌に乗せた〈ありがとう〉の気持ちは、彼の本心そのものだっただろう。

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

半年間の旅を経て生まれた最新アルバム『7』からの楽曲も、趣向を凝らしたパフォーマンスで披露した。「Start To Rain」はカラフルな傘を使ったダンスで、「Sing a song」は動画配信サイト風にスクリーンの映像を連動させた。アップチューンが続く中で、「未来へ」の前には「2018年、あなたにとってどんな一年でしたか?」と静かに問いかけたナオト。今年日本で起きた災害の多さを振り返りながら、「生きていたら、明日いきなりどうにかなっちゃう可能性もある。みんな2018年、お疲れさま。歯をくいしばって頑張っているあなたへ贈ります」と続けて、噛みしめるような歌声に、全員吸い込まれるように耳を傾けた。

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

「Ole!」からは再びお祭りソングが続き、ライブはいよいよ佳境へ。「サイコーだ!本当に、いい景色を見せてくれてありがとう」とナオト。「去年、日本での活動を休止して、世界に旅立った時にリスキーだって声もあった。実際に少なからずファンも減ったし(笑)、まだ前と同じような立ち位置に戻れてないと思う。でもあの決断がなければ、ニューアルバムも、ドームでのライブを作りあげることもできなかった。こうしてついて来てくれる、みんなが心の支えです。ありがとう」と清々しい表情で感謝を伝えた。サンバカーニバルさながらの華やかな「The World is ours!」で本編を締めくくると、アンコールではペンライトを使った光のウェーブが圧巻だった「いつかきっと」や、マイクを通さないナオトの生歌で始まった「カーニバる?」で文字通りのお祭り騒ぎ。ナオトの並々ならぬ気合いと覚悟に溢れた集大成の“オマットゥリ”は、大成功のうちに終幕した。

撮影=新澤和久

撮影=新澤和久

※原文ママ

ライブレポート=青木美穂

L'Arc~en~Cielの歴史にまた一つ大きく輝くエピソードが刻まれた、ラルクリ第二夜レポート

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L’Arc~en~Ciel『LIVE 2018 L'ArChristmas』
2018.12.20 東京ドーム

12月20日、東京ドームでL’Arc~en~Ciel 『LIVE 2018 L'ArChristmas』を観た。4人が揃うのは1年8か月ぶりで、しかもデビュー以降初のクリスマスライヴ。客席はこの日を待ちわびた超満員5万5千人で埋め尽くされ、ステージには巨大な氷柱を模したオブジェや樹木、ツリー型のセットが並ぶ。雄大で幻想的なステージアートだ。

巨大な二面スクリーンを使ったドラマチックなオープニングに、湧き上がる地鳴りのような大歓声。yukihiro(Dr)とken(G)はスーツを基調に、tetsuya(B)は赤いロングジャケット、hyde(Vo)は全身を茶白のファーで覆い、美しくしなやかに。1曲目「winter fall」でゆったりと演奏を始めると、「Caress of Venus」で一気にスピードアップ。観客全員に配布されたL'edバンド(リストバンド)が光を放つ壮麗な景色の中、tetsuyaとhydeが左右の両ウィングへと駆け出して観客を煽る。「snow drop」では、トーキングモジュレーターを使ったkenのギターソロが冴えわたる。わずか3曲で広い東京ドームをホームグラウンドにしてしまう、電光石火のオープニングだ。

「こんな師走の平日に来てくれるみなさんは、かなりマニアな人たちだとお見受けしてるのでね。久しぶりの曲もいくつか用意してるんで、最後まで一緒に楽しもうぜ!」

L’Arc~en~Ciel/hyde 2018.12.20 東京ドーム 撮影=今元秀明、岡田貴之、緒車寿一、加藤千絵、田中和子

L’Arc~en~Ciel/hyde 2018.12.20 東京ドーム 撮影=今元秀明、岡田貴之、緒車寿一、加藤千絵、田中和子

hydeのMCに続いて歌われた「BLESS」は、2010年バンクーバー五輪のNHKテーマソングになった透明感あふれるバラード。一転して「接吻」は妖しく激しく、hydeは帽子を脱いで編み込みの長髪を見せながら観客を挑発する。「fate」はさらにヘヴィにダンサブルに、yukihiroの正確なビートとtetsuyaのメロディックな重低音ベース、kenのディストーションギターの絡みは圧巻のひとこと。喉も裂けよといわんばかりのhydeのシャウトもすさまじい。神聖なムードに包まれる「Dearest Love」を経て、kenの幽玄なギターソロから一気にアップテンポに転じる「MY HEART DRAWS A DREAM」では、hydeがアリーナ中央へと長く伸びた花道へ。5万5千人の<夢を描くよ>というフレーズの大合唱が胸を揺さぶる。ホールやアリーナでは味わえない、ドームならではの壮大なスケール感だ。

クリスマスの定番曲「Hurry Xmas」は、伸びやかな4ビートに乗って明るく朗らかに。コーラスするtetsuyaの肩をhydeが抱いて一緒に歌うシーンがスクリーンに大映しになる。いいシーンだ。盛大なエンジン音と共に幕を開ける「Driver's High」では、燃える火柱がステージを赤く染め、レーザービームがひっきりなしに飛び交う。kenが花道の先端へ飛び出し、hydeが「限界まで振り切ってくれ東京!」と叫ぶ。最高のテンションをキープしたまま飛び込んだ「DIVE TO BLUE」では、アリーナに投入された巨大な風船を転がし客席は大はしゃぎ。ステージ上ではkenがふざけてhydeに体当たりするも、hydeはひらりと身をかわしながら歌い続ける。ステージの上も下もみんな笑顔のハッピーなパーティー、これがL'ArChristmasだ。

L’Arc~en~Ciel/ken 2018.12.20 東京ドーム 撮影=今元秀明、岡田貴之、緒車寿一、加藤千絵、田中和子

L’Arc~en~Ciel/ken 2018.12.20 東京ドーム 撮影=今元秀明、岡田貴之、緒車寿一、加藤千絵、田中和子

セットチェンジの間には、赤い服と白いヒゲのサンタクロースたちが大活躍。総勢10名がアリーナ通路で飛んだり跳ねたりプレゼントを投げ込んだり、にぎやかなパフォーマンスで飽きさせない。メンバーが再登場して花道に作られたセンターステージへ移動すると、まずはkenのMCからスタート。が、「クリスマスの思い出」というごく普通のテーマが思わぬ方向へ脱線し、最後は場内大爆笑でジ エンド。kenの名誉のために内容は秘しておくが、どこにいてもkenの魅力は自然体だ。がらりとムードを変えて「未来世界」はアダルトにジャジーに、「静かの海で」は幻想的な青いライトに包まれて荘厳に。美しい地球の映像をバックに、hydeの神がかった歌と、観客全員の<feel heavenly>の大合唱が聴けた「静かの海で」は、間違いなくこの日のハイライト。その時ドームは宇宙空間になった。

L’Arc~en~Ciel/tetsuya 2018.12.20 東京ドーム 撮影=今元秀明、岡田貴之、緒車寿一、加藤千絵、田中和子

L’Arc~en~Ciel/tetsuya 2018.12.20 東京ドーム 撮影=今元秀明、岡田貴之、緒車寿一、加藤千絵、田中和子

再びシーンが変わり、L’Arc~en~Cielの楽曲の中でも特に攻撃的なエレクトロロックチューン「trick」。全員がエレクトリックギターを持ち、激しいビートに乗ってリードボヴォーカルを歌い継ぐ。4人が乗ったスライディングステージがメインステージへと移動してゆく演出に、アリーナの観客から大歓声が飛ぶ。yukihiroの叩き出すマシーナリーなダンスビートが最高にクールな「X X X」から「Wings Flap」、「Link」では金色と赤色のテープが盛大にドームの空間に打ち上がる。満を持してtetsuyaが花道に進み出る。会場のボルテージが一段と上がる。

「White Feathers」はミドルテンポの雄大な曲調で、曲の後半にはまさしく白い羽がアリーナに降り注ぐ美しい演出が見られた。5万5千人と共に作る、1年8か月ぶりの出会いをみんなが心から楽しんでいる。バンドが一旦ステージを降りると再びサンタクロースタイムが始まり、今度は観客全員を巻き込んでのウェーブ大会。楽しいインターミッションのあと、衣装替えを済ませたメンバーがステージに戻り、レーザービームが派手に飛び交う「Don’t be Afraid」を経ていよいよライヴも終盤へ。tetsuyaが高らかに雄たけびを上げる。

「ラルク初のクリスマスライヴということで、平日にも関わらずみなさんありがとう! おおきに!  まだ聴きたい? 行くでー!」

L’Arc~en~Ciel/yukihiro 2018.12.20 東京ドーム 撮影=今元秀明、岡田貴之、緒車寿一、加藤千絵、田中和子

L’Arc~en~Ciel/yukihiro 2018.12.20 東京ドーム 撮影=今元秀明、岡田貴之、緒車寿一、加藤千絵、田中和子

明るくダンサブルな「twinkle, twinkle」は、80'sポップを思わせるキャッチーさと力強いバンドサウンドのバランスが絶妙。「I Wish」はhydeのアカペラから始まり、kenのアコースティックギターから一転して明るくポップなハッピーソングへとへと発展する、ドラマチックな演奏が聴けた。L'Arc~en~Cielの楽曲のバリエーションの多さにあらためて驚かされ、様々な色を完璧に表現するスキルに舌を巻く。久々だろうとクリスマスライヴだろうと、L'Arc~en~CielはやはりL'Arc~en~Cielだった。

「みんなが笑顔になるのが楽しいから、サンタクロースの気持ちがわかりました。僕たちからのプレゼントはみんなにちゃんと届いたかなと思います」

hydeの問いかけに湧き上がった拍手と大歓声が、5万5千人からの回答だ。朝から喉の不調で声が出ず、メンバーやスタッフの力を借りてここまで歌い切ったという衝撃の事実をここで明かし、「みんなの笑顔を見て最初から泣きそうでした」とhyde。

「クリスマスって言う事で、神様っているのかなって考えてみました。でもね神がいなかったとしても、クリスマスってたくさんの人に夢を与えることができてるじゃないですか? 信じるとか信じないじゃなくて、今日僕たちがこうやって出会えた奇跡、そして愛し合った時間。これはたしかに存在してた。とても重要なことだと思います。導いてくれたこの日に感謝します」。

そう語る声が揺れている。目に何かが光るように見えたのは、光の加減のせいだっただろうか?

L’Arc~en~Ciel 2018.12.20 東京ドーム 撮影=今元秀明、岡田貴之、緒車寿一、加藤千絵、田中和子

L’Arc~en~Ciel 2018.12.20 東京ドーム 撮影=今元秀明、岡田貴之、緒車寿一、加藤千絵、田中和子

3時間に及ぶライヴを締めくくるラストチューンは「雪の足跡」だった。雪のように降り注ぐ紙吹雪の中で、最後の力を振り絞り歌うhydeと、それを支えるtetsuya、ken、yukihiro、そして5万5千人の仲間たち。明るい「メリークリスマス!」の掛け声と共に、L'Arc~en~Ciel 『LIVE 2018 L'ArChristmas』は幕を閉じた。hydeがMCで言ったように、“トランプならかなり強い手”という4人が久々に集まり、“クリスマスの奇跡”を起こした特別な一夜。L'Arc~en~Cielの歴史にまた一つ、大きく輝くエピソードが刻まれた。


取材・文=宮本英夫
撮影=今元秀明、岡田貴之、緒車寿一、加藤千絵、田中和子

L’Arc~en~Ciel 2018.12.20 東京ドーム 撮影=今元秀明、岡田貴之、緒車寿一、加藤千絵、田中和子

L’Arc~en~Ciel 2018.12.20 東京ドーム 撮影=今元秀明、岡田貴之、緒車寿一、加藤千絵、田中和子

 

SUPER BEAVERに涙、go!go!vanillasの友情、謎の覆面バンドも登場、10回目にふさわしい熱いステージで“ロック納め”『FM802 RADIO CRAZY 2018』レポート

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『FM802 RADIO CRAZY 2018』2018.12.27.28 インテックス大阪

大阪のラジオ局FM802が主催する関西最大級のロックフェス『FM802 RADIO CRAZY 2018』が12月27日、28日にインテックス大阪にて開催。1日目に続き、2日目も10回目にふさわしい“ロック大忘年会”となった。ラジオ局が開催するイベントの魅力とは?そんな『RADIO CRAZY』ならではの企画にも触れながら、熱戦を繰り広げたアーティストのライブをダイジェストでレポートしよう。

『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2018』の醍醐味といえば、ライブはもちろんのこと、ラジオがより楽しくなる催しの数々。ライブ音源がすぐさまOAされるだけでなく、バックステージでライブ直後のアーティストインタビューが収録され、息を荒くした生の声をラジオを通して知ることができる。そして、実際にこたつサテライトスタジオでは公開収録の模様を目の前で楽しめるのも魅力だ。『MIDNIGHT GARAGE』のDJ・土井コマキが、Yogee New Wavesの角舘健悟(Vo.Gt)と粕谷 哲司(Dr)を迎えての公開収録では、ライブの振り返りから「2019年の大予想」のコーナー企画などが和やかに行われた。ライブとはまた違ったアーティストの一面を目の前で見られるだけでなく、ラジオさながらに楽曲の制作秘話や音楽への想いをじっくりと聴けるのも嬉しい。

◆「餅つきレイジー」に棚橋弘至が降臨、LIVE HOUSE AntennaにTHE CHARM PARK、マカロニえんぴつが登場◆

また、毎年恒例のお楽しみとなった、年の瀬を感じる「餅つきレイジー」が今年も実施。2日目は、何と2年ぶりに新日本プロレス・棚橋弘至が降臨! 「みなさん、100年に一人の逸材・棚橋です!」と挨拶するや、自ら起こした棚橋コールのなかコスチュームを脱ぎ、170cmもの胸筋を惜しげもなくご開帳! リングサイドばりの熱気漂う特設ステージにて、しっかり餅を“つき倒す”、ショーマンシップたっぷりのひとときに。

岩崎愛

岩崎愛

さらに、書き納めなどが行われる、大きな鳥居のある音波神社の境内ステージでは、初日に引き続き弾き語り部のライブが。さらにこの日は、シンガーソングライターの岩崎愛がこのために参上。真っ赤なワンピース姿にギター1本だけを手にし、ロック大忘年会に癒しの風を届けてくれた。「最大級のラブソング」をはじめ、何気ない日常のキラメキが何とも美しい彼女の世界。声とギター、たったそれだけなのにこの温かさ、充足感は何だろう? 「Twilight」では、ループマシンを用い、何重にも声を、ギターを重ねる彼女。熱気昂ぶるロックまみれのキッズたちへ優しく回復の魔法をかけてくれるように、じわじわ心が浄化されていく心地だ。いつまでも胸の奥を占拠するマジカルなひとときに、温かな拍手が贈られた。

Saucy Dog

Saucy Dog

R-STAGEで2日目の幕をあけたのは、Saucy Dog。初登場を飾った前回を経て、昨年よりひとつ大きな会場へと躍進。太いリズムを刻む秋澤和貴(Ba)に、包容力たっぷりのドラミングを繰り広げるせとゆいか(Ds/Cho)、そして人肌の温かみある石原慎也(Vo/Gt)の言葉の数々……。

Saucy Dog

Saucy Dog

3人が奏でる色鮮やかなアンサンブルは、実像以上に大きく実距離よりも何と近しく感じることか! 全てのオーディエンスが拳を突き上げる絶景は、「みんなの耳に、心に届いたらいいなと思います」(石原)との言葉を具現化させた、何よりの証明だろう。またひとつ階段を駆け上がった頼もしい姿を見せてくれた。

THE CHARM PARK

THE CHARM PARK

LIVE HOUSE Antennaのトップバッターは、THE CHARM PARK。メジャーファーストアルバムのリード曲「Imperfection」が、最新の2018年12月のヘビーローテーションに選ばれるなど、大注目のシンガーソングライターだ。ロサンゼルスで育ったため、自らを“外国人”と茶目っ気たっぷりに称しながら、MCで場を和ませる。かと思えば、初となるバンド生演奏にのった歌唱力で圧倒。

THE CHARM PARK

THE CHARM PARK

ネイティブな英語詞が心地よく、肩を揺らして聞き耽ってしまう熱量の込もったムーディーなライブを展開。より大きなステージも映えるだろうなと、想像してしまうほどの凄まじいポテンシャルを見せつけた。

マカロニえんぴつ

マカロニえんぴつ

同じくLIVE HOUSE Antennaに登場した、マカロニえんぴつ。開演前から入場規制がかかっていたほど、注目度の高さが伺えるライブに。キャッチーなサビと疾走感溢れるナンバーを続々と放ち、観客とテンションを練り上げていく。「この1年の活動は、バンドを始めた中で大事な1年になりました」と、振り返ったはっとり(Vo/Gt)。

マカロニえんぴつ

マカロニえんぴつ

さらに、初出場のステージにかける想いを語り、「俺たちはJ-POPです。すぐ捨てられるような曲はひとつもない。だから、ずっと追いかけてください。それが唯一のお願いです」とぶつけ、「ミスター・ブルースカイ」へ。音楽への愛と、ひたむきに高みを目指す姿が印象的なステージだった。

◆Z-STAGEにはgo!go!vanillas、THE ORAL CIGARETTES、フレデリックが登場◆

go!go!vanillas

go!go!vanillas

注目が集まったといえば、Z-STAGEのgo!go!vanillasだろう。今月、ベースの長谷川プリティが交通事故に合い、意識不明の状態が続いていた。しかし、27日に意識回復が伝えられ、バンドもサポートを迎える形で 活動の継続を発表。そんな安堵の知らせがあっただけに、彼らのライブに注目が集まっていた。いつもと違っ た独特の緊張感が張り詰めた会場にメンバーが登場。ベースのサポートで登場したのは、THE ORAL CIGARETTESのあきらかにあきら。

go!go!vanillas

go!go!vanillas

「レディクレの出演をどうしようか考えていた時に、すぐに手を差し 伸べてくれた愛すべき友達です」と、 牧達弥(Vo/Gt)が紹介。並々ならぬ気合いたっぷりなステージ、楽 しそうなあきらかにあきらの表情に胸を撃ち抜かれた。間違いなく、バンドの歴史に、そして観客の記憶に 残るかけがえのないライブになったはず。会場内には、FM802の呼びかけで、プリティのトレードマークの蝶ネクタイを千羽鶴のように折り紙を作って届けるブースも。メンバーの想いだけでなく、観客の想いも彼に届いたに違いない。

THE ORAL CIGARETTES

THE ORAL CIGARETTES

その後、THE ORAL CIGARETTESも同じZ-STAGEに登場。怒涛のセットリストで、会場の興奮をぶち上げていくアグレッシブなステージ。山中拓也(Vo/Gt)が、「ここからエンジンかけていくよ!」と煽り、艶やかな歌声を届ける。さらに山中が1年を振り返り、「いろんな奇跡を見せてもらって、感動しました。

THE ORAL CIGARETTES

THE ORAL CIGARETTES

一人じゃつらいことは乗り切れないし。みんなが一人にならんように手をとりあっていけたらと思います」と思いの丈を語って、大切な想いを込めた新曲も披露。

THE ORAL CIGARETTES

THE ORAL CIGARETTES


THE ORAL CIGARETTES

THE ORAL CIGARETTES

ラストは、選ばれたFM802の学生リスナーがステージに呼び込まれ、バンドと共に熱唱。メンバーと肩を組んだり、顔を寄せ合いながら歌う感動のフィナーレを迎えた。

フレデリック

フレデリック

Z-STAGEには、フレデリックも登場。神戸ワールド記念ホールでのワンマンを成功させただけに、壮大なスケールを帯びた堂々たるライブを展開。「シンセンス」、「KITAKU BEATS」、「TO GENKYO」とまくしたて、会場をダンスホールと化す。

フレデリック

フレデリック

「俺たちの信じた音楽だけで、やりきりたいと思います!」と三原健司(Vo/Gt)が宣言して、「LIGHT」へ。グルーヴィーなサウンドにまた体がうずき、トドメの「オドループ」へ。

フレデリック

フレデリック

「気になったバンドがいたら、ワンマンにぜひ行ってみてください。そこでこそ、そのバンドの本質が見れるから」とメッセージを伝え、ラストの「飄々とエモーション」へ。とことん躍らせるフレデリックらしい圧巻のステージだった。

◆2009年の1月にヘビーローテーション阿部真央、バンド結成20周年の節目を迎えたTHE BACK HORNは共鳴ステージ◆

阿部真央

阿部真央

L-STAGEに登場した阿部真央は、2009年の1月にヘビーローテーションに選ばれた「ふりぃ」を筆頭に、ロックでキュートな楽曲を披露。ヒールを履いてスカートをひるがえしたかと思えば、拳を振りかざしながら熱唱。そんな彼女のロックスピリッツに胸が熱くなる。

阿部真央

阿部真央

ハスキーな声といじらしい声が織り交ぜられた独特の歌唱に聞き入る観客たち。イントロから歓声が沸いた「ロンリー」、そしてラストのドキッとさせられる歌詞の「ストーカーの歌~3丁目、あなたの家~」にいたるまで、観客の視線を釘付けにしてステージを後にした。

ウルフルズ

ウルフルズ

同じくL-STAGEには、ウルフルズが出演。『FM802 RADIO CRAZY 2018』当日は、何とトータス松本(Vo/Gt)52歳のバースデー! 終始笑顔が絶えないハートウォームなステージをもたらしてくれた。軽快にドライヴするギター、極太のリズムと、個が際立った泥臭いバンドアンサンブルで、会場の熱量はぐんぐん上昇。端々にオールドロックやブルースなど先人たちへのリスペクトを散りばめつつ、彼ららしい飾らないナニワ節での言葉が実に胸を掴む。

ウルフルズ

ウルフルズ

今年2月からはトリオで活動してきた彼ら。より研ぎ澄まされたサウンドメイクを奏でるも「ウルフルズが楽しく音楽をやることは変わりません」とはにかむトータス松本。その言葉どおり、最上にハピネスな音空間をもたらしてくれた。

The Birthday

The Birthday

the pillowsからのR-STAGEは、ロック・レジェンドの応酬に! なかでも凄まじい音像をもたらしてくれたのはThe Birthdayの4人だ。チバユウスケ(Vo/Gt)がオフマイクで「カモン!」と煽るや、ド頭から特大アンセム「涙がこぼれそう」を投下!  

The Birthday

The Birthday

阿吽の呼吸でシンガロングを放つオーディエンスとのシンクロ率は100%を超え、突き上げられた数多の拳と4人のシルエットが生み出す絶景の何と美しいことか。チバのブルースハープとフジイケンジ(Gt)のスリリングなセッションも湧出した「Red Eye」や、甘酸っぱいノスタルジーをまぶした「1977」と、研ぎ澄まされたエッジィさに潜む柔らかなピュアネスが実に彼ららしいひとときとなった。

THE BACK HORN

THE BACK HORN

その轟音を合図に多くのロックキッズがR-STAGEに集結。2018年はバンド結成20周年の節目を迎えたTHE BACK HORNが、特大の“共鳴”をブチかます! これまで様々なかたちで心の琴線を震わせてきた彼らのプロジェクト“KYO-MEI”が『FM802 RADIO CRAZY 2018』と合体し、ゲストとの今宵限りの宴が開幕に。

THE BACK HORN

THE BACK HORN

まずは「僕らが一番最初に作った曲です」と導いた「冬のミルク」をスガ シカオとコラボ! 甘く艶めいたスガの歌声が、山田将司 (Vo)の硬派な声質と重なり、情景をまざまざと浮かび上がらせていく。続いてはSUPER BEAVER・渋谷龍太と「美しい名前」を歌唱。

THE BACK HORN

THE BACK HORN

まるで持ち歌の如くフィットした渋谷の鮮やかなボーカルを経て、ラストは9mm Parabellum Bullet・菅原卓郎がオン・ステージ! シルキーな菅原の歌声で放つ「刃」の高潔さには拳を強く、強く握りしめずにはいられない。それにしても、TBHの持つ強靭な楽曲のパワー、そして山田の広大な空間をも残らず鼓舞する声の強さ……。

THE BACK HORN

THE BACK HORN

コラボで改めて知るバンドの地力も含め、レディクレの新たなヒストリーに燦然と輝くステージとなったことは言うまでもない。

◆CRAZY MAN CLUB BANDに木村カエラ、怒髪天・増子直純ら登場、そして2018年『FM802 RADIO CRAZY』の大トリはSUPER BEAVER◆

CRAZY MAN CLUB BAND

CRAZY MAN CLUB BAND

10回目となるロック大忘年会も残すところあと数組。間違いなく2日間のハイライトのひとつとなったのは、R-STAGEのエンディングを飾るCRAZY MAN CLUB BANDだ。2010年以来の登場となる謎の覆面バンド……その正体は奥野真哉(Key / ソウル・フラワー・ユニオン)、クハラカズユキ(Ds / The Birthday)、隅倉弘至(Ba / 初恋の嵐)、山内総一郎(Gu / フジファブリック)と邦ロック名うてのプレイヤー5人だ。先陣を切ったのは髭・須藤寿を呼び込んでの「テキーラ!テキーラ!」。マーブル模様の髭サウンドを一層サイケに奏でる5人に、須藤も音の波にサーフするかのように実に心地よさそう。9mm Parabellum Bullet・菅原卓郎との「ハートに火をつけて」では、奥野のカラフルな鍵盤と山内の泣きのギターが絡み合い、場の温度も急上昇!  

CRAZY MAN CLUB BAND

CRAZY MAN CLUB BAND

お次は怒髪天・増子直純とフラワーカンパニーズ・鈴木圭介による「オトナノススメ」「ファンキーヴァイブレーション」を。FM 802のDJ陣もお目見えし、お祭り騒ぎは一層加速。全員での大合唱に今宵イチのピースな空間と化したなか、紅一点・木村カエラが登場! ギターを手に「BEAT」など豪華なカエラ・メドレーを経て、今年逝去した漫画家・さくらももこへの愛情を込めた「おどるポンポコリン」でフィナーレへ! 全員が満面のスマイルをたたえ、大団円を迎えたと思いきや……「待て待て待てーぃ!」と、忘れられた(!?)キュウソネコカミ・ヤマサキセイヤが滑り込む! フレディ・マーキュリーよろしく、銀のギリギリな衣装をまとい正真正銘のエンディング「クレイジーマンのテーマ」をお見舞い! 次に会えるのはいつになるのか……豪華過ぎる顔ぶれがアニバーサリーを彩る、痛快なステージとなった。

SUPER BEAVER

SUPER BEAVER

そして、2日間の大トリを務めるのはSUPER BEAVER。LIVE HOUSE Antennaのステージで2015年にトリを務め、昨年はL-STAGEに出演。みるみる飛躍してきた彼らが、2018年の最後を締めくくる。ステージ上でメンバーが円陣を組み、気合を入れてライブがスタート。年忘れだと息巻いてる世の中に、渋谷龍太(Vo)が物申す。「SUPER BEAVERがトリを務めるのは、楽しかったことも辛かったことも、全てを持って、何一つ忘れないためのオンステージ!」と宣戦布告して、「美しい日」へ。「やなこと、たのしかったこと、かかえきれないことがいくつもあった。あなたしか分からないことを、あなたが守らないでどうする!」と投げかける、その実直な目に心がざわつく。

SUPER BEAVER

SUPER BEAVER

あくまでも、観客ひとりひとりと向き合うように、語り合うように歌う渋谷。彼の歌をどこまでも遠くへ、一人でも多くの人へと届けるように、柳沢亮太(Gt)と上杉研太(Ba)、そして藤原"30才"広明(Dr)のアンサンブルが轟く。全ての言葉が突き刺さるライブの勢いはとどまることをしらず……。ビジョンに映し出された観客たちの中には、涙を拭っている人も多くいた。《あっという間に終わってしまうよ》と謳われた「閃光」で、全てが尊く、またとない瞬間の連続だということを証明。だからこそ、「何がやりたい? どうしたい? 周りのことなんか気にすんな」と投げかけ、「楽しい方へ向かっていこう」というメッセージが沁みるし、否定されながらも自分たちの信じる道を進んできたSUPER BEAVERの言葉だからこそ説得力がある。

SUPER BEAVER

SUPER BEAVER

「自分自身のことをごまかしちゃいけない」 だとか、まっすぐに生きることの大切さを教えてくれるステージに身震いがした。自分は彼らみたいにまっすぐ生きられているだろうか、やりたいことをやったほうがいいんじゃないか。そんな風に考えたり、突き動かされた人も多かったはず。渋谷が言っていたような、「生きててよかった」と思える瞬間が間違いなくあったし、音楽が好きでよかったと再確認もできたステージだった。こんなすごいライブが観られるなら、来年も年末は『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2018』に来ようとも思えたはず。

SUPER BEAVER

SUPER BEAVER

インディーズバンドながら、大トリを任せられたのはラジオ局主催のイベントならではの関係性が実現したことであり、任せるに値するだけの熱いものをSUPER BEAVERが持っていたからだろう。大トリの出演と聞いて、最初は不安だったとも語っていたが、文句なしのラストライブを飾ってくれた。

SUPER BEAVER

SUPER BEAVER

この直後、会場の控え室前に設置された特設ステージで『ROCK KIDS 802』の公開生放送に参加したSUPER BEAVER。ライブ音源が早速OAされただけでなく、ステージにかけた想いや感想がいち早く届けられた。こうした、ライブの余韻にすぐさま浸れるのもFM802主催のイベントならでは。さらに、帰りのシャトルバスでも、ライブ音源が聞けるという粋なはからいも嬉しい。随所に散りばめられた、観客への気遣い、そしてよりアーティスト自身のことを知ってほしいという想い、ライブによりのめり込んで欲しいという熱意は、きっと来年で30周年を迎えるラジオ局として、毎日リスナーひとりひとりと向き合ってきただけに自然なことなのかもしれない。

FM802 RADIO CRAZY

FM802 RADIO CRAZY

また、ヘビーローテーションナンバーが演奏されるとブチ上がる一体感は、毎日オンエアを続けてきたからこそ生まれるものだったはず。さらに、CRAZY MAN CLUB BANDといった豪華なコラボなど横のつながりは、FM802とイベントを通して培われてきた関係性の賜物。そして、『FM802 RADIO CRAZY』は10年、FM802は30年になる地続きになってきた縦の歴史があるからこそ生まれるドラマも、ここでしか見れないスペシャルなものだった。イベント10回目も、漢字にすると「十回目」。802ならではの横のつながりと、縦の歴史……。それらが十字に交わって、集結したもっとも濃い魅力を、この二日間に渡って体感することができたのではないだろうか。

FM802 RADIO CRAZY

FM802 RADIO CRAZY

10回目の集大成であり、FM802の30周年イヤーに向けた新たなスタートとなった『FM802 RADIO CRAZY』。年が明けてもこの日のライブ音源や公開収録の模様がOAされるだけでなく、19年6月1日、2日には2Daysで大阪城ホールでの30周年のアニバーサリーイベントの開催も決まっているので、余韻を増幅させながら、まだ知らぬ音楽と出会い、より深く知ることで、また来年の『FM802 RADIO CRAZY』がより楽しめるようにラジオをチェックしてみてほしい。

1日目のレポートはこちら

取材・文=大西健斗、岡田あさみ、後藤愛 撮影=井上嘉和、田浦ボン、日吉“JP”純平、森好弘、渡邉一生、Peta


[ALEXANDROS]で大合唱、FM802春のキャンペーンソング「栞」を豪華コラボで熱演を果たした『FM802 RADIO CRAZY 2018』レポート

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『FM802 RADIO CRAZY 2018』2018.12.27.28 インテックス大阪

大阪のラジオ局FM802が主催する関西最大級のロックフェス『FM802 RADIO CRAZY 2018』が12月27日、28日にインテックス大阪にて開催。今年で10回目を迎えるとだけあって、新進気鋭の若手バンドからFM802と関わりの深いレジェンドまで、豪華アーティストが集結し、大にぎわいの“ロック大忘年会”となった。二日間にわたって総勢70組以上のアーティストが繰り広げたライブ模様を、ダイジェストでレポートしよう。2日目のレポートはこちら

会場には「LIVE HOUSE Antenna」「L-STAGE」「R-STAGE」「Z-STAGE」の4つのライブステージに加え、関西屈指の名店や番組とのコラボメニューが楽しめる飲食ブース「はちまるに横丁」、おみくじや書き初めならぬ“書き納め”ができる「音波神社」、ユニークな縁日が並ぶ「寄って亭!」など、楽しく休憩できるスペースも充実。

今年は若干のレイアウト変更が加えられ、より快適に過ごせるように工夫されていた。雪が降るほどの寒さとなっただけに、屋内の休憩スペースや、こたつで温まれるエリアの充実は嬉しい限り。全ては、音楽を万全の状態で楽しむための心遣いのように思う。

◆R-STAGEには『MUSIC FREAKS』でDJを務めるあいみょん、藤原聡(Official髭男dism)が登場◆

Hump Back

Hump Back

R-STAGEで1日目のトップバッターを飾ったのは、Hump Back。「10代の自分へ!24歳の自分は今、RADIO CRAZYのステージに立っています!」と気合十分に、2018年6月にヘビーローテーションとなった「拝啓、少年よ」を歌いだす林萌々子(vo&g)。

Hump Back

Hump Back

前半はパワフルなナンバーで駆け抜け、後半は「悲しみのそばに」などしっとりとキュートながら芯のある歌声を響かせていく。「ラジオも音楽も最速で人を助けにいけるものでありますように!」(林)と叫び、届けた「星丘公園」にグっときたラスト。音楽への愛に満ちた熱い幕開けとなった。

Official髭男dism

Official髭男dism

続いて、R-STAGEに登場したのは、10月から藤原聡(Vo&Key)が『MUSIC FREAKS』のDJを務め、「Stand By You」が2018年のヘビーローテーションとなるなど、2018年は、FM802となにかと縁のあったOfficial髭男dism。ラブソング「115万キロのフィルム」からスタート。

Official髭男dism

Official髭男dism

さらに、ファンキーなナンバー「FIRE GROUND」で小笹大輔(Gt)のソリッドなギターに絡みつくリズム隊。思わず腰から踊らされる。「なにげに初出演でした!こんなに楽しいなんて知らんかったー!!」と、最高の笑顔で、1年間の感謝の想いを伝える藤原。最後は「Stand By You」で締めくくり、R-STAGEをヒゲダン流の色彩豊かなPOPSで染め上げた。

あいみょん

あいみょん

藤原と同じく、『MUSIC FREAKS』のDJを務めている、あいみょんもR-STAGEに登場。バンド編成での出演となり、関西では初とのこと。「初めてがレディクレでよかった」と喜びをあらわに、バンドならではの迫力の増したライブを展開。端から端まで見渡し、観客の顔をひとりひとり確かめるように歌う姿が印象的だった。

あいみょん

あいみょん

「2018年はいろいろなことがあった」と振り返り、「この曲で出会ってくれた人もたくさんいると思うので、歌ってありうがとうと言いたい」と、最後は「マリーゴールド」で締めくくった。

奥田民生

奥田民生

R-STAGEで貫禄のステージをみせたのは、奥田民生。12thアルバム『サボテンミュージアム』のレコーディングメンバー・MTR&Y(小原礼・湊雅史・斎藤有太)という最強の布陣を率いて登場。いきなり名曲「イージュー★ライダー」のイントロで大歓声に包まれ、最初のサビからいきなり大合唱に!

奥田民生

奥田民生

そこから、重心の低いグルーブとシャウトが炸裂する「ギブミークッキー」への流れは鳥肌もの。最後はお酒片手に、「さすらい」でしめるという最強のセットリストで、集まったすべての人を虜に。

フジファブリック

フジファブリック

奥田民生からのフジファブリックという流れにグっとくるものを感じながら開演を待つ。「若者のすべて」など初期の名曲のメロディに涙腺が緩む冒頭。各パートの痺れるソロを披露した「電光石化」のあと、「来年はデビュー15周年です」と山内総一郎(Vo/Gt)。

フジファブリック

フジファブリック

「2019年は電光石火のごとく、全力で突っ走ります!」と宣言し、来年10月に予定されている大阪城ホールのワンマンライブへ向けて意欲を見せる。続いて、1月発売のニューアルバム『F』から、新たなステージへの予感を感じさせる新曲「東京」も披露!

◆LIVE HOUSE AntennaにRei、10年間、皆勤賞のOKAMOTO’S、FM802 弾き語り部の課外活動も◆

Rei

Rei

今年もライブハウスからシーンを席巻する若手が集結した「LIVE HOUSE Antenna」。中でも圧巻のステージを見せたのはRei。自己紹介がてらの「My Name is Rei」に、「COCOA」など卓越したギターと日本語交じりの英語詞で会場を圧倒する。今度はゲストを招きたいと、OKAMOTO’S のオカモトショウ(Vo)が呼び込まれコラボ!

Rei

Rei

なかなかゲスト出演する機会がない中で、Reiとセッションできることが嬉しいと語っていたショウ。「Walk This Way」「BLACK BANANA」を誰よりも楽しそうに歌い上げ、会場の熱気を上昇させていった。

OKAMOTO'S

OKAMOTO'S

Reiのステージからしばらくして、10年間、皆勤賞のOKAMOTO’Sが登場。オカモトショウ(Vo)が「今年も来たぜー!レディオクレイジー!」と挨拶し、2009年の「レディオクレイジー」初開催時に、最初のステージを任された時と同じ、L-STAGEで観客を心から躍らせるライブを展開。オカモトコウキ(Gt)、オカモトレイジ(Dr)、ハマ・オカモト(Ba)がゴリゴリのサウンドを鳴り響かせ、フロアを波うたせる。OKAMOTO’Sも来年、デビュー10周年。新曲も披露されたほか、来年6月に控える初の武道館公演への意欲に満ち満ちたアグレッシブなライブをみせた。

MONOEYES

MONOEYES

皆勤賞といえば、この男も。MONOEYESとして出演した、細美武士だ。なんとバンドのステージを終えた直後には、音波神社 境内ステージに参上。大抜卓人の番組「TACTY IN THE MORNING」のコーナー「月刊・細美武士」の延長である公開収録として、この10年を振り返るほか、細美がボーカルを務めるバンド、MONOEYES、the HIATUS、ELLEGARDENの違いについてインタビュー。

MONOEYES

MONOEYES

最後には弾き語りも披露して、涙を誘う場面も……。濃厚なインタビューの模様は、後日番組でOAされるのでチェックしてみよう。

FM802 弾き語り部

FM802 弾き語り部

境内ステージでは、今年も「FM802 弾き語り部」の課外活動を実施。部長を務めるLAMP IN TERREN松本大のほか、昨年に引き続きRei、そしてビッケブランカが弾き語りを披露。

FM802 弾き語り部

FM802 弾き語り部

いつものステージとは一味違う、温かみの帯びたライブで観客との距離を縮めていった。最後には、3人によるコラボも!来年1月24日には、大阪・BIGCATにて『新春発表会』の開催が決まっており、松本大に加え、山内総一郎(フジファブリック)と渡辺大知が出演する。バンドとはまた違った、音楽の楽しみ方を味わえる機会を見逃さないでほしい。

FM802 弾き語り部

FM802 弾き語り部

◆今年の漢字に「映」「悔」「繋」「栞」、ビッケブランカ、SCANDALのHARUNA、Radio Bestsellersも登場◆

FM802 今年の漢字

FM802 今年の漢字

FM802ならではのコラボといえば、L-STAGEで実施された「FM802 今年の漢字」。DJがそれぞれ考えた今年の漢字1文字にちなんだ楽曲をアーティストが披露するというもの。まずは、DJ大抜卓人が選んだ「映」。今年は、音楽映画の豊作年ということもあり、この漢字を選んだそう。数ある映画の中で、大抜が一番だと思った映画『ボヘミアン・ラプソディー』から、QueenのKiller Queenをビッケブランカが披露。

FM802 今年の漢字

FM802 今年の漢字

続いて、DJ中島ヒロトが選んだ「悔」。今年は災害などが多く音楽イベントも被害を受け中止をよぎなくされた。この悔しさをバネに、来年はもっとハッピーにとの思いをこめて、「夜空ノムコウ」をBLUE ENCOUNTの田邊駿一とKEYTALKの寺中友将が熱唱。

FM802 今年の漢字

FM802 今年の漢字

さらに、DJ仁井聡子の「繋」にちなんで、このために駆けつけたSCANDALのHARUNAがJUDY AND MARYの「RADIO」が歌い、観客と音楽で気持ちを繋いだ。

FM802 今年の漢字

FM802 今年の漢字

最後は、DJ落合健太郎が「栞」を。今年のFM802春のキャンペーンソングとして製作された楽曲のタイトルだ。何度もラジオで聴いてきた楽曲なだけに、観客も大歓喜。ステージには、この曲に参加しているあいみょん、尾崎世界観(クリープハイプ)、片岡健太(sumika)、斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)、スガ シカオ が登場。インフルエンザのため出演がキャンセルとなったGEN(04 Limited Sazabys)の想いを背負ってか、斎藤が04 Limited SazabysのTシャツを着ているところにもグッときた……。FM802とリスナーが育んできた思い出深い楽曲を、豪華な顔ぶれが生で歌う。そんな、ここでしか見れないステージに興奮を隠せなかった。

UNISON SQUARE GARDEN

UNISON SQUARE GARDEN

そんな「栞」にも参加している、UNISON SQUARE GARDENは、最大のキャパとなるZ-STAGEに出演。「春が来てぼくら」でライブをスタートさせると、のっけからトップギアで怒涛のステージングで観客を飲み込んでいく。ほとんどMCなし、息つく暇もないノンストップなライブにフロアが揺れっぱなし。

UNISON SQUARE GARDEN

UNISON SQUARE GARDEN

「天国と地獄」、「Catch up,latency」で会場のテンションをぶち上げると、ラストの「シュガーソングとビターステップ」へ。イントロのギターが鳴った瞬間から大歓声が巻き起こり、観客にとってアンセムとも言えるナンバーで盛大に締めくくった。

SHISHAMO

SHISHAMO

直後には、「2018年、大阪では今日が歌い納めです!」と、Z-STAGEに登場したのは、6年連続の出演となったSHISHAMO。前半は「ねぇ、」「水色の日々」など最新アルバム「SHISHAMO5」からのナンバーを中心に、甘酸っぱいサウンドを届けた3人。松岡 彩(Ba)がSHISHAMOライブ初心者に向けてタオルのまわし方を伝授した「タオル」からは、フェスモードに。

SHISHAMO

SHISHAMO

いつものキュートなアニメーションもレディクレ仕様になっているのがうれしい。「君と夏フェス」では、より力強くなったロックスピリット溢れる演奏に驚かされる。「明日も」では、モニターに手書きの歌詞がうつしだされ、ファンも一緒に大合唱!

◆現在進行形のSuchmos、大阪のために作った曲「栞」クリープハイプ、初日Z-STAGEのトリに[ALEXANDROS]

Suchmos

Suchmos

さらに、Suchmosは今年、「2018 FIFA ワールドカップ」を盛り上げた「VOLT-AGE」でZ-STAGEのライブをスタート。YONCE(Vo)が軽やかにステージ端までハンドマイクで煽りながら、強靭かつアバンギャルドなセッションを繰り広げ、どこまでもディープな世界へとオーディエンスを誘っていく。

Suchmos

Suchmos

「1曲聴いてもらっていいかな?」とリラックスした空気感の中、新曲も披露。ベースリフにラテン調のアコースティックギターが心地よく、後半スリリングな展開に自由に音に身をゆだねるオーディエンス。現在進行形のSuchmosの音楽を余すところなく伝えてくれた。

10-FEET

10-FEET

L-STAGEで、FM802への思いが溢れるスタートをきったのは10-FEET。FM802の番組名と担当DJ名前を口にし、最後「802!OCHIKEN Goes ON!!」とTAKUMA(Vo/Gt)が叫び、「goes on」からライブがスタートすると、待ってましたとばかりに、暴れたりないロックキッズたちが前方で渦を巻く。歌のみでスタートした「蜃気楼」で、TAKUMAの言葉が優しく心に寄り添ってくる。後半、「短めの曲ならいけるわ!」と3人で顔を見合わせ、即興で「SHOES」をセトリに急遽さしこむ場面も。そんなライブバンドたるカッコ良さとサービス精神がますますキッズたちを虜にする。最強セトリで完全燃焼した圧巻のステージだった。

クリープハイプ

クリープハイプ

「最近白髪が増えてきて……。もう全部白髪になるまでで続けたいと思います。こればっかりは、“夏のせい”じゃなくて、“802のおかげ”です」と、尾崎世界観(Vo/Gt)が感謝いっぱいのMCを披露していたクリープハイプ。前半の攻め立てるようなライブから一転、後半は温かみのある展開に。「大事なタイミングにおかしなやつにキャンペーンソンングを任せてくれるなんて、ロックなラジオ局だなと。大阪のために作った曲は、大阪において帰ります。さっきもやったけど、今回は一人だから10倍にして歌うので聴いてください」と、「栞」を披露。Z-STAGEに詰め掛けた観客に、感謝を伝えるような真摯なライブだった。

[ALEXANDROS]

[ALEXANDROS]

そんなZ-STAGEのトリを飾るのは、[ALEXANDROS]。大歓声に迎えられ、「LAST MINUTE」でライブをスタート。すぐさま今度は、「ワタリドリ」で観客を高く高くジャンプする早くも最高潮に。「Starrrrrrr」では大合唱が巻き起こるなど、観客と共にライブを作り上げていく。川上洋平(Vo/Gt)がMCでイベントへの想いを語ると、続けてニューヨークに渡っての楽曲制作について現地での心境を語った。日本でなら、誰もがしる[ALEXANDROS]だが、海外では誰も知らない、何者でもない自分たちに悔しさを覚えたそう。その悔しさをバネに、楽曲を制作、そして改めて「自分たちはやっぱり世界一のバンドだなと再認識しました」と。自信を得た彼らのライブは、何があっても揺らがない強固な結束力とエネルギーに満ち溢れていた。また、「ライブにはそれぞれの楽しみ方があるから。誰かと一緒のことはしなくていい。やりたいことをやって、自信を持って自分の道を歩んでほしい。そうすればもっともっと高らかに笑える未来を迎えられると思うから」と、胸に突き刺さるメッセージも。観客の背中を押すようなステージを終え、アンコールでは「アルペジオ」も披露。アカペラで観客とシンガロングを成功させた。初日のラストにふさわしい、特別な時間と体験を観客と築いてステージを後にした。

と、1日目から凄まじいライブが数々繰り広げられた『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2018』。2日目もラジオ局主催のイベントならではの展開が続々! どのようにして、今年のロック納めが成されたのか。ぜひ見届けてほしい。

2日目のレポートはこちら

取材・文=大西健斗、岡田あさみ、後藤愛 撮影=井上嘉和、田浦ボン、日吉“JP”純平、森好弘、渡邉一生、Peta

米津玄師、1年間の感謝を込めた祝賀ボードを渋谷駅に掲出 「Lemon」について「この曲が北極星として輝き続けてくれる……」

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12月30日、米津玄師の“祝賀ボード”が東京・渋谷駅のハチ公口に掲出された。

祝賀ボードは、楽曲「Lemon」が、200万ダウンロード、MV 2億4,500万再生突破、主要ランキングでのシングル年間1位など、さまざまな記録の樹立、賞の受賞についての感謝の気持ちを込めたもの。米津自身がツイッターで投稿した、「音楽はつづく」のメッセージが刻まれている。この祝賀ボードは、1月14日まで掲出されるという。

米津は、「Lemon」について、「初めてのドラマ主題歌であり、良くも悪くも自分をまた大きく違う場所へ連れて行ってくれた楽曲です。これからの音楽家としての人生において、この曲が北極星として輝き続けてくれるような気が今はしています」とコメントしている。


「Lemon」の2018受賞/記録/年間ランキンングの一覧は以下のとおり。

 

米津玄師「Lemon」2018受賞/記録/年間ランキンング受賞一覧  

第60回 日本レコード大賞 特別賞 受賞

第96回ドラマアカデミー賞 「最優秀ドラマソング賞」受賞

東京ドラマアウォード2018 「主題歌賞」受賞

MTV VMAJ 2018 最優秀ビデオ賞「Best Video of the Year」受賞

MTV VMAJ 2018 「最優秀邦楽男性アーティストビデオ賞」受賞

レコード協会 「史上最速」100万DL認定 (シングルトラック・2018年4月30日付)

オリコンデジタル「史上初」100万DL突破(2018.5.14付 オリコン調べ)

CD+DL合算 200万セールス突破(2018.11.6付 レコード会社調べ)

200万ダウンロード突破(2018.12.21付 レコード会社調べ)

オリコン年間デジタルシングル(単曲)ランキング2018 1位(2017.12.25~2018.12.17)

オリコンミュージックストア 2018年 年間ダウンロードランキング【総合シングル】1位(2017.12.11-2018.12.9)

オリコン年間カラオケランキング 2018 1位(2017.12.11-2018.12.9)

Billboard JAPAN HOT of the Year 2018 1位(2017.11.27〜2018.11.25)

Billboard JAPAN Top Artists of the Year 2018 1位(2017.11.27〜2018.11.25)

Billboard JAPAN Download Songs of the Year 2018 1位(2017.11.27〜2018.11.25)

TSUTAYA2018年度 年間レンタルCDランキング:シングル 1位(2018.1.1〜2018.10.31)

TSUTAYA音楽ダウンロード「シングル」年間ランキング2018 1位(2018.1.1〜2018.11.30)

DAM年間ランキング 楽曲別 1位 (2018.1.1〜2018.11.10)

DAM年間ランキング 歌手別 1位(2018.1.1〜2018.11.10)

JOYSOUNDカラオケ年間ランキング総合 1位 (2018.1.1〜2018.10.31)

JOYSOUNDカラオケ年間ランキング楽曲別 1位 (2018.1.1〜2018.10.31)

JOYSOUNDカラオケ年間ランキング アーティストランキング 1位(2018.1.1〜2018.10.31)

レコチョク年間ランキング2018 レコチョクランキング 1位(2018.1.1〜2018.11.30)

レコチョク年間ランキング2018 アーティストランキング 1位(2018.1.1〜2018.11.30)

mora 2018 年間ダウンロードランキング 総合シングル(単曲)部門 1位(2017/12/1〜2018/11/30)

mora 2018 年間ダウンロードランキング 邦楽シングル(単曲)部門 1位(2017/12/1〜2018/11/30)

music.jp年間ランキング2018 【音楽】シングル部門 1位

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歌ネット『2018年・歌詞閲覧 年間ランキング』【楽曲別】Lemon 1位 (2018.1.1.~2018.12.13付)

歌ネット『2018年・歌詞閲覧 年間ランキング』【アーティスト別】1位 (2018.1.1.~2018.12.13付)

2018プチリリ楽曲別ランキング 楽曲別ランキング1位(2017.12.1〜2018.11.30)

2018プチリリ楽曲別ランキング アーティスト別ランキング1位(2017.12.1〜2018.11.30)

YOSHIKIプロデュースの新作ワイン『Y by Yoshiki』が発売と同時に年内分が完売

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YOSHIKIプロデュースワインの第四弾『Y by Yoshiki Cabernet Sauvignon Oakville Napa Valley 2016』が12月26日に発売され、年内分が完売した。

オフィシャルサイトでは、販売開始直後に「年内入荷分は完売致しました」と表示され、各取り扱い店舗でも軒並み「Sold Out」の文字が並んだとのこと。

『Y by Yoshiki』は、YOSHIKIと醸造家・ロブ・モンダヴィJr.氏が10年をかけて完成させた新作ワイン。カリフォルニアの銘醸地と言われるナパ・ヴァレーの中心に位置するOakville(オークヴィル)のブドウから造られ、YOSHIKI自身が今までの中で過去最高傑作と胸を張る自信作だという。

なお、この新作ワインは年明け2019年からオフィシャルサイトならびに各店舗にて注文が再開される。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』が国内動員500万人、興行収入70億円を突破 世界では730億円超え

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映画『ボヘミアン・ラプソディ』が12月29日(土)までに、国内動員500万人、興行収入70億円を突破したことがわかった。

『ボヘミアン・ラプソディ』は、ロックバンド・クイーンのボーカル=フレディ・マーキュリーの生きざまを描きだした伝記映画。タイトルともなった楽曲「ボヘミアン・ラプソディ」や「ウィ・ウィル・ロック・ユー」といった楽曲の誕生や、チャリティコンサート『ライブ・エイド』でのパフォーマンスなども再現。同バンドのブライアン・メイとロジャー・テイラーが音楽総指揮、監督を『X-MEN』シリーズのブライアン・シンガーが務めている。フレディ・マーキュリーを演じるのは、海外ドラマ『MR. ROBOT/ミスター・ロボット』でエミー賞主演男優賞を受賞したラミ・マレック。


日本では公開8週目を迎え、同作の12月29日(土)までの累計動員は508万1,356人、累計興行収入は70億1120万円を記録。3連休からクリスマス、年末まで好調を維持している。なお、世界興収は738億76,12万7,474円(669,926,343ドル/1ドル110円換算/12月30日付/Box Office Mojo調べ)に到達している。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』は公開中。

石崎ひゅーい、菅田将暉と一つのマイクで歌う“友情”の共演 初出演の『COUNTDOWN JAPAN』ステージで2018年を締めくくる

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シンガーソングライターの石崎ひゅーいが、12月30日(日)に千葉・幕張メッセ開催ASTRO ARENAで開催された『COUNTDOWN JAPAN 18/19』に初出演した。

撮影=鈴木友莉

撮影=鈴木友莉

アーティスト紹介のジングルが鳴り終わり、バンドメンバーがしっとりとイントロを演奏し始める中、ステージサイドより石崎がゆっくりと登場。「ピーナッツバター」を演奏し、アウトロでおもむろにアコギを持つと、すかさず次曲「トラガリ」へ突入。ダンサブルなナンバーで会場を盛り上げた。

石崎ひゅーい 撮影=鈴木友莉

石崎ひゅーい 撮影=鈴木友莉

MCで石崎が、「友達呼んでもいいですか」と、ゲストの菅田将暉を呼び込むと、会場からは大歓声が。二人は、「大切な僕らの曲をやっていいですか」と、問いかけ、石崎が菅田に楽曲を提供した「さよならエレジー」と、石崎の楽曲「僕だけの楽園」で共演。一つのマイクで二人一緒に歌うなど、熱い友情を感じられるステージを展開した。

石崎ひゅーい、菅田将暉 撮影=鈴木友莉

石崎ひゅーい、菅田将暉 撮影=鈴木友莉

石崎ひゅーい、菅田将暉 撮影=鈴木友莉

石崎ひゅーい、菅田将暉 撮影=鈴木友莉

石崎は「あたたかく迎えてくれてありがとう」と、観客に感謝を伝え「夜間飛行」を最後に歌い、ライブを締めくくっている。

石崎ひゅーい、菅田将暉 撮影=鈴木友莉

石崎ひゅーい、菅田将暉 撮影=鈴木友莉

石崎ひゅーい、菅田将暉 撮影=鈴木友莉

石崎ひゅーい、菅田将暉 撮影=鈴木友莉

石崎は、今年合計48本の弾き語りワンマンライブやカバーライブツアー、その他いくつものライブイベントに出演し、精力的なライブ活動を行った。『COUNTDOWN JAPAN 18/19』は、そんな石崎の2018年最後を飾るにふさわしい、大盛況のステージとなった。

夢みるアドレセンス、2019年5月から史上最大規模の全国ツアー開催へ ワンマンライブツアーファイナル公演で発表

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12月30日(日)、夢みるアドレセンス(通称:夢アド)が兵庫・神戸ハーバースタジオにて、ワンマンライブツアー『輝け!夢アドアワード2018※内容はワンマンライブです』のファイナル公演を開催した。

ライブでは、ダブルアンコールを含め21曲を披露。ライブ中盤には、緊急発表として、2019年5月から自身史上最大規模となる全国ツアーを開催することを発表し、会場に集まったファンから大きな歓声を受けた。なお、公演の詳細は後日発表される。

夢みるアドレセンス

夢みるアドレセンス

夢アドは、3月13日に2年ぶりとなるニューアルバムを発表予定。同ツアーは、アルバムリリースを記念したものとなる見通しだ。

第60回日本レコード大賞、小室哲哉が特別賞を受賞 

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小室哲哉が、第60回 輝く!日本レコード大賞の特別賞を受賞した。

特別賞とは“社会的に最も世の中を賑わせ注目された人や作品”に贈られる賞。小室は今年2018年1月に引退を発表。引退後の影響力が、今回の受賞の理由となったという。

12月7日付で発表となったBillboard JAPAN Download Albums of the Year 2018では、小室率いるglobeの『15YEARS-BEST HIT SELECTION-』が6位にランクイン。さらに、レコチョク年間ランキング2018(集計期間:2017年12月1日~2018年11月30日)では、2位を獲得している。なお、『15YEARS-BEST HIT SELECTION-』は2010年に発売された作品だ。

また、2019年3月27日には、小室哲哉の作品集『TETSUYA KOMURO ARCHIVES PROFESSIONAL PRODUCTS』がリリースされる。こちらには、小室の楽曲のほか、浅倉大介とのユニットPANDORAによるBillboard Liveの秘蔵映像『PANDORA Billboard LIVE Off Shot Movie(DVD)』も収録。現在、ダイジェスト映像がYouTubeで公開中だ。


なお、同作品集の発売を記念し、2019年1月6日(日)に、ニコニコ生放送で特別番組が放送されることが決定。Globeのマーク・パンサーをMCに、小室哲哉の楽曲をより広く、深く楽しむ番組とのこと。

 

 


シド×河村隆一、MUCC逹瑯らによるイエモンコピーバンド、『JACK IN THE BOX 2018』オフィシャルレポート

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12月27日(木)、日本武道館にて、『MAVERICK DC GROUP PRESENTS JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』が開催された。L'Arc~en~Cielやシド、MUCCらの所属事務所主宰恒例のライブイベントで、今回のキャッチフレーズは「平成最後の年末緊急招集」。結成15周年のアニバーサリーイヤーを駆け抜けたシドをトリに、河村隆一をスペシャルゲストに迎える豪華な内容で、約6時間のステージを繰り広げた。

NOCTURNAL BLOODLUST『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

NOCTURNAL BLOODLUST『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

トップバッターはNOCTURNAL BLOODLUST。定刻の15時を迎えると、イベント名を大きく刻んだ幕越しにライトが明滅。衝撃音と共にSEが切り替わると、幕が上がり赤く染められたステージが出現。滴る水音が響く不穏なSEの中メンバーが登場し「武道館!」と尋(Vocal)がシャウト。Masa(Bass)、サポートのミヤ(MUCC/Guitar)、DAIKI(HER NAME IN BLOOD/Guitar)、Ryutaro(Guitar)の前列5人が一列に並び、激しいヘッドバンギングを繰り返しながら、「Punch me if you can」をのっけから最高潮のテンションで鳴らし始める。尋は「飛べ、飛べ~!」と曲間で煽り、ラウドでヘヴィな音の渦の中に観客を引き込んだ。

NOCTURNAL BLOODLUST『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

NOCTURNAL BLOODLUST『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

続く「銃創」は眩しく明滅するライトの中、尋はハイトーンで咆哮。超ハイテンポかつ激しいサウンドの中にも、哀切を帯びたメロディーには、暗黒の美と情緒が宿っていた。その勢いにあっけに取られていると、「the strength I need」はミディアムテンポに乗せ、切々と訴え掛けるような歌を届けた。「今年最後の1曲、全力を込めて歌います!」(尋)と披露したのは「VENOM」。再び超高速の裏打ちのリズムをNatsu(Drum)は打ち鳴らし、Masaが前方へ歩み大きく足を開いてパワフルにプレイ。床が揺れるほどの重低音である。ミヤは走り回ってDAIKIと向き合ったり背中合わせになったりしてプレイ。Ryutaroは緻密な演奏に集中していた。緊迫感と、メロディアスなサビによってもたらされる解放感。そのコントラストがダイナミックで痛快。エモーショナルな歌と演奏と、ラウドさの中に宿るピュアな透明感、そして華やかなステージング。そして「また来年もよろしくお願いします!」という締め括りも含め、挨拶には礼儀正しさを感じる、あらゆる面で真っ直ぐなステージだった。

ユナイト『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

ユナイト『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

ディスコティックなSE「funky!!!」に乗せ、色とりどりのライトに照らされたステージに、2番手ユナイトが登場。客席でも観客の手元のカラフルなサイリウムが一斉に灯った。一人一人センターの台に立って礼をして、最後に結(Vocal)が「それでは武道館の皆さま、イタダキマス!」と開演の第一声。「ice」を放つと、髪を振り乱して音に乗る観客たち。結は早速アリーナにせり出す花道に進み、華麗なターンをしながら歌い歩いた。「武道館、会いたかったよ~!」(結)などと曲間で盛んにファンへと言葉を掛けながら、メロディアスでキラキラとしたユナイト色のサウンドを届けていく。「武道館、ゴチソウサマデシタ!」(結)で締め括ると、「平成最後にここ武道館でライブをすることができてすごくうれしいです。ありがとうございます」と挨拶。続けて最新アルバム『NEW CLASSIC』から「栞」を披露。ミディアムテンポの四分打ちで、和の情緒が漂う、しっとりと聴かせる曲。転調は劇的で、ところどころ拍子が変わる複雑さも良いアクセントとなっていたし、彼らのテクニックの高さを示してもいた。アンサンブルも美しく、披露し終えると大きな拍手が送られた。「手拍子下さい!」(結)の呼び掛けで始まったキュートなエレクトロポップロック「隕石系スタジオパンダ」からはダンサブルな楽曲を怒涛の畳み掛け。椎名未緒(G)やLiN(G)も頭上で自らハンドクラップして観客をいざない、ハク(B)はセンターの花道へと歩み出て、チャイナ調のフレーズを織り込んだ小気味よいこの曲を、大いに盛り上げた。

ユナイト『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

ユナイト『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

「Cocky-discuS」ではタオル回しで一体感、参加感をますます高めていく。莎奈(Dr)が繰り返す高揚感に満ちたリズムを軸に、ユナイトの音楽は、まるで野外スタジアムでパフォーマンスしているかのような、解放感のある空気を醸し出していた。「2018年1年掛けて育てて来た曲をやります。受け取ってください」(結)と放ったのは、ラストの「-ハロミュジック-」。メンバーが腕を大きく動かすアクションを見せるダンサブルな楽曲で、莎奈もスティックを舞わせるような動きを交えてドラミング。日常生活の煩わしさや苦しみをひと時忘れされてくれるような、楽しさに溢れた曲だった。「ありがとうございました、二番手ユナイトでした! 今日は最後の最後まで楽しんでいってください」(結)と挨拶。エンターテイナーとして益々の進化を見せた、ファンタジックで華やかなステージだった。

SORA Session『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

SORA Session『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

続いて幕を開けたのは、『MDC SUPER ALL STARS』のコーナー。トップバッターは、SORA with Naughty "RESPECT" stars。SORA(DEZERT/Dr)の敬愛するミュージシャンが集ったスペシャルユニットで、ボーカルはKen(L’Arc~en~Ciel)が務めた。ミヤ(MUCC)のギターアルペジオに合わせ、Kenが歌い始めたのはMUCCの「勿忘草」。それと判った瞬間、会場からは大きな歓声が沸き起った。ユラユラと身体を揺らしながら歌い、とりわけ高音部で情感の迸りを感じさせるKenのボーカル。SORAは丁寧に一音一音、その歌声に寄り添うようなドラミングを聴かせた。ミヤのギターソロでは、Kenがミヤの真前へと移動ししゃがんで凝視。ミヤは笑いを堪えるような表情でプレイ、その2人の様子に会場は沸いた。Sacchan(DEZERT/B)は俯いてプレイに集中し、深く落ち着いた音色で曲を支えた。

SORA Session『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

SORA Session『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

4人の歌と演奏は、一つのイメージをしっかりと共有し合っているかのように、呼吸の合った心地よいうねりを生み出していた。続いて次の曲、DEZERTの「TODAY」へ。KenとSacchanは、ジャンプを繰り返し全身で音に没入。Kenは、もがきながら生きる苦悶と葛藤を感じさせる歌詞を、随所でハイトーンのフェイクも織り交ぜながら、咽び泣くように、時に叫ぶように、情熱的に歌い上げていく。アンサンブルも熱く、その熱量に深く引き込まれていった。そしてKenが突然、明希(シド/B)の名を呼びどよめく観客の中、助っ人として明希を招き入れた。「見ての通り、今日はベースではございません」(明希)との言葉通り、赤いライトに射られながらスタンドマイクで歌い出したのは、Kenのソロ曲「Speed」。Kenはステージ下手側の花道へと進み、明希の歌に合わせ身を揺らしていた。2番ではその場でKenが青いライトに照らされて歌唱。艶があって深く響く、色気のあるヴォーカルは健在である。ミヤが奏でたギターソロはKen節をリスペクトして再現したような澄んだクリアな音色。その間にステージ中央へと戻ってきたKenは、明希から大サビを歌い繋ぎ、ラストは2人で声を合わせて力強く、「祈りを」と歌詞の最後の言葉を放った。「サンキュー、明希!」と送りだすと、「サンキュー、ミヤくん、サンキューSacchan、サンキューSORA」とKenは一人一人に感謝を述べて、SORAの周りに3人が集まってフィニッシュ。大きな拍手と声援の中、貴重な顔ぶれによる一度きりのセッションは幕を下ろした。

THE YELLOW MONCHHICHI2 『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

THE YELLOW MONCHHICHI2 『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

続いて始まったのは、THE YELLOW MONCHHICHI2。逹瑯(MUCC)をボーカルに、生形真一(Nothing's Carved In Stone、ELLEGARDEN)、明希(シド)、足立房文(ex.フジファブリック)、松田晋二(THE BACK HORN)というメンバーで送る、THE YELLOW MONKEYへの愛を炸裂させるコピーバンドである。白い衣装で登場した逹瑯が、手をかざして客席を見渡すと、1曲目の「JAM」へ。「逢いたくて 逢いたくて」と繰り返し訴え掛けるように歌うクライマックスでは、逹瑯は胸元に左手を当て、右足を台に乗せ、切々と歌唱。松田は晴れやかな表情で明希を見やり、呼吸を合わせながら心地よい三連のリズムを繰り出していく。メンバー全員が音に身を委ねるように、5人一緒に、心で歌っているような歌と演奏だった。

THE YELLOW MONCHHICHI2 『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

THE YELLOW MONCHHICHI2 『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

続く「SPARK」では激しくライトが明滅し、疾走感あるパフォーマンスを展開。生形が華麗にギターソロを奏でる間、逹瑯はセンターの花道へ。パワフルであると同時に適度にリラックスしたような、楽しんでパフォーマンスしている様子が印象的だった。「はい、どうも、THE YELLOW MONCHHICHI2です」(逹瑯)と挨拶すると、メンバー紹介。「明日ここで本人たち(THE YELLOW MONKEY)が歌うということで、まさに、デッカい前座みたいな(笑)。本人たちの前日にこんなデカいステージでやること、ないよな?」と喜びを興奮気味に語ると、「まさに、メカラウロコ的な(笑)」とTHE YELLOW MONKEYのライブタイトルを引用して笑いを巻き起こしていた。足立の優しいピアノのフレーズが奏でられ、スタートしたのは「バラ色の日々」。メジャーコードのメロディーを、泣いているような潤んだ声や、がなるようなパンチの効いた声で、実に表現豊かに歌う逹瑯。明希のベースも音は太く、フレーズは滑らか。硬質な、1音1音粒立った音色で奏でられたアウトロの生形のギターソロも圧巻だった。ラスト、「もう1曲だけ、行ける? 武道館、LOVE LOVEしよう!」(逹瑯)との掛け声から「LOVE LOVE SHOW」。花道へ歩み出た逹瑯は、滑らかに手を動かして観客たちを指し示し、「私は、あなた〝たち″の馬~!」と歌詞をアレンジし、叫ぶようにして歌った一幕も。足立の前でギターソロを奏でる生形、その生形の前に跪いてプレイする明希。レアな顔合わせによるレアな場面に、観客は沸き立った。最後は松田の前に全員が集まり、キーボードから離れられない足立も顔をそちらに向け、想いを一つにしてキメの音を鳴らした。THE YELLOW MONKEYの大ヒット曲を、愛とリスペクトに満ち、力と想いのこもった歌と演奏で体感できる、充実のステージだった。

シャムシード『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

シャムシード『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

ALL STARSシリーズの最後は、シャムシードが登場。栄喜(Vo)、NATCHIN(B) (共にex.SIAM SHADE)を迎え、Shinji(G)、ゆうや(Dr)(共にシド)が憧れるSIAM SHADEの楽曲をカヴァーするスペシャルバンドである。アタック映像で初めて出演が明かされたタイゾ(Kra/G)を交え、5人はまず「グレイシャルLOVE」を披露。ポップでメロディアスな無敵の歌と、滑らかさの中にも音が粒立ったタイトな演奏を届けていく。「SIAM SHADEは僕もゆうやも大好きで。ちょっとだけ想い出話させてもらっていいですか」と語り始めたShinji。「20年前テレフォンアポインターのバイトをしてまして。職場での友だちが全然いなくて、おかんにつくってもらった塩むすびを公園で一人で食べてて。その時、ポータブルMDでSIAM SHADEさんを聴いてたんです。本当にいい曲が多くて、一人で泣いてて…塩むすびが涙でグズグズになってしょっぱくて、おかんに『塩要らんよ』と言って、普通のおにぎりにしてもらいました(笑)」と笑わせ、メンバー紹介へ。タイゾは、「シドのゆうやさんにお誘いいただいて、このSIAM SHADEセッションに。大先輩方に囲まれてのステージ。“グレイシャル”な気持ちで頑張りたい」と挨拶。ゆうやが「SIAM SHADEを観に来た武道館でSIAM SHADEを演奏できるのが、すごく感慨深いです」と語ると、栄喜も拍手を送った。

シャムシード『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

シャムシード『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

「一見さんが選ばないようなものをチョイスして…」と区切って会場を沸かせつつ、「…いたんですけど(笑)。この続きは、曲を聴いて理解してほしい(笑)」と含みを持たせた。NATCHINが「照れ臭いね、褒められすぎじゃない?」と謙遜すると、Shinjiは「好きなんだもん!」と強い愛を表明。NATCHINはシドとシドファンに向け「15周年おめでとうございます。これからもずっとずっとメンバー仲良く頑張って下さい」とエールを送った。

栄喜が「僕らの“マニアックな”曲を聴いてください」といたずらっぽく微笑んで披露したのは、不滅の代表曲「1/3の純情な感情」。栄喜の美声が響き渡り、メンバーはプレイする喜びが溢れ出すような表情を浮かべ、瑞々しい音を鳴らしていた。会場はもちろん大歓声。「最後、もう一曲聴いてください」(栄喜)と「PASSION」を放つと、Shinjiとタイゾは頭を振って荒ぶったパフォーマンスを見せつつ、集中度の高い緻密なプレイを聴かせた。栄喜はゴリッとした力強い歌声を轟かせ、NATCHINはゆうやとアイコンタクトを取ったり、Shinjiと向かい合ってプレイしたりと、パワフルな中にも穏やかなムードを漂わせ、セッションを楽しんでいる様子が窺えた。Shinjiは、ステージを去る栄喜とNATCHINと握手。こちらもまた愛とリスペクト、楽しさに満ちた稀有なコラボレーションだった。

 
DEZERT『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

DEZERT『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

18時20分頃、DEZERTの出番が訪れた。不穏なSEに乗せてゆったりとステージに姿を現した4人。闇の中で手探りするように少しずつ音を出し始め、千秋(Vocal)がギターで3音を繰り返し爪弾くと、徐々にメンバーの音が重なり、「新曲」がスタートした。高音部を目掛けて想いを投げ付けるような歌声と、手を前へ伸ばし、捧げるようなハンドモーション。掻き毟るようなギターソロ、バンド全体の演奏と相まって、言いようのない胸苦しさに圧倒された。

 

「ハロー東京、生きてるかい? 武道館生きてるかい? 『JACK IN THE BOX』生きてるかい? 人生いろいろありますが、今日を楽しみましょう。よろしくお願いします、DEZERTです」(千秋)と挨拶して、「TODAY」へ。赤いギターを掻き鳴らしながら激しくも透明な歌声を響かせる千秋の姿からは、迸る激情と繊細さが見て取れる。SORAのツーバスが怒涛の昂ぶりを見せていき、音圧に圧倒されると同時に、「生きててよかったと思える夜を探している」という名フレーズが耳に、心にすっと飛び込んで来た。

 

「生きててよかった、そんな日を、今日12月27日、『JACK IN THE BOX』に。精一杯丁寧に生きましょう。もがいてもがいて、どうせあっという間に死ぬんだから。今日はチケット買ってきたんだから、精一杯楽しんでいってください」と、媚びのない真っ直ぐなMCを届ける千秋だった。歌はもちろん、間奏のアンサンブルにもとてつもないエモーショナルさを感じた「蝶々」。続いて、タイトルの強烈さによる衝撃を上回る、音楽的驚きに満ちた怪作にして快作「変態」。インパクトもさることながら、ダークさ、重さと交互に途方もない清らかさが注ぎ込まれるめくるめく曲展開に触れ、DEZERTの底知れなさを感じた。

DEZERT『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

DEZERT『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

「短い間でしたけど、あと1曲。この後も楽しんで行ってください。僕は明日ライブがあるから帰るけど…」「今日も全然楽しみじゃなかったけど、始まってみたら、いいと思うよ」などと、飾り気のない千秋のMCに続き、放ったのは「ピクトグラムさん。」。全身全霊で打ち鳴らされるSORAのドラム、細かく動き回るMiyakoのギターフレーズ、グルーヴィーに歌うようなSacchanのベース。髪を掻き毟るアクションやハンドモーションも交えた千秋の歌唱は、表現というよりも、「自然とそうなってしまう」といった感があり、ヒリヒリするような痛みとピュアさがあった。純粋さは保ちながら、以前よりもライブでの伝わりやすさが飛躍的に高まっていることにも驚く。どんなに混沌とした音の渦の中からも、歌詞は不思議と、真っ直ぐに聞こえて来たのである。過去も未来も〝今″に掛かっている、という重要なメッセージを残し、轟音の中、千秋は大きく両手をはばたかせるような動きを見せた。「Thank you。また生きてるうちにお会いしましょう」と挨拶して、千秋は一人先に去り、3人で最後の音を鳴らした。強い印象を残して終えた、DEZERTのステージだった。

MUCC『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

MUCC『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

続くアクトはMUCC。「ホムラウタShort Ver.」をSEに、観客が「Oi!」と声を上げ、メンバーが登場。シンセサイザー的なエレクトロな響きを持つYUKKE(B)のフレーズで始まったのは「TIMER」。黒い衣装に着替えた逹瑯は、黒い手袋で強調される指先の動きも併せ、ある種演劇的なパフォーマンスで、表現豊かに歌唱し、観客を引き込んだ。随所でYUKKEにピンスポットが当たり、ベースのリフがより一層印象付けられる。SATOち(Dr)のドラミングは終盤に近付くに従って音数を増し、込められた熱量も高まっていった。ミヤがギターを胸元に抱き寄せ、水平に掲げると、最後の一弾き。3人でSATOちの前に集まった後、ミヤが倹弾き始めた怪しく揺らぐフレーズを導火線にして始まったのは、彼らのライブに欠かせない「蘭鋳」である。サウンドの重厚さに反して、逹瑯はふわりと空を舞うかのように、まるで天狗のような軽やかさでセンターの花道へ。下手側へYUKKE、上手側へはミヤがサッと散るように移動し、ダイナミックなステージングを見せる。観客が深く身体を折り曲げるようにしてヘッドバンギングし、風が発生。地獄なのか天国なのか…異世界へふっと迷い込んだような心地に誘われる曲である。

 

「全員座ろう。『JACK IN THE BOX』楽しんでますか? 誰よりも楽しんでますか? 絶対俺のほうが楽しんでる(笑)。君たち全員対俺。俺より楽しんでるヤツはかかってこい!」と焚き付ける。一斉に座った観客は、「全員死刑!」(逹瑯)という宣告とSATOちのドラムカウントを合図に、ジャンプアップ。演奏も歌も切迫感とスリルに満ち、痛快だった。

一変して、SATOちの乾いたマーチングドラムから「G.G.」へ。YUKKEは手拍子を先導し、観客との一体感を求めていく。リズミカルに足を高く上げて跳躍する逹瑯。ミヤ、YUKKE、続いて逹瑯もセンター花道へと歩み出て、3人が並ぶ佇まいは華麗だった。「自己嫌悪」は咽び泣くような逹瑯のヴォーカルと、ミヤのパンキッシュな語りのような魂の歌が合わさり、思いの丈を哀訴するような強烈なパフォーマンス。圧倒され、ただ茫然と見入っていた。

MUCC『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

MUCC『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

ラスト、「まるで『JACK IN THE BOX』のような森の中、L'Arc~en~Cielには会えず、MUCCに会った。君たちは120%MAVERICKへの愛でできてる!」と歌詞を替えて逹瑯は歌い、観客を沸かせた。「ようこそ『JACK IN THE BOX』へ」と逹瑯は改めて挨拶すると、「『JACK IN THE BOX』はこうして新しく顔を並べた仲間が増えましたけど。ノクブラ(NOCTURNAL BLOODLUST)とか、DEZERTとか。ユナイトとMUCCとシドと、あとKenさんで迎えて。入って来た若手を思いっきりぶっつぶしたいと思います(笑)!」と勇ましく語ったかと思えば、「ま、つぶすと言ってみたり、柔らかく先輩の懐を広げて包み込んだりとか…」と言葉を続けると、会場からは歓声が起こった。

 

「包み込むほうを見せてみようかね? 冬らしい曲です」と披露したのは新曲「メルト」。逹瑯はハーモニカを吹いた後、ゆったりとした美しいメロディーラインを歌い始めた。アレンジ、演奏はロックバンド然としているのだが、降り注ぐ雪のような優しさ、柔らかさを湛えた曲。ライティングも上から下へと光が注ぐような繊細な動きをしていて、音楽に寄り添い、清らかな冬の情景を描き出していた。歌い終わると丁寧にお辞儀をした逹瑯。曲ごとに人格が入れ替わっているかのように、所作までも変わっているように見えたのが印象深かった。次曲「Mr.Liar」では再び激しく、EDM的サウンドを取り入れたヘヴィーな音像でテンションを上げていく。逹瑯は地底から唸り声のようなデスボイスを轟かせる。ミヤとYUKKEが共に台に乗り仁王立ちでプレイする凛とした姿には、目を瞠った。

 

「まだまだ行けるよな? 全部くれよ、武道館!」と煽る逹瑯。ミヤも「踊れ!」と焚き付ける。「掛かってこいよ、3、2、1、騒げ!」(逹瑯)と叫ぶと、観客は身体を深く前のめりにして髪を振り乱した。颯爽と駆け抜けていくように高まっていくSATOちのドラムはパワフル。メンバーはステージのあちこちを入り乱れるようにして動き回っていた。ラストの曲は「生と死と君」。ファイアーボールが絶え間なく吹き上がり、曲の宿す熱さ、メンバーの放つ熱を具現化したかのように燃え盛っていた。荘厳な聖なるコーラスと、激しさと…ドロドロとした闇に手を突っ込んで清らかな何かを掬い上げるような、MUCCらしい名曲。あらゆるジャンルを自由自在に行き来し、独自の配合バランスでどこにもない音楽を生み出してきたMUCC、その魅力を示したステージだった。

シド『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

シド『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

続いて、2018年は結成15周年のアニバーサリーイヤーを駆け抜けて来たシド。虹色のライトに照らされて登場すると、メンバーは大歓声で迎えられた。最後に姿を現したマオ(Vo)は、耳に手を当てファンの歓声を求めるポーズ。Shinjiのアルペジオで「紫陽花」が始まると、滑らかな澄んだ歌声を響かせたマオ。水彩絵の具を重ね塗りするようなShinjiのギターフレーズは雨音のように美しい。赤紫、青、白といった紫陽花カラーを用いた照明ワークにも溜息。息がしっかりと合った演奏と歌で、トリという大役を務めるシドは、落ち着いた滑り出しを見せた。次曲「アリバイ」は軽やかでシャレた、ポップ色の強い曲。Shinjiは上手側花道へ、マオはセンターへと歩み出て、甘い歌声を響かせながら、手を振るなどしてファンに近付いていく。「歌ってくれる~?」とマオは問い掛け、ファンの声も求めた。

 

この後も彼らは頻繁にステージを動き回り、働き掛け、会場の隅々までその想いを届けようとしていた。そのままゆうやのドラムカウントから、アンセム「Dear Tokyo」へ。マオは手拍子を先導し、Shinjiはセンターへと歩み出ていった。ファンは楽し気にジャンプし、声を合わせて歌っていた。マオも後にセンターへ歩み出て、指揮するジェスチャーをしながら、観客の歌声を味わっているようだった。クライマックスで銀テープがアリーナで噴出。序盤から早くも、会場は多幸感に満たされていた。「こんばんは、シドです!」とマオは挨拶。「結成15周年ということで、たくさんの人に祝ってもらって、15周年の締め括りをここ武道館で迎えることができて、幸せです」と感謝を述べた。

 

ライブ三昧で過ごしたこの1年、シド史上最長の31本からなるツアーを駆け抜けたと振り返り、「グランドファイナルとして3月10日(日)に横浜アリーナでのライブが決定しています。実はタイミングがなくて横浜アリーナでは開催したことがないので、初となりますので、応援しに来てください、よろしくお願いします!」と語り掛けた。「今年最後のライブ、我らがMAVERICKのイベントをバッチリ盛り上げて帰りたいので」と意気込みを新たにし、続けて披露したのはジャジーな名バラード「ミルク」。温もりを湛えた歌と演奏で、会場を落ち着いたムードで包み込んでいった。ミディアムテンポの「その未来へ」へとなだらかに繋げ、シンプルなサウンドの一音一音に想いをしっかりと封じ込めたような、丁寧なプレイで魅了。未来へと向かい一歩一歩進んでいく着実な足取りのような、キャリアを積んだバンドにしか出せない味わいのある演奏だった。

シド、河村隆一『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

シド、河村隆一『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

「楽しんでますか? さあ、いよいよ次がこのイベントのピークなんじゃないですか?」と語り掛けたマオ。「皆さんお待ちかね、河村隆一さんの登場です!」と敬愛する大先輩を招き入れた。河村はマオと握手を交わすと、「まさかシドのメンバーに呼んでもらえるなんて、光栄です。15周年おめでとう」と述べ、「これから20周年、30周年と続いていくと思うから、楽しみだね」とエールを送った。

「緊張してきた…」とこわばり始めるマオに、河村は「マオも明希もライブに来てくれて。気楽に付き合ってもらえたら」と優しく語り掛けたが、「気楽は無理です(笑)」とマオ。河村は11月に開催されたシドのマイナビBLITZ赤坂公演にも足を運んだと言い、「最高のバンドだよね。カッコいいと思った」と讃えた。この日のセッションにあたり、マオは「バラードを持ってきました。怖いもの知らずの俺です(笑)」と笑う。リハーサルを聴いたという河村は、「声質の違いがあって、合うよね。狩人とかクリスタルキングとかみたいに(笑)。違う声で、いいなって」とマオの声を評した。マオは「2000回ぐらい練習してきた」と言い、河村も「50回ぐらい聴いた。名曲ですよね」と絶賛。ますます緊張を強めるマオに、「隅っこでずっと緊張してます」と明希も言葉を添えた。大らかに「垣根がないのがロックの世界ですから」と笑う河村の胸を借り、「普通の奇跡」のコラボレーションがいよいよ始まった。

シド、河村隆一『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

シド、河村隆一『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

まずは河村が歌い始め、圧倒的な声量と艶、凛とした地声から柔らかいファルセットまで、表現の幅の豊かさに、観客はじっと身じろぎせず聴き入っていた。続いて、マオもややハスキーさのある独自の魅力を備えた声で、緊張の面持ちを浮かべながらも、喜びを溢れさせながら歌唱。河村はそんなマオを励ますように、オフマイクだが口を動かして共に歌い、寄り添った。また、河村はマオに対してだけでなく、バンド全員を見渡して温かい眼差しを向けていたのも印象深かった。サビでは2人で声を合わせ、ハーモニー(マオが上)を響かせる。2番ではハモりの上下を入れ替えて、互いに向き合い、熱く声を響かせ合った。歌い終えると拍手で河村を讃えたマオ。「この後、観てるからね!」との言葉を残し河村はステージを去った。マオはセンターの花道へと駆け出し、膝から崩れ落ちると、「ごめん! もうピーク終わっちゃった。ヤッベー!」と、まるで少年のように、緊張から解き放たれた安堵を隠さなかった。「緊張したけど、めちゃくちゃ気持ち良かったです」と語り、「事務所を通さずに、俺が直接オファーさせてもらったのね。電話したら、その場でマネージャーさんに『12月27日って空いてる?』って確認して、『お祝いしにいくよ』って、もう即答なの。そういう心が広いところ、包容力のあるところをめちゃめちゃ尊敬してる」と興奮気味に明かすと、「緊張の糸が緩んだから、ここからは盛り上がっていけるか!」とモードを切り替え。「君たちが俺たちのV.I.P!」と叫び、「V.I.P」をカラフルなライトの中、疾走感に溢れるパフォーマンスで披露した。Shinjiのギターソロはセンターステージで奏でられ、天高く昇っていくような瑞々しい音色を響かせる。マオは伸び伸びと歌い、思い切り喉を開き、長く伸ばした声で会場を引き付けた。アッパーなダンスパーティーチューン「MUSIC」では、まばゆく煌めいた音色をそれぞれに鳴らし、タイトな名演奏を披露。

「ベース、明希!」とマオにコールされ、センターの台に立ってプレイしたベースソロは伸びやかでパワフル。背後からマオが肩を抱くと大歓声が沸き起こった。「眩暈」へと雪崩れ込むと、ゆうやはスリルを孕んだひたひたと迫り来るようなドラミングを披露。Shinjiは激しく頭を振りながらプレイに没頭していた。「ラスト、行けるか? ここで、このイベントの一番てっぺんの高いところ、見せてくれませんか?」というマオの叫びから、「one way」を投下。エネルギー迸るアッパーチューンは、会場をこれでもかと沸き立たせ、ステージとの垣根を取り払い、一つの大きな塊にした。興奮冷めやらぬ中、「どもありがとう!」と叫んだマオ。それぞれに挨拶をして、シドはステージを後にした。

MDC SUPER ALL STARS『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

MDC SUPER ALL STARS『JACK IN THE BOX~LAST BUDOKAN~』

すぐにアンコールを求める声が上がり、再登場したシドのメンバーたち。「今日はメンバーといっぱい目が合って、シドいいな、と思った。メンバーの皆さん、来年もよろしくお願いします(笑)」とマオが挨拶すると、メンバーも「こちらこそ」と返し、「2019年も〝仲良シド″で行きたい」とマオは誓った。出演アーティストをマオが順に呼び込むと、ステージは壮観な眺め。「行けるか~!?」とのマオの掛け声に合わせ、Kenは手を動かして盛り上げていた。「ANNIVERSARY」の全員でのセッションがスタートすると、ヴォーカリストたちが順に歌い繋いでいき、時に声を合わせた。「君にありがとう」と歌う箇所ではマオが「逹瑯さんにありがとう」と歌詞を置き換える場面も。アーティストらは客席にボールを投げ入れ、ファンを沸かせ、最後まで喜ばせていた。

結成15周年のシドを大トリに据えた『JACK IN THE BOX』。若手からベテランまで、MAVERICK所属のアーティストを中心としながらも、河村隆一という偉大なボーカリストを筆頭に、事務所の垣根を超え、それぞれに個人的な交流のあるアーティストを迎えた賑やかで華やぎのあるイベントとなった。セッションは多岐に富み、先輩後輩という縦の繋がり、あるいは同志的な横の繋がりが生む音楽的豊かさを味わわせてくれた。足を運んだ観客にとっても、新たな発見や出会いがあったことだろう。このイベントが次回はどのような切り口で誰を迎えて行われるのか、今から楽しみである。

取材・文=大前多恵 撮影=今元秀明、河本悠貴

 

ミオヤマザキ 横浜アリーナ単独公演2020年1月11日開催決定

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ミオヤマザキが2020年1月11日に横浜アリーナでのワンマンライブを行うことを発表した。

台湾、香港での2公演を含む全17箇所で行われたミオヤマザキワンマンスレツアー2018『diffusion』のツアーファイナルが12月29日に大阪なんばHatchにて行われ、その最後の曲「山崎美央」の中で、ステージ上でボーカル、mioの口から集まったファンに向けて「直接伝えたいことがある」と切り出し、横浜アリーナでの単独公演開催が伝えられると、一瞬静まりその事実を確かめるような間のあと会場は歓声に包まれた。

さらに2019年4月27日、4月28日に日比谷野外大音楽堂と大阪城野外音楽堂での連続ワンマンを、そして11月からの自身初となるZeppツアーの日程まで一挙に公開された。

 

葉加瀬太郎 ソロ・ヴァイオリニスト初の単独武道館公演、全国50公演ツアーの千秋楽で11,000人を魅了

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葉加瀬太郎の全国ツアー最終公演が12月30日に日本武道館で行われ、11,000人の観客を魅了した。このツアーは9月11日より始まり、今年50歳となった葉加瀬にちなんで全50公演を開催。ソロ・ヴァイオリニストでの単独武道館公演は葉加瀬が初めて。

開演時間になると、場内には「ムーン・リヴァー」のBGMが流れる。舞台下手に立ったコンサート・スタッフから開会の挨拶が告げられると、暗いステージの中央、スポットライトの中、葉加瀬太郎が浮かび上がり、静かにヴァイオリンを奏でる。幻想的な照明の中、バンドが徐々にサウンドを紡ぎ重ねていく感動的なオープニングでコンサートがゆっくり始まった。

葉加瀬太郎 PHOTO:鳥居洋介/中島未来

葉加瀬太郎 PHOTO:鳥居洋介/中島未来

アルバム『Traveling Notes(2003)』に収められた3曲が冒頭に演奏された後、葉加瀬から、まずは満員の客席に感謝のコメント。演奏される曲は8月にリリースされた葉加瀬のクライズラー&カンパニー時代から現在までのキャリアを総括したベスト盤『ALL TIME BEST』から構成。「今日は懐かしい曲から新しい曲まで、僕の思い入れの深い曲を演奏します! じっくりと葉加瀬の音楽を楽しんでいってください!」と客席の期待を煽る。

このツアーで葉加瀬太郎をサポートするのは8人の熟練ミュージシャンたち。葉加瀬が「僕の大切な音楽のパートナーです!」とバンドマスターの鳥山雄司を紹介し、鳥山のユニット、PYRAMIDの楽曲「Time and Time again」を演奏。鳥山のギターと葉加瀬のヴァイオリンが各々ソロを披露するロマンチックなナンバーだ。

ACT1(前半)のラストは葉加瀬の"初心忘るべからず"という想いを込め、葉加瀬デビュー時のグループ、クライズラー&カンパニーの楽曲をメドレーで3曲演奏してオールド・ファンを沸かせる。

葉加瀬太郎 PHOTO:鳥居洋介/中島未来

葉加瀬太郎 PHOTO:鳥居洋介/中島未来

休憩を挟んだ後半のACT2は「ARAB EXPRESS」でスタート。ビリンバウ、ダラブッカ、バラフォンといった民族楽器に、アラビア風の衣装を身にまとった6人のダンサーが登場し、エスニックな香り漂う同曲に色を添える。続いては葉加瀬が初めてドバイに訪れた際に作った曲や、ナポリの連絡船で作った曲など、旅情ムードあふれる楽曲をメドレーで披露。さながら世界一周旅行に行ってるような気分にさせてくれる。

「太郎さんとヴァイオリンを弾こう!」コーナーでは、客席からヴァイオリンを弾きたい人を募る。葉加瀬に指名され舞台に上がってきたのは中学1年生の女の子。初めてヴァイオリンに触れる彼女に、葉加瀬がその場で手ほどき。ある程度弾けるようになったタイミングで、バンドが「エトピリカ」のリズムを刻み始める。なんと、そのまま女の子を演奏に参加させ、見事に完奏に導いた。この鮮やかなマジックに客席も惜しみない拍手を送る。

葉加瀬太郎 PHOTO:鳥居洋介/中島未来

葉加瀬太郎 PHOTO:鳥居洋介/中島未来

こうして会場が温まると、コンサートも後半パートに入る。アイリッシュ・フィドルを彷彿させる葉加瀬の超絶速弾きに乗って、ステージ両脇から6人のダンサーが登場。アイルランドの賑やかなパーティー会場にいるような楽しげな演奏で客席も一緒にクラッピングで応じる。この勢いのまま、葉加瀬の「そろそろ行こうか! Let's Have A Party!!」の掛け声のもと、始まったのが、サンバ調にアレンジされた「情熱大陸」。色とりどりの羽根をつけた10名のサンバ・ダンサーズに、ジュリアナ風のディスコ・ダンサー隊がステージに表れるやムードは最高潮に。オーディエンスも葉加瀬太郎人気グッズのジュリ扇ならぬ葉加センスを大きく左右に降って応える。広い武道館は一挙にサンバ・カーニバル会場に化し、大興奮の中、本編が終了。

葉加瀬太郎 PHOTO:鳥居洋介/中島未来

葉加瀬太郎 PHOTO:鳥居洋介/中島未来

アンコールはトワイライト・エキスプレス瑞風をイメージして書かれた美しい楽曲でスタート。曲の後半にはサンバ・ダンサーズ、ジュリ扇隊にダンサーもステージに再結集し、賑やかに楽しく年の瀬を締める。最後に葉加瀬から、50歳になったことについて、心理学者ユングの言葉を引き合いに出し、自身が人生の正午に差し掛かったと感慨深けに話す。これからも皆様に喜んでる頂ける音楽を作っていきたいと続け「今年の締めにもう1曲。万ずを讃える曲です」と「万讃歌」をじっくりと演奏し、全50公演に及んだツアーを締めた。演奏が終わるとメンバー全員が横一線に並んで深々とお辞儀をし、名残惜しそうにステージを降りた。最後は葉加瀬がひとりピアノの前に残り、「万讃歌」の1フレーズを弾いて満来の拍手に応えた。

これで葉加瀬太郎のソロツアーの全日程は終了。この後、葉加瀬は、高嶋ちさ子、古澤巌と共に4月から始まる『HATS MUSIC FESTIVAL Vol.4』全国ツアーに参加する。 2019年も葉加瀬の勢力的な活動は続きそうだ。

葉加瀬太郎 PHOTO:鳥居洋介/中島未来

葉加瀬太郎 PHOTO:鳥居洋介/中島未来

 

三代目JSB、GENERATIONSらの作品にも出演したトリッキング世界チャンピオングループが初のMV公開

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三代目 J Soul Brothers、GENERATIONS、MAN WITH A MISSIONなど、様々なアーティストのミュージックビデオやライブにパフォーマーとして出演してきたトリッキングパフォーマンスグループ・TOK¥O TRICKING MOBが、本日12月31日にグループ初となるミュージックビデオを公開した。

今作品は、元々スポーツであるトリッキングをRadical Hardcore Cliqueが提供する楽曲にのせパフォーマンスし、トリッキングの魅力を表現している。

トリッキング(TRICKING)は、武術をベースに、体操やブレイクダンスなどアクロバティックな動きを取り入れたエクストリームスポーツとして注目を集めている。

■TTM・Daisukeコメント
今回のミュージックビデオはトリッキングの魅力を最大限に活かすために衣装から映像の質感、照明を考え抜き、自分たちがやってみたかった事や挑戦した事が沢山詰まっていてこだわり抜いた作品になっています。細かな所まで観ていただいて、良し悪しも含めてTOK¥O TRICKING MOBの個性を感じ取って頂けたらと思います。


 

 

DISH// 「47都道府県を巡る旅」完遂、夢の横浜スタジアムへ向け決意新たに

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DISH//が2015年から行なってきた「47都道府県を巡る旅」が、2018年12月30日(日)に東京イースト21でファイナルを迎えた。

新たな夢“横浜スタジアム”に向けて、各地の神社に神頼みしつつ、改めてスラッシャー(DISH//のファンの呼称)と共に横浜スタジアムへの道を一緒に歩む決意表明をするために始まったこの行脚。これまでの道のりを振り返り、「長い時間をかけて回ってきましたが、皆さんのおかげで完走できました。これからの旅もついてきてください!」とスラッシャーに感謝の気持ちを伝えた。

DISH//は、2019年1月1日(火・祝)13:00(予定)からDISH// Official YouTube Channelにて「3大発表スペシャル!!」を配信する。

 

 

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