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ART-SCHOOL×踊ってばかりの国×polly『オルタネイティブ・サーキット』 ーーオルタネイティブな精神と強烈な個性を放つ3バンドの想いとは

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ART-SCHOOL、踊ってばかりの国、pollyによる東名阪ツアー『オルタネイティブ・サーキット』のファイナル公演が、11月30日(金)東京・渋谷WWW Xにていよいよ開催される。そこで、いずれもオルタネイティブな精神と強烈な個性を放つ3バンドが共鳴し合う同ツアーのクライマックスを前に、木下理樹×下津光史×越雲龍馬の各フロントマンに加え、首謀者であるUK.PROJECTの「ダイマス」こと遠藤幸一氏を迎えたスペシャル座談会を実施。『オルタネイティブ・サーキット』が生まれたキッカケから、愛知・名古屋APOLLO BASE、大阪・梅田Shangri-Laの2公演を終えた途中経過、世代が異なる3組がこのツアーに懸けた想いまで、裏エピソード満載で語ってもらった。
大阪ライブレポ―トはこちら

●みんないいバンドだし、どこにも属してない●

――まずは10月に愛知・名古屋APOLLO BASE、大阪・梅田Shangri-Laと回って率直にどうでしたか?

下津:いやもう俺は、こんな……人間のクズたちが(笑)、一緒にツアーを回らせてもらってありがとうございますという感じですね。

――アハハ!(笑) Shangri-Laの入口の扉を開けた時、この3組の音楽を聴きたいっていう人がこんなにもいるんだなぁって、単純に嬉しくなりましたよ。

木下:あぁ~ありがとうございます! まだ3組での打ち上げとかはしてないんですけど……pollyも踊ってばかりの国もみんないいバンドだし、どこにも属してないというか。それがすごくいいですよね。一緒に回れてよかったなぁって。

下津:血がちょっとずつ違うから混ざらないんですけど、何か模様になってるみたいな。

――それぞれにちゃんとアクと個性があるけど、交わらず、でも共感できる部分があって。

越雲:僕だったりうちのメンバーが、学生時代とかバンドを始める前に聴いていた2バンドとツアーを回れる喜びがまずあって……やっぱり普段のライブとは違う思い入れみたいなものはあります。2本やってみて、ライブに向かうための時間の密度が高かったなと。

――この3組で東名阪を回る発想自体がチャレンジでありシーンへの提案だと思ったんですけど、そもそも『オルタネイティブ・サーキット』をやろうと思ったきっかけは何だったんですか?

下津:それはちょっと聞きたい。その意図というか心構えは、遠藤さんから聞いてなかった。

――ヘンな話、志がないとこんなことは絶対にやらないはずなんですよ(笑)。

下津:無茶苦茶ですもんね、3組とも(笑)。

遠藤:昔はライブハウスの名物企画というものが結構あって、1つお目当てのバンドがいると2つ好きなバンドに知り合える、みたいなことがよくあったんです。今は企画があっても新人括りだったり、ショーケースっぽいものが多くなってきて……言わば、ART-SCHOOLだけでも知っていたら、「このバンドのこの音、絶対に好きになるに決まってんじゃん!」みたいな企画が随分少なくなったなぁと。じゃあ、ないならやった方がいいんじゃないかと思って。それも、あえて1回じゃなくてツアーにした時に、すごい化学反応が生まれるような気がしたんです。下津が「下北でよく会うクズばっかりが集まった」とか言いますけど、まぁ実際そうだよなと思いつつ(笑)。下北にそれぞれのバンドがよく行く飲み屋があるんですけど、「この3組での打ち上げは断ります!」って言われてますから(笑)。

(一同爆笑)

遠藤:でも、それはそれで「やった!」っていう気持ちですよ(笑)。

●やっぱり音楽をちゃんと愛してるアーティストに惹かれる●

――pollyなんかは、同世代には音楽的に共感し合えるバンドがなかなか見付からないという発言もよくしていましたね。

越雲:そうですね。本当に(苦笑)。言い訳になってしまうところはあるんですけど、今の同世代のシーンだったり、自分たちの歯痒い現状に対しては……居心地の悪さや憤りを感じていて。

下津:ちなみに今いくつ?

越雲:25です。

下津:あ、それならもう、イケイケドンドンだわ。そういうことはガンガン言っちゃった方がいいよ(笑)。

越雲:はい。(笑)

――下津くんはもう30になった?

下津:いや、今29でもうすぐ大代ですね。

――しかし、木下理樹が40歳ってすごい時代がやってきましたね(笑)。

下津:俺、ずっと前から友達なんですけど年齢を知らなくて……すいません、いつも敬語とか使わなくて(笑)。

木下:でも俺、それで怒ったことがないじゃん(笑)。

下津:ただ、赤羽まで急に呼び出されたりしてますけどね(笑)。

――ART-SCHOLLと踊ってばかりの国の付き合いは、このツアー云々の前からという。

下津:よく遊んでもらってます。最初は俺らが『世界が見たい』(2011)を出した時だから、23~24の頃かな? もう6年前ぐらいですね。上京して右も左も分からん頃に助けてくれた先輩です。だから逆に、pollyにちょっと興味津々で……というか、マジでビビってるっす! 日本人であんなにマイブラ(=マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン)直系でやれるヤツっていなくないですか!? 初めてちゃんと観させてもらってビックリしてます。

越雲:ありがとうございます(照笑)。僕はやっぱり音楽をちゃんと愛してるアーティストに惹かれるんですけど、この2バンドはもうドンズバというか。それはもうステージを観れば分かるし、音楽への愛が深いなと思って。

下津:ART-SCHOOLはやっぱりパブリックに強いバンドやなと思うんです。お客さんのノリとかを観てても、俺らには全くそれがないので……羨ましいっすねぇ。曲を書いてる人間として、そこから何か術を学ぼうと思ってます。

●曲がいい人じゃないと話す気にもならないんで(笑)●

――ART-SCHOOLから見た2組の印象は、2本やってみてどうですか?

木下:踊ってばかりの国はね、その日によって結構印象が違うから面白いんですよね。

下津:今回は「Boy」だけは毎回やってますけど、あとは全く曲が被らないようにセットリストを組んでます。

遠藤:え、違うんだ!? 名古屋でも大阪でも「ロックンロール!」って言ってたけど(笑)。

(一同笑)

――曲は変わるけどスピリットは一緒ってことね(笑)。

下津:とりあえず、MCが思い付かない時はロックンロール!(笑)

――でも、曲被りなしというのは、今回のサーキットに挑む踊ってばかりの国なりの意気込みを感じますね。

木下:だから余計に、“あ、今日はこういう感じか”とか思うし。やっぱり根本的に彼の作る曲がいいので。

下津:死ぬほど一緒に呑んでるけど、初めて言われましたよ! いつもは罵られたり、訳分からん後輩を連れてきてTシャツを破いたり(笑)。(越雲に)Tシャツを破かれたらすぐ言ってくださいね、下克上するんで(笑)。

越雲:もう2回ぐらいあるんで……。

下津:えっ!? もう破かれたん? 自分何してるん!?(笑)

(一同爆笑)

木下:いや、そこまでにいろいろあっての破きだから(笑)。

下津:ま、こういうヤツらでも生きられるのが下北であって……。

遠藤:いやいや、それはロックであって下北じゃないでしょ(笑)。

――pollyに関してはどうですか?

木下:pollyの新しいアルバムがすごくよくて、ライブは結構久しぶりに観たのかな? 変わってないところは変わってないんだけど、今でも進化中というのが羨ましいですよね。僕らが進化を止めたわけではないですけど、pollyはこれからどの色にもなれる。多分、今はまだまだ試行錯誤してると思うけど……やっぱり、基本的に曲がいい人じゃないと話す気にもならないんで(笑)。

下津:あと、声の抜け感がすごくいい。伝えるってそういうことですよね。リッキー(=木下)の声も弱々しいんですけど、ちゃんと言葉が聴こえる声というか。何かその共通項があるなと。あと、ダイナソーJr.とかも俺たちの共通言語なんかなと思った。トーンを絞ったディストーションというか、あのモコ感が共通してるかも。

木下:あ、分かった。パキッとしないってことね。

下津:そう、その音像。それが昨今の日本にはないから、俺らもちょっと頑張ってそれをやってるんですけど。あのオルタネイティブ感が背景にあるバンドが集まってるんじゃないかなと思います。

木下:あと、この2組には和の感じというか、フォークを感じて。そこも似てるなぁと思う。それも発見でしたね。

下津:なるほどなぁ。

――やっぱり一夜限りじゃないツアーの良さがありますね。お互いに知る仲だとしても、ライブを重ねて新たに分かることがある。

下津:ただまぁ総じて言うと、遠藤さんのイタズラです(笑)。

(一同笑)

●メインストリームではないけど、絶対に誰かの心には響く●

――あと、今の時代に「オルタネイティブ」っていうのも、逆に新鮮に響く言葉ですけど。

遠藤:そうですね。でも、メインストリームではないけど、絶対に誰かの心には響くっていうテーマはあると思うので。踊ってばかりの国しか好きじゃない人がたまたま来て、pollyとART-SCHOOLを観ていいなと思う可能性があればなと。そもそも僕がそういう人間なので。「これ、おいしいと思うんだけどあなたもどう?」っていうのは、広い意味で言うと人類愛じゃないですか(笑)。

――独り占めじゃなくて薦めたくなる。確かにうまい店を教えたくなる感じに似てますね。

遠藤:だから、名古屋でも大阪でも3バンドをずっと観てて、やっぱり面白いなと思ったし。「3バンドが3バンドとも最高!」という日もなくて、誰かが調子が悪くて、誰かがよかったりするのも、コクがあって本当にいいなと(笑)。やってよかったなと思うし、これは思い付いて小っちゃく始めたことだけど、本数もプラス3ヵ所とか5ヵ所になって、毎年恒例になって、「これは観に行かなくちゃ!」というサーキットになっていくことを願ってるんですよ。もちろんメンバーを固定しなくてもよくて、その精神性みたいなものがずっと受け継がれていけば。

木下:最近、髭の須藤(寿・Vo&Gt)くんがインタビューで、40を超えて「自分たちがカッコいいと思うことだけをやりたい」って言ってて、俺もそうだなと。もちろん……売れたらそりゃいいですよ? でも、カッコいいなと思うことだけを徹底的にやってりゃいいんじゃないのかなぁって。

下津:カッコよくないことをしたくないから、バンドをやってますからね。好きなことしかしたくないから、バンドをやってるんで。

――踊ってばかりの国は結成10周年、pollyはイメージを具現化できた1stフルアルバムをようやくリリースし、木下理樹は生誕40周年を迎えて(笑)。それぞれのバンドが去年でも来年でもなくてこのタイミングで呼ばれたのも絶妙だなと思ったんです。キャリアの中でも、改めて音楽を楽しめている時期というか。

下津:この2ヵ所のライブを観てて、全バンド、メンバーが超ワガママ系なんですよね。それが最高(笑)。pollyのドラムとうちのギターが喋ってたり、(中尾)憲太郎(ART-SCHOOL・サポートBa)さんとうちのドラムが喋ってたり……そういうことが流れ星みたいに現場で起こってるから、めっちゃ楽しいです。だから俺は、すごいニコニコして現場にいます。そういう光景を端から観るのが一番いいアテというか、ロックの真髄かなと。

――このムードだと、ファイナルの東京公演もかなり期待できそうですね。

下津:いやぁ、これは東京でやることに意味がありますからね。

木下:東京でやる「エグみ」はあるよね。カッコいいものはカッコいいし、2組とも曲が本当によくて。でも、もっともっと評価されるべきだし、されてもらわないと僕らの世代もバトンタッチができないからって勝手に思ってるんで。

――世代が違う3組が揃ったキャスティングも意図的ですか?

遠藤:ちょびっとだけあります。ART-SCHOOLは18年とキャリアが長いバンドだし、お客さんも木下と一緒に歳を取るわけじゃないですか。pollyだって、越雲の同世代のお客さんがいる。その世代がシャッフルされることは絶対にあった方がいいなと。

木下:最初はpollyと踊ってばかりの国の3組でやるなんて思いもしなかったなぁ。あと、名古屋でpollyが反省会をしてて、ストイックだなぁと思って。

下津:え? 名古屋、めっちゃカッコよかったのに?

越雲:ありがとうございます。でも、あの日は単純に俺のメンタルが100%音楽に向かなくて……。

下津:それはダメだね。板の上に立つ以上は、天使になってあげなきゃお客さんもお金を払う意味がないっすよ。でも、そこに自分で気付けることが才能やと思うんです。反省すんのは自分やし。

越雲:本当に神経質なんで、自分自身にもメンバーに対してもこう……。

下津:当たっちゃうんだよねぇ〜。分かるよ、俺もそれで丸山(康太・Gt)とマジでケンカするから(笑)。

(一同笑)

――上の世代からすると過去の自分を見ているようなところはあるだろうし、面白いですね。

下津:若い頃は敵ばっかりやもんなぁ~。

越雲:まだ、そうですね……。

木下:でも……。

下津:フフフッ(笑)。リッキーだけは、こんな時もあったかく、“でも……”って言う(笑)。バンドってこういう話になると真剣になっちゃうんですけど、はぐらかしてくれるその優しさが、リッキーの周りに後輩が集まっていく理由っすかね(笑)。

木下:いや~ありがとう(照笑)。

越雲:アハハ(笑)。

●何か心に痛みがあったり、不自由を感じて生きてる人のために音楽をやってる●

――それでは改めて、ファイナルの東京公演に向けてそれぞれ思うところを聞きたいなと。

越雲:pollyは今、この2バンドを追いかける位置にいると思うんですけど、すごい若い発言すると、お客さんも含めて全部かっさらっていきたい気持ちしかないというか。さっき遠藤さんが言ったように、ART-SCHOOLと踊ってばかりの国のお客さんが、今後も僕らのことをちゃんと観たくなるようなライブをしたい。今回のツアーの最後は、それが全てだと思ってます。

遠藤:越雲はさ、「ART-SCHOOLも踊ってばかりの国もぶっ殺す!」っていう人と、「みんなに愛されたい!」っていう人、どっちなの?

越雲:対バンということに関して、遠藤さんが言った2つを選ぶとしたら、「ぶっ殺す!」。

下津:あぁ〜気持ちいいねぇ〜カッコいいよ~!

木下:フフフ(笑)。

下津:いやでも、ゴリゴリ来てくださいよ。待ってますよ。

越雲:分かりました(笑)。

――先輩方のイヤな煽りだわ(笑)。では、次は下津くんに。

下津:まぁしょーもない音楽ばっかりで張り合いのない世の中でもね(笑)、俺はART-SCHOOLをもう中学生の時には知ってたんで。で、初日の名古屋でpollyを初めて観て、何で俺たちが呼ばれたのか、その意味を考えて……遠藤さんがやりたいことがすげぇ分かった。やけど、俺たちが手を抜くことが愛ではないので、東京では全力でぶっ壊しにいく!ロックの上では言い訳なんか関係ないから。ダサいかカッコいいかだけやから。渋谷よろしくぅ〜!(笑)

(一同笑)

――ART-SCHOOLとしては、ファイナルの東京に向けてはどうですか?

木下:いや、ぶっちゃけ僕らもお客さん、奪いたいですよ。そうじゃないと馴れ合いだから面白くない……でしょ? 最後の渋谷はこっちもね、そういう気持ちでいくんで。だから、すごくいい夜になるんじゃないかな。

下津:ヤバいね、事件だね。

――3組を知っている人、この記事を読んで興味を持ってくれた読者はもちろん、「こういう気持ちを抱えている人にファイナルに来てほしい」と思う対象ってあったりします?

下津:8ビートが好きな人に来てほしいっす! あと、真面目に言うと、こっちは何か心に痛みがあったり、不自由を感じて生きてる人のために音楽をやってるから……。メロディを書くってそういうことなんです。本当にもう浮世を離れ……。

木下:いいメロディを書ける人ってさ、バイトできないもんね(笑)。

(一同爆笑)

下津:そうなんですよ! 決まった時間にタイムカードなんか押せるわけがない!!

遠藤:あと、木下はピザを配達せずに捨てて帰ってますからね。あれから20年ぐらい待ってる人がいるよ(笑)。

(一同爆笑)

――ファイナルも刺激的な夜になりそうです(笑)。

木下:この2組がどう出てくるのかが楽しみですよね。

下津:じゃあ一番オルタナなことをします。ラップしよかな!?

木下:ホンマか?(笑)

下津:気持ちが高められて高められて、俺たちはこれから当日まで悩むんすよ(笑)。それだけは分かってるから。

取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=田浦ボン


Halo at 四畳半・渡井翔汰(Vo/Gt)&片山僚(Dr) 須賀健太が主人公演じるドラマに出演

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10月17日(水)にメジャーデビューフルアルバム『swanflight』を発売したHalo at 四畳半。リードトラック「悲しみもいつかは」が主題歌に起用されたBSテレ東 真夜中ドラマ『江戸前の旬』11月17日放送 第6貫「至高の大トロとギョク」に、渡井翔汰(Vo/Gt)と片山僚(Dr)がカメオ出演することが決定した。

須賀健太演じる主人公・柳葉旬が修行を積む柳寿司を訪れた客として出演。台詞もあり、旬との絡みもあるとのこと。

バンドは12月2日(日)の 新潟CLUB RIVERSTを皮切りに『Halo at 四畳半ワンマンツアー2018‐2019“悲しみの朝の愛し方”』を実施。ツアーファイナルは初となるマイナビBLITZ赤坂にて2019年2月9日(土)に開催する。

■柳葉 旬役 須賀健太 コメント
なんと!!まさか!!こんなことが!!
主題歌はどんな曲になるんだろうなぁ~
と思っていた矢先のHalo at 四畳半!!
しかも初ドラマタイアップ!ときたらもう喜ばずにはいられませんでした!
主題歌である「悲しみもいつかは」も聴かせていただきましたが、色鮮やかな音色でたくさんの景色や感情が思い起こされていき、僕演じる旬が様々な人と出会い、成長していく姿と重なりました。
それからは撮影が大変な時はもう鬼リピートです。笑
本当に素晴らしい曲が味方に付いてくれました。
この曲の力も借りて素敵なドラマにしたいと思います。

 

■Halo at 四畳半・渡井翔汰(Vo/Gt) コメント
はじめてのドラマタイアップに、インディーズ時代から応援してくださっている須賀健太くんと、ベテランの渡辺裕之さんが出演されるということで、とても光栄に思っています。情感豊かなこの作品、旬が成長していく姿と共に音楽で皆さんに勇気を与えられたら嬉しいです。

 

UVERworld、2017年12月開催『男祭り×女祭り』を映像化決定

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UVERworldが2017年の全国アリーナツアー『TYCOON TOUR 2017』から12月21日に横浜アリーナで行った、ボーカル・TAKUYA∞の生誕祭ライブ『UVERworld TYCOON TOUR at Yokohama Arena 2017.12.21』を1月16日にDVD&Blu-rayにて発売することを発表した。

この日のライブは、会場の半分を男性客、もう半分を女性客に割り振った「男祭り×女祭り」という演出で話題を呼んだ一日。ライブの模様を完全収録する。

現在全国アリーナツアーを実施しているUVERworldだが、ライブ会場と全国の応援店舗で予約購入した人それぞれにカレンダーポスター特典もらえるとのこと。

菅田将暉 一夜限りのプレミアムライブで最新シングル曲をライブ初披露

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今年2月に3rdシングル「さよならエレジー」をリリースした菅田将暉が、11月15日(木)に恵比寿LIQUIDROOMにて開催した一夜限りのワンマンライブのオフィシャルレポートが到着した。

菅田将暉が11月15日(木)に、恵比寿LIQUIDROOMにて一夜限りのワンマンライブを開催した。今年2月に発表した3rdシングル「さよならエレジー」は音楽ストリーミングサービス「LINE MUSIC」において2018年上半期ランキングでの総合1位を獲得し、俳優としての活動と並行してアーティストとしても大きな注目を集め続ける菅田のライブステージは、2月に東名阪で行った「菅田将暉 Premium 1st TOUR 2018」以来。貴重な1夜限りのライブチケットを手にすることのできた幸運な1,000人の観客が、“ミュージシャン・菅田将暉”のライブステージを目にすることとなった。

バンドメンバーとともに5人、全員揃いのトレンチコート姿で登場した菅田は、そのスタイルのまま冒頭から5曲を演奏。独自性あるファッションも常に注目され続ける菅田ならではの、秋深まる今の季節を感じさせる粋な計らいでオープニングからファンを喜ばせる。2ndシングル「呼吸」からスタートし、3rdシングル「さよならエレジー」ではアコースティックギターを掻き鳴らして歌い上げたところで、ステージの菅田も観客も既に最高潮のテンションに。「あっついね!!トレンチ失敗したわ。でもまだ脱ぎません(笑)!みなさんも一回ちょっと下がりましょうか」と、沸きに沸く会場へ第一声を届けた。2月のツアーもともに周り、楽曲もともに制作するに至った馴染みの4人とともにバンドスタイルでの演奏を楽しむ菅田は、トレンチコートを纏いながらも「雨が上がる頃に」「いいんだよ、きっと」といったアップテンポの曲中ではぴょんぴょんと跳び跳ね、以前よりさらに肩の力が抜け、心底楽しんでいる様子を伺わせた。5曲目「台詞」を歌い終えたところで「そろそろ限界っすね」と汗だくの自分に笑いながらトレンチコートを脱ぎ、ホワイトデニムのジャケットに着替え、カジュアルなスタイルに転じ、目でも耳でも観客を楽しませる。

菅田将暉

菅田将暉

「おととい、ここ(リキッドルーム)でクロマニヨンズのライブを観てたんですよ。うおーーー!マーシー!ヒロト!ってなりながら同時に、明後日はあそこに自分が立つんかー…って思い。あんな風に上手なコールアンドレスポンスはできないけれど、こっちはこっちで楽しいしいいですよね」と、憧れの存在と同じライブハウスのステージに立っていることに感慨深げな様子を漂わせつつ、本日ひとつめの嬉しいサプライズとして、菅田が愛聴していることを公言するあいみょんの「ふたりの世界」のカバーを披露。女性目線の曲も歌ってみては、という周囲の女性スタッフからのリクエストに応える形で今回のカバーをしてみようと思ったとのことで、あいみょん特有の語りかけるような愛らしい1曲を非常に表現力豊かに歌い上げる。続いて、今日も会場でライブを観ているはずの菅田の友人が最近よく聴いていると言ってきたというエピソードを混ぜつつ「ばかになっちゃったのかな」へ。「奴は恋でもしているんでしょうか?」とステージ上から友人へとメッセージを送る姿も、ライブハウスならではの距離感といったところで非常に微笑ましい。その後、さらにライブの中盤では、自身がMVにも出演した盟友・石崎ひゅーい「ピリオド」のカバーを用意。菅田将暉の役者としての側面と、ミュージシャンとしての側面が見事に融合したかのようなこのカバーには、聴いているこちらも身震いせざるをえなかった。

菅田将暉

菅田将暉

最新シングル「ロングホープ・フィリア」の演奏前には、次回のドラマで教師役をすることに触れつつ、元々教師志望だった自身の過去を振り返る菅田。ともに教師を目指そうと話していた古くからの大阪の友人がいると言い、「最近ドラマの撮影で大阪に行った時、そいつのことを思い出しながら、かつて一緒によく通っていた喫茶店に入って。するとその瞬間、ちょうどそいつから来年度から正式に教師になることが決定したよ、という連絡が来て!!」というエピソードを話すと、会場からも拍手が起こった。「すごい縁ですし、いいタイミングだなあって思いました。この曲のレコーディング時には彼のことを思いながら歌っていましたし。今ではこうやってバンドメンバーみたいに友達もいるし、みなさんにもそれぞれ友達がいると思います。そういう人たちとの末長い希望を信じ、願って歌いたいと思います」と力強いメッセージをこの1曲に込めた。

さらには「もうひとり大事な友人に出会った曲を」と、昨年大いに話題になった米津玄師との共演曲「灰色と青」を、この日はひとりで歌い上げた。

菅田将暉

菅田将暉

途中MCで「みんなで楽しみましょう、踊りましょうと言いつつ、真面目な曲が多くて申し訳ないんですけど(笑)」と菅田は話していたが、逆にいえば、アッパーなだけではない、暗さや闇もないまぜになった世界を描き出す菅田の音楽における表現は、俳優業での評価の高さと同様、いやそれ以上に、観る者・聴く者の胸を打つ。米津玄師が「俺はまだ菅田将暉に歌わせたい曲がある」と言っている(が、菅田将暉のことを考え過ぎて3ヶ月間で1曲も作れなかった!笑)というエピソードを、菅田自身は「なんと愛おしい人なんだ」と笑って話していたが、米津もそういった魅力を菅田に見出し続けているのであろうことが伺えた。

本編ラストではアップテンポな「ソフトビニールフィギア」から、一気に3曲を畳み掛け、ファンとともに大いに合唱。「見たこともない景色」ではラストの歌詞を「君の景色」でなく「僕の景色」と歌い変え、パンクロック・スピリット炸裂の「ピンクのアフロにカザールかけて」にある「ヒロトってこんな気持ちだったのかな」という言葉には、冒頭のクロマニヨンズのライブエピソードを彷彿とさせられた。こういった端々に菅田が音楽を楽しむ時間への熱量が込められており、ストレートすぎるほどに観客へと届いたはず、と感じた瞬間でもあった。

アンコールでは一転、アコースティックギターに持ち替えた菅田がひとりで登場。「前回のライブではアンコールで『茜色の夕日』を弾き語りさせてもらいました。自分に試練を、ということで、アンコール開けには同じく弾き語りをしてみようかな、と思います」と、石崎ひゅーい制作の未発表曲「クローバー」を弾き語りにて初披露。実は以前からあった楽曲だそうで、友人・石崎とともにモツ鍋を食べながら書いた歌詞カードを持ち出し、大切な存在とのかけがえの無いひと時の思い出話をしながらとても嬉しそうな様子を見せた菅田。最後のこのエピソードにも象徴される通り、この日のライブでは終始一貫して、音楽を通じて得たかけがえのない出会い・再認識した友情といったものを噛み締めているようにも見えた。

菅田将暉

菅田将暉

ラストは菅田自身が作詞作曲を手掛けた「ゆらゆら」を再びバンド全員で演奏して終了。新曲やカバーなど嬉しいサプライズによる熱狂もそのままに、あっというまに幕を閉じた1時間40分に渡るライブステージ。たった一日だけのライブではあるが、そこにこれだけのサプライズなどを用意して詰め込んでくるという大盤振る舞いだった。

最後に「俳優業をしていても普段はほとんど会えないじゃないですか。だからこそ、役とは関係の無い時間を過ごせることをすごく幸せに思っています。なので、これからも続けていきたいと思います」という感謝の言葉で締めくくった菅田だが、この夜をともに体験できたファンにとってプレミアムな時間であったのはもちろんのこと、この“解放区”ともいうべき時間自体が、どこか、菅田自身へのご褒美でもあるかのようだった。

来年はデビュー10周年を迎える菅田将暉。映画もドラマも主演作品が待ち構えるなかではあるが、菅田が最も素に近い状態で楽しんでいられているという音楽活動にも、ますます期待は高まる。


撮影=上飯坂一

Anlyが新曲 「Sunshine」を紀陽銀行とFM802の新しいプロジェクト 「NAMBA SQUARE」のイメージソングとして書き下ろし

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2018年6月23日(土)、南海電鉄なんば駅2階中央改札口外にFM802と紀陽銀行がコラボレーションして地域の魅力・音楽・アートとなど様々なコンテンツを発信するスペース「KiyoBank×802 NAMBA SQUARE」がオープンした。

今回、Anlyが関西のおすすめスポットを紹介する映像のイメージソング「Sunshine」を書き下ろし1117日(土)のFM802『Saturday Amusic Islands Morning Edition』(土曜日 7:00~12:00 )にて初オンエアされる。

なお、この楽曲は、11月30日からKiyoBank×802コラボレーションサイト「NAMBA SQUARE.com」でも関西のおすすめスポットを紹介する映像とともに流れ、12月5日にiTunes StoreやSpotifyなどで配信されることも決定した。

フレデリック 新曲「LIGHT」リリース記念イベントをLINE LIVEで生配信決定

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フレデリックが、本日より配信を開始した新曲「LIGHT」リリースを記念して渋谷WWW Xにて行われる『フレデリズムツアー特別公演-LIGHT LIVE♩=120~140-』のライブの模様がチケット完売につきLINE LIVEで生配信することが決定した。

また、LINE LIVEの配信後にはこの日限定で1月よりスタートする「FREDERHYTHM TOUR 2019~飄々とイマジネーション~」のチケット先着先行販売の受付を実施する。

今回のライブは新曲「LIGHT」のリリースを記念して行われるもので、フレデリック自身の楽曲の中から、新曲「LIGHT」も含めたBPM120-140の楽曲にフォーカスを当てるというユニークなコンセプトの元に行われるスペシャルライブとなる。

The Songbards「やるからには、しっかりと作品を残していきたい」少年時代を過ごした故郷、旅をして辿り着いたミニアルバム『The Places』

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神戸発のバンド・The Songbardsが、2ndミニアルバム『The Places』を10月10日にリリースした。昨年春に本格的な活動を始めるやいなや、『SUMMER SONIC』への出場権をかけた「出れんのサマソニ」など、若手の登竜門ともいえる数々の夏フェスオーディションを総なめに。名実ともに磨きをかけ満を持してリリースされた今作は、ソングライティングを担うボーカル&ギターの上野 皓平と松原 有志の二人が、自己を見つめ直す旅に出たことを機に生まれた1枚。情景が浮かぶ歌詞と、彼らが訪れた場所で流れていた時間までも追体験させてくれるようなメロディーには、何十年先に聴いても胸を打つ普遍的なメッセージが込められていた。今回、2人に今作の制作過程やイギリスでのライブ経験についてインタビュー。11月16日からは、名古屋 CLUB ROCK'N'ROLLでのライブを皮切りに、リリースツアーも開催されるので、彼らがこの1年で掴むことができた自信とスキルを、直に味わってみてほしい。

The Songbards

The Songbards

――今作の制作は、いつごろからスタートしたのですか?

松原:前のアルバム『Cages in the Room』が出来た時から、「次はミニアルバムかもね」という話はしていたんです。基本的には、僕たち二人で作詞作曲をやっているんですけど、今年の春にお互いが別々のところに行く機会があったんですね。彼がずっと憧れていたインドへ旅をして、僕は昔、住んでいた愛媛県へ。同時期に別々のところへ行って帰ってきて、この経験から曲を作れないかなというところから、今回の5曲を作ることになりました。

――それぞれ旅をされたことをキッカケに制作が始まったのですね。

松原:もちろん、それまでに考えていたことや思っていたこともあるので、このタイミングで一気に作ったという感じですね。なので、先ずはコンセプトを考えて、その後の2か月ぐらいかけて作っていきました。

――同時のタイミングで旅に出られたのは、お互いが前作のリリースを経てそういう思いになったから?

松原:リリースツアーのファイナルは地元・神戸で、ライブが無事にソールドアウトしてやり遂げて。バンド活動のスケジュールに余裕ができたので、彼はずっと行きたかったインドに行くというので、それに合わせて僕も昔住んでいた場所に行ってみることにしました。

――どうして昔住んでいた愛媛に?

松原:家族が転勤族だったから、引っ越しして小学校も三つ転校していたりするので、生まれた場所のことをよく知らないし、故郷がないと感じることがずっとコンプレックスだったんです。彼とかベースの柴田はずっと神戸で育ってきたし、そういう故郷があるというのが羨ましくって。今年の3月に大学を卒業したのもあって学生じゃなくなった何者でもないタイミングを機に小学生の頃に過ごしていた愛媛に帰ってみることにしました。

――アイデンティティを探しに。

松原:そうですね。そういう何かに困って苦しんでいて探しに行くとかではなくて、幼い頃になにを見ていたのか懐かしみたいなというか。久々にどうなっているんだろうって、なんとなく記憶の中にある部分の答え合わせみたいな感じで、ただ行ってみただけなんですよ。

――実際、帰られてみていかがでした?

松原:全然変わってないなとか、ここはすっかり変わっちゃったなとか懐かしかったですね。それよりも当時の自分の価値観とか、なりたかった憧れみたいなものを思い出せたのがよかったなと。当時から野球をやっていたので、プロ野球選手になりたかったなとか。そういうことを思い出してみると、今と昔の自分には価値観の違いがあって、そういうことを考えるキッカケにすごくなりましたね。

――このある種の里帰りを経て考えたことが、松原さん作詞の「ローズ」に。

松原:そうですね。自分が小学生の頃にいたところへ行って、そこで体験したことを書いたので、詩的に書くのは少し違うなと思って稚拙さを残して書きました。実はテーマがあって、僕がある人と出会う経験を書いているんですけど、そこはあまり前面には出していません。それよりも、昔の自分が住んでいるところに行ったけれど、当時のことをいっぱい忘れていたことに気付いた時に、記憶が無くなることとか、忘れること、いつか死ぬこととかっていう儚さとか悲しさを感じたこと。同時に、どんな経験でも人に伝えて、その人がまた誰かに伝えてくれたら、忘れたり消えてしまっても、それでいいんじゃないかなと思うようになったことをしっかりと曲にしたいなという気持ちで作りました。そういう意味では、音楽はそれに適した手段だと思うんです。

The Songbards

The Songbards

――《何度でもあの話をして》と繰り返されるところがまさに。切なげな儚さが漂っているものの決してネガティブではなく、どこか前へと進んでいこうとする希望に満ちた楽曲ですよね。同時期に、上野さんはインドに行かれたということですが、初めてインドに?

上野:そうですね。初海外です。

――初海外! どうしてインドへ?

上野:昔から興味があって、本を読んだりして前知識だけはあったんです。それで時間もできたので、このタイミングで行ってみようと。

――実際に訪れてみていかがでしたか?

上野:やっぱり、実際に経験しないと感じない事とか、知れないことがいっぱいありましたね。1週間インドで過ごしたんですけど、そのうち5日間ぐらいはずっとヨガと瞑想をしていました。空いた時間に街に出たり、ビートルズが訪れたことのあるアシュラムというヨガ道場に行ってみたり。そこで、インド人相手にビートルズを歌ってみたり。ガンジス川でも弾き語りをしてみたら、意外と人が集まってきて反応してくれたのも嬉しかったですね。あと、ヨガのパンツを買おうとしたら、目の前で値札を引きちぎってめっちゃ高い値段を言われたり(笑)。ぼったくりなんて、観光客は当たり前のようにされると聞いてはいたんですけど、実際に目の当たりにして……。日本ではありえないようなことが、平気で起こるので、日本で生きてきた中で形成されてきた価値観とか常識を見直す経験にもなりましたね。

――ヨガとか瞑想は日本にいるうちから?

上野:瞑想は、仏教の本を読む中で自分でやってみたりしたんですけど、ヨガはあんまりやってみたことがなかったので、この機会にやってみました。ヨガにはいろいろな種類があるんですけど、そもそもは瞑想をする時のポジションに身体がついた時に、それを維持して辛くない状態にするのがヨガの基本なんですよね。そういうことも、実際に体験することで初めて分かることができましたね。確かにヨガをした後に瞑想をすると、姿勢を意識できるので凄くやってみてよかったなと。

――そのインドでの経験を、上野さんは「斜陽」に。

上野:はい。インドで自分が感動した景色を、そのままギュッと曲にしました。

――僕はインドに行ったことがないんですけど、楽曲を聴けば、インドではこんなふうに時間が流れているのかなと、追体験させてくれるような情景の浮かぶメロディと歌詞でした。歌詞を書くに当たって、特に意識されたことは?

上野:ガンジス河でお祭りみたいに花束とロウソクを川に流して、みんなで何かに対して歌ってお祈りをしていたんですね。混沌としたインドの洗礼を受けた後にその姿を見て、すごく、純粋で美しいなと思って。川に花束が流れている様子が、いろいろなことが過ぎ去っていく恐怖とか、諸行無常ということをただただ認めているように感じて。その時の感覚を、そのまま楽曲にしたいなと思ったので、その時のことを頭に思い浮かべながら歌詞を作りました。

――最後に《何も恐れはしないよ/きっと変わってゆくこと/そして許されるということを》という言葉が、すごく静かなんですけど芯のある強さも感じられる言葉で印象的でした。他の曲もそうですが、それぞれが体験したことを元に作った曲だからこそ、リアルな情景が浮かんでくるんだなと。だけど歌詞はそれぞれが書くにしても、作曲は2人でされていますよね。となると、経験したことや見た景色を共有しながら曲にしていくのですか?

松原:そうですね。その辺は、大学で出会って、何でも話してきた付き合いなので、自然と普段からできているんだと思います。なんでもない話も良くしますし、「こういうことがあって、こう思ったんだけど」って話も、学生時代から継続して真剣にバンドをやっている今もそれをやってるので、曲も同じ意識を持ちながら作れているのかなと。

The Songbards

The Songbards

――チャットモンチーや後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)のレコーディングエンジニアを担当された古賀健一さんとの作業はいかがでしたか?

松原:いろいろな面で、大きく影響を受けました。正直音作りの面で、今までは手探りでやってきたところがあったんですよね。こうしたらこうなったけど、前と同じようにやったらならなかった……というようなことを、ライブでもレコーディングでもやっていたんです。でも、古賀さんは「何でそうなったかを、覚えておいた方がいいよ」って、知識と経験を惜しみなく与えてくれて。しかも質問もめちゃくちゃしやすいんですよ。「これはこうなってるんだけど、最終的に正解はないから君たちで考えてみて」というやり方で進めてくれて、今後のレコーディングとかライブで自分たちで考えるキッカケを与えてくれました。

――感覚的だったことに、理解が深まったと。

上野:今までのレコーディングでは、歌録りをしたらある程度のピッチ修正とかはしてくれていたんですけど、今回はレコーディングをする段階で「ピッチ修正はしないから」と言われていて。それを言われた時点で、歌に対する意識とかも変わってレコーディングに向けて準備したり。声を聞いただけで、のどで歌っているかお腹から歌ってるかが分かるので、「喉で歌っているから、力を抜いてお腹から出してみようか」と言う、ボーカルに対するアドバイスもちゃんとしてくれたので成長できた部分がたくさんありました。

松原:「バンドの地力というのが絶対に必要なんだ。レコーディングではごまかせるかもしれないけどね」って。

上野:レコーディングでは切り貼りしたりしていい音源になったとしても、実際にライブでやる時に実現ができないとなるとバンドにとってもよくないですからね。練習してできることを、最初からするというスタンスだったので、バンドにとって新しくて、一番イイやり方だなと、凄くためになりました。

――バンド自体の底力もついたからこその、明らかに次のステージへと向かっているエネルギーが楽曲からも伝わってきたのかと納得しました。先日、ライブを拝見させていただいたら、「Time or Money」は音源とはまた違った、ライブならではの迫りくるような熱量が乗ると映える曲で。「21」とかは、世代感がより出ている曲でグッときました。

松原:まさに、「21」は21世紀的な意味ですね。なんとなく抱えている漠然とした不安とか流行とか、いろいろな情報がめちゃくちゃ多いからこそ選択もできなくなってきてることに対しての叫びを込めました。歌詞をごちゃごちゃで書いてみたので、「21」は難しかったですね。

――とういうと?

松原:「Inner lights」は1番が晧平で、2番が僕だったりするんですけど、「21」は試みとして2人でごちゃごちゃに歌詞を。

――ごちゃごちゃに書くというのは、単語単位で?話し合いながら言葉を選び合ったり?

松原:先ずは、ブロックごとで書いてみました。同じブロックを二人で書いたとして、それを組み合わせて、センテンスごとぐらいにはバラバラにしながら作りました。で、一回、自分たちでできたかなというところで、古賀さんに見せたんですけど……。「二人の中ではテーマとかがあるかもしれないけど、聴いている人には分からないよ」と言われて。裏テーマとかつけてやったんですけど、そう言われて今のままでは確かに伝えるのが難しいなとガラッと切り替えて、テーマも変えて作り直しました。なので、最終的にはセンテンスごとにそれぞれの言葉を使っているところもあるし、サビのブロックが晧平だったり……と、2人で1回、2回じゃない何度も何度もやりとりした上で、いいなと思った単語を残していくような書き方になりました。

――時代性ともマッチした混沌としたニュアンスが、そういう書き方がより際立たせているのかもですね。

松原:勝手に混沌とした感じなんですけど(笑)。

上野:だけど、混沌とさせたい狙いはありましたね。曲のアレンジとかもめちゃくちゃ変わった感じにしたいなと思っていたんで、歌詞ともマッチして結果よかったなと。

――《もう何もしたくないなら/何もしなくてもいいから》という部分とか、「Inner Lights」は肯定してくれている感じが凄くいいなと。

松原:この曲は、彼がデモで1番のメロディーと歌詞を聴かせてくれて。それを受けて僕が2番を書けたのは、彼のメッセージに共感できたからなんですよね。最初に会った時のこととか、初めてみたことを忘れないということは大事だと思うなって。それで2番を書いて、Cメロを二人で作って、大サビは2人の歌詞を混ぜて。今までも二人で詩を書くことに何回も失敗しているんですけど、でもそれができたのはお互いが共感できるメッセージだったからだと思います。

The Songbards

The Songbards

――どの曲も普遍性のあるメッセージが歌われていますよね。僕が20代で世代的に近いからリアルに感じるのかといえばそうでなく、きっとどの世代が聴いてもグッとくる楽曲ばかりだなと。きっと、何十年先に聴いてもしっくりくると思うんです。

松原:やっぱり僕たちがそういうバンドが好きなんです。最終的には憧れるバンドたちがやってきたように、やるなら作品をしっかりと残していきたいなと思っているので。どの時代でも、人間だから同じような気持ちを抱えるだろうし、そういう根っこの部分に響く曲が書けたらいいなと思っています。

――今年は、イギリスでライブもされたと思うのですが日本に比べていかがでしたか?

上野:ライブでのお客さんの反応が顕著でしたね。それだけでなく、日本との文化の違いを感じたることもいっぱいありました。例えば、芸術作品に対するスタンスや向き合い方が、全然違うなと。博物館とか劇とか、レコードショップも見てきたんですけど、そういうアナログ的な娯楽に対して、老若男女問わず興味を持って足を運んでいるんです。その考え方がライブにも通じていて、自分が好きなアーティストを調べて観に行くというよりかは、パブとかでやっている場所にとりあえず行って、知っていても知っていなくてもとりあえず観て、よかったら盛り上がる。っていう、そういう楽しみ方に関しては日本との違いを感じましたね。

――カルチャーに対してよりピュアな感じですね。流行旬とか関係なく、いいものはいい。古くても残っているものは、いいものだ、みたいな。

松原:もちろん日本と同じようにネットで楽しんでいる人もいっぱいいると思うんですけど、実際に街で触れたのは、足を運んで楽しむ人たちが多いという印象でしたね。カフェでも、パブでもライブハウスでも、どの場所に行ってもいろんな年齢層の人がいるんです。パブでもライブハウスでも、おじいちゃんとかおばあちゃんがいる。クラブの入り口とかもバーッて開いてるから、オープンな感じで入りやすいんです。日本なら居酒屋とかカフェで話そうかとなると思うんですけど、イギリスでは公園の芝生にそのまんま座って、対面で話していたりする。そういうのを見て、ラフでいいなぁと思いましたね。

――イギリスでの経験で、帰ってきてからのライブで反映されたこととかありますか?

松原:お客さんがこうやったらこうなる、という反応を実際に12本のライブで体感できた経験は生かしていますね。向こうのお客さんはダメだと思ったら目の前で平気で帰っていくんですよ。一番前を陣取って見ていても、ダメだったら帰る。だけど良かったら良いって反応を、必ずしてくれるんです。例えば、セットリストの中でこういう風にリズムを取って、演奏を丁寧にしたらノッてくるなとか。これはありきたりな話ですけど、ソロパートの時に前に出て弾いたら反応してくれるとか。それは日本の人もイギリスの人も、感情の変化はきっと似てると思うんですよ。なかなか日本ではライブハウスに来てもじっとしている人もいるので、「どう思っているんだろう」というのはあったんですけど、じーっと観ていたとしても心の中ではイギリスの人と同じように盛り上がってくれているんだろうなと思えるようになりました。イギリスのお客さんみたいに盛り上がっていなくても、「自分たちはこうするんだ」と自信を持てた。他のバンドマンはとっくにできてることかもしれないですけど(笑)。

上野:ライブに関しては本当にそうなんですよね。お客さんのライブを俯瞰して見るということが意識づいてきました。こんな時はこうした方がいいなというのが、前より見えるようになったと思いますね。お客さんがノッてないからといって、こっちが落ち込んだり怯んだりするんじゃなく、絶対に自分たちのパフォーマンスをすれば大丈夫なんだと。僕らは盛り上がる曲よりしっかり聴いてもらう曲が今は多いので、ちゃんと自信を持ってパフォーマンスできるようになりました。

松原:僕らが楽しみながらいいライブをして、それの反応が返ってきたら、バンドはより一層力を発揮できるんです。だからこそ、自分たちが周りを気にせず、もっと自由に楽しんでお客さんにも楽しんでもらえるようなライブをしたいなと思います。

――バンドの底力も上がり、イギリスで自信を得てメキメキとパワーアップしたライブを観れるのが楽しみです。リリースツアーは、対バンも世代の近い良いバンドばかりですね。

上野:僕らがホンマに好きで、ライブを観て好きになったアーティストを誘ってます。なので僕たち自身もツアーで一緒にできて彼らのライブを観れるのがすごい楽しみです!

The Songbards

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取材・文=大西健斗 撮影=渡邉一生

くるり岸田繁、『交響曲第二番』初演を前にオフィシャルインタビューが公開

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くるりのフロントマン、岸田繁が制作し、広上淳一と京都市交響楽団によって、12月から行われる「交響曲第二番」の初演。本公演を前に、青澤隆明による岸田のソロインタビューがオフィシャルサイトで公開された。

岸田繁オフィシャルサイト 【こちら

くるりでボーカル・ギターを務める岸田は50分を超える「交響曲第一番」を2016年に完成させ、同年12月その初演がロームシアター京都と東京オペラシティで披露された。生涯に1曲を作り上げるだけでも至難といわれる交響曲だが、岸田は新たに壮大な制作へ挑む。「交響曲第二番」初演は12月2日(日)京都コンサートホール、12月4日(火)愛知県芸術劇場コンサートホールにて、そして2019年3月30日(土)東京オペラシティコンサートホールで開催される。どんな初演になるのか期待が高まるばかりだ。

また、岸田繁「交響曲第二番」初演のうち、12月4日に開かれる名古屋公演をCD化する事も決定している。

<広上淳一 プロフィール>

広上淳一 Photo:Greg Sailor

広上淳一 Photo:Greg Sailor

京響第12代常任指揮者兼ミュージック・アドヴァイザー。1984 年「第1回キリル・コンドラシン国際青年指揮者コンクール」優勝後、世界中のオーケストラへ客演を展開。リンブルク響首席指揮者、米国コロンバス響音楽監督等を歴任。

<京都市交響楽団 プロフィール>

京都市交響楽団 撮影:伊藤菜々子

京都市交響楽団 撮影:伊藤菜々子

日本唯一の自治体直営オーケストラとして1956年創立。常任指揮者兼ミュージック・アドヴァイザー広上淳一、常任首席客演指揮者・高関健&下野竜也による3人指揮者体制で「世界に誇れるオーケストラ」として前進を図っている。


山下智久 “解放”がテーマの4年ぶりアルバム『UNLEASHED』から2曲のMV公開

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山下智久のニューアルバム『UNLEASHED』(11月28日発売)に収録される「You Make Me」と「Right moves」のミュージックビデオが山下智久オフィシャルHP(http://www.sonymusic.co.jp/artist/yamashitatomohisa/)で公開された。

4年ぶりのオリジナルアルバムとなる『UNLEASHED』は“解放”をテーマに制作。そうしたアルバムに収録される「You Make Me」は、山下智久が全編英語詞で作詞した楽曲で、<君がいるだけで、狂いそうになっちゃうよ>という求愛ソング。誰かを想う気持ちが“解放”された1曲となっており、ミュージックビデオではそんな想いが溢れる姿を、山下初挑戦となるコンテンポラリーダンスで表現している。

そして「Right moves」は、<月曜から金曜まで頑張ったんだから、週末ぐらいハジけたっていいでしょ!>という無礼講ソング。まさに、“解放”してとりあえずハッピーに楽しんで行こうという1曲になっており、ミュージックビデオではサラリーマンに扮した山下が、ハジけ踊っている姿を描いた解放感あるミュージックビデオになっている。

須田景凪 初の撮り下ろしアーティスト写真を公開 新作初回盤にはアボガド6制作のMV2曲収録&20P歌詞ブックレットも

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ボカロP“バルーン”こと、シンガーソングライターの須田景凪が来年1月16日にリリースするEP「teeter」の収録内容詳細が発表。同時に、須田景凪として初めて撮影されたアーティスト写真が公開された。

今作EPには全6曲が収録。ダンロップのスタッドレスタイヤ『WINTER MAXX 02』のプロモーションのために制作された短編アニメーション『ROAD TO YOU ~星降る丘の約束~』の主題歌「レソロジカ」のほか、今年7月にYouTubeで公開され100万回再生を突破した「Dolly」のほか、「パレイドリア」などの楽曲タイトルが並んだ。

初回限定盤は3面特殊紙ジャケット仕様。バルーン名義含む過去作品より須田景凪とタッグを組み続ける、イラストレーター/映像作家のアボガド6が手掛ける20Pの歌詞ブックレットが付属される他、DVDにはそのアボガド6が制作するミュージックビデオ2曲が収録。

同時に公開されたアーティスト写真は須田景凪として初めて撮影されたもので、ドライフラワーが吊るされたジャケットデザインとリンクするビジュアルとなっている。アートディレクターのえぐちりかと、フォトグラファーの半沢健が手掛けた。

また、CDの購入者特典としてTOWER RECORDSとヴィレッジヴァンガードでは、今作EP「teeter」収録楽曲のリアレンジ音源が収録されたCDがプレゼントされる。TOWER RECORDSは「パレイドリア」、ヴィレッジヴァンガードでは「mock」のリアレンジ音源がそれぞれ収録となる。その他応援店では組立カレンダーがプレゼントされるとのこと。

Eve 来春に全国ツアー開催決定 ツアーファイナルは自身最大規模となる東京・Zepp DiverCity

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Eveが来年3月25日大阪・なんばHatchを皮切りに『2019春ツアー~おとぎ~』と題した全国ツアーを開催することを発表した。

ツアーファイナルは自身最大規模となる東京・Zepp DiverCityで開催される。ツアーの新キービジュアルも公開されて期待は高まるばかりだ。

また、来年2月6日発売のアルバム『おとぎ』の初回プレス分(初回盤・通常盤・アニメイト初回盤・アニメイト通常盤)には、本ツアー東京、大阪、名古屋、計3公演のチケットの最速先行予約に申し込める抽選応募券が封入されることが決定した。

ナオト・インティライミ J-POPシーンで求められる自分らしさと、いま自分がやりたい音楽をナチュラルに鳴らす現在のモードとは?

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「いまは曲がすぐにできちゃうんです」――昨年(2017年)、1年半の活動休止期間にアフリカ大陸を含む世界19ヵ国をめぐる旅から帰ってきたナオト・インティライミのクリエイティブへの情熱が止まらない。今年3月から初の47都道府県ツアーをまわりながら、復帰後初のシングルとして、“ナオトの日”=7月10 日に「ハイビスカス / しおり」をリリースしたばかりのナオトが、早くも復帰後第二弾となるニューシングル「Start To Rain」をリリースした。昨今の洋楽のトレンドを彷彿とさせるエレクトロな音色と、生のバンド感のハイブリッドによる表題曲は、まさにナオト・インティライミの新機軸。J-POPシーンで求められる自分らしさを大切にしながら、いま自分がやりたい音楽をナチュラルに鳴らすことのできるナオト・インティライミの現在のモードについて話を訊いた。

――今回、資料には“ナオト・新ティライミ”というキャッチフレーズが書いてありました。かなり洋楽テイストを取り入れた新しいサウンドになりましたね。

やっぱりそう思われます?

――聴いたことのないナオト・インティライミでした。

これを世間の人が聴いたときに、“洋楽にかぶれたな”みたいに思われないかな?と思うんですよね。

――個人的には、J-POPシーンの歌手であることに誇りを持っているナオトさんが、ここまで英語詞を増やして、海外のポップシーンと肉迫する曲をシングルとして出すチャレンジ精神を面白いなと思いましたけど。いま、これがナチュラルなモードなんですよね?

うん。僕にとっては本当に自然ですね。旅をしたこと、世界での挑戦を始めたこと、そして、いままでのJ-POPERとしての誇りっていうのがハイブリッドで入ってるから、いまはこれがいちばんしっくりくるんですよ。何の背伸びも我慢もなくやれてるので。

ナオト・インティライミ 撮影=菊池貴裕

ナオト・インティライミ 撮影=菊池貴裕

1年前に旅に出たのは、追っていたはずの音楽に、気づいたら追われていると感じたから。このままでは5年後は音楽シーンにいない危機感があった。

――そもそも去年、“自分の原点を取り戻す”っていう目的をもって、ナオトさんは世界への旅に出た。その結果が、今作には如実に出ていると捉えていいんですよね?

そうだねえ。1年前に旅に出たのは、自分が追っていたはずの音楽に、気づいたら追われているように感じたからなんだけど。このままでは3年はもっても、5年後は(音楽シーンに)いないっていう危機感があったんですよね。それで、自分のなかでも、常に進化がほしいとは思ってるから、自分の知らないものを感じるために旅に出たんです。でも活動休止をすることで、テレビに出ないこととか、ライブをやらない1年半というのは非常にリスキーだし、デメリットもたくさんある。CDの売り上げが下がるだろうし、ライブの動員が落ちるだろうし、ファンの方々も離れていってしまうかもしれない。もちろん周りの大人には反対されたし。それを受け止めたうえで、もう一度新人としてビルドアップしなおさないといけないっていうのをわかって、覚悟を決めて行ったんです。

――最近は音楽シーンのサイクルは速いですからね。

うん、1年半休んでる間に新人が何組もデビューして、知らない間にヒット曲が出たりしますからね。これが、もうちょっと飛び抜けたアーティストならいいですよ(笑)。宇多田ヒカルさんとかサザンオールスターズさんが1年半休んでも、それこそ安室ちゃんが10年後に復活しても、スターはスター。いきものがかりさんが放牧から帰ってきても、いきものがかりさんはそこにいられる。でも、ティライミぐらいだと、けっこう難しいんです。

――いやいや、また相槌しづらいことを……(笑)。

書きづらいですよね(笑)。でも、その自覚はあって。それでも、自分はリスクを挽回するつもりだし、同じ方程式でやり続けることのほうが怖いと踏んだわけですよね。まあ……勇気のいる決断だったけど、自分のなかでは当然というか。全部、結果が見えてたんです。旅に行ったら、どれだけのインスパイアがあって、戻ってきたらショックを受けるだろうけど、そこから自分が良い状態でクリエイティブを生み出していけるって。

ナオト・インティライミ 撮影=菊池貴裕

ナオト・インティライミ 撮影=菊池貴裕

――ナオトさんって、人生を振り返ったときに、旅に出る決断をしたことで、新しいビジョンが見えてきたことが過去にもありましたもんね。

世界一周に行くときもそうだったんだろうしね(※ナオトはアマチュア時代にメジャーデビューの話がダメになり、世界一周の旅に出たあとで、再びメジャーデビューのきっかけを掴んだ)。そういう意味では、今回は何度目かのデビューですよね、自分のなかでは。たぶん人生には腹を括ることが大事な瞬間があるんですよね。

――で、旅から帰ってきてかから、曲作りが止まらないモードに突入していると。

それも旅だけのおかげじゃないですけどね。旅から戻ると、あっと言う間に日常にまみれちゃうんですよ。そういう意味では、海外での挑戦を始めたことも大きいんです。今後、海外でも作品を出していくために、海外でもクリエイティブを続けてるっていうことのほうが、むしろこのモードが続いてる原因として大きいのかもしれないな。

――いまは海外に行く前に抱いていた“追われてるような感覚”はないですか?

ああ……ない! すごいことだけどね。47都道府県ツアーをやってて、東京にいるのが週1日か2日しかないっていうタイトなスケジュールのなかで、3ヵ月に1回リリースをしながら、こうやって取材を受けさせてもらったり、テレビに出演させてもらっているけど。追われてる感覚はないですね。前のめりで自分発信を表現できてるし、曲を作るにしても自分の意思が先にある。それは、ものすごく恵まれたことかなと思います。

――そう言えば、7月にリリースされたさだまさしさんのアルバム(『Reborn ~生まれたてのさだまさし~』)のなかで、ナオトさんがプロデュースを手がけた「パスワード シンドローム」を聴きました。“さださんにコレを歌わせる!?”っていう曲ですよね。

あれもね、何のストレスもなく、ものすごく自然にさだまさしプロデュースをやらせていただいたんですよ。楽しかったな。パっと浮かんだものを、スッと出したんです。

――それこそ今作の「Start To Rain」の洋楽感にもつながる曲ですけど。さださんとは、どういうコミュニケーションをして作ったんですか?
 
一緒に飲んでて、「パスワードってわからなくならない?」っていう話になったんですよ。自分で決めたのに、なんでわからなくなるんだ?って。

――「パスワードを忘れた方はこちら」に何度救われたかっていう(笑)。

そうそう、秘密の質問ね。母の旧姓、子どもの頃に住んでた街とか(笑)。パスワードって、昔は4桁で良かったのが、6桁になり、8桁になり、最近は大文字小文字も全部入れなきゃいけない。条件多すぎ! それはわからなくなるだろうっていう話をしてたら、「まっさん(さだまさし)、ちょっと俺(曲が)浮かんでます。鳴っちゃってるんです」って言ったんです。別に曲の話をしてたわけじゃないのに、鳴ってるんですよね。で、「お前、本当か!? プロデュースやってみるか」ってなったんです。けっこうアルバムの期限は迫ってたけど、そのまま作業場に入って、ほんの数時間でできたんですよね。自分で歌詞を書いて、仮歌も歌って送ったら、「バカ野郎。こんな冒険的なことを俺が……面白い、やってみよう」って(笑)。“すごいな、さだまさし”と思いました。あんな遊びみたいなやりとりから、こんな誰も聴いたことのないさだまさしができるなんて。さださんの国際フォーラムのライブで1曲目にやってもらったんですけど、それを見たとき、鳥肌が止まらなかったですよね。

――いいですね。これまでのイメージに囚われず、新しいことをやるっていうことに、恐れずに挑戦できるふたりだからこそのコラボレーションだと思います。

また歌の表現力もスゴいから、いま風にすることの楽しさがあるんですよ。ペラペラなものをいま風にすると、なかなか届かないけど。さださんのおかげで、重厚なものをライトに届ける切り口を見つけたと思います。プロデュサー冥利に尽きましたね。

 

最近、桜井さんと二人で初めてご飯に行って「お前の最近の曲聴かせて」って言われて、めちゃくちゃ反応してくれたのが「Start To Rain」なんです。

――で、今回のナオトさんのシングル「Start To Rain」に関しても、テンション的には近い感覚で作ったのかなと思います。これも溜まってるストックのなかから選んだ曲?

そうです。実を言うと、これをシングルで出すのは難しいだろなと思ったんですよ。

――いわゆるザ・ナオト・インティライミなJ-POPソングとは違いますからね。

あまりにも攻めすぎてて、いままでお茶の間のみなさんが抱いているナオト・インティライミ象からすると、ビックリ、ガッカリしちゃうと思うんですよね。

――“ガッカリ”も入りますか?

たとえば、「ありったけのLove Song」みたいな曲が好きな人にとっては、“こういうのを聴きたいんじゃない”っていうガッカリ感はあるんじゃないかなと思うんです。ラジオで流れたときに、“あれ? ナオト・インティライミ、どうした?”みたいになる。だから、はじめは僕のなかではシングル候補じゃなかったんです。ただ、きっかけは、ミスチルの桜井さんと、出会って10年で初めてご飯を食べに行ったんですよ。

――初めて、ですか? 

初めて。出会ってから2年間(ミスチルの)コーラスに呼んでいただいて、ものすごい近くで背中を見させてもらったんですけど、僕のなかでは“いつまでもその旗の下でやるのって、ちょっと……”っていうのがあったわけですよ。もちろん近くにはいるんですよ。ただ、公(おおやけ)に対して、“ミスチルでやってましたよ、俺”感というか、“桜井さんと仲良いんですよ”感っていうのを出すのが嫌だったから、我慢してた部分もあるんです。近づきすぎたくない。それを桜井さんも気を遣ってくれて、距離を保ってくれてたんですよね。でも、アドバイスはたくさんくれてたし、サッカーはするしね。良い関係だったんですけど。最近、二人で初めてご飯に行ったんですよ。で、「お前の最近の曲聴かせて」って言われて、日本向けの曲も、海外向けのスペイン語で歌ってる曲も聴いてもらったら、「いいじゃん、いいじゃん! すごいね」って。本当になんか……いろいろな曲に反応してくれたんですよね。それが“ああ、嬉しいな”と思って。で、帰りがけに一緒にタクシーに乗ったあと、「もう1曲あるんですよ」って言ったんです。

――その前にもたくさん聴いてもらってたんですよね?(笑)

そう、10曲以上。“どれだけあるんだ、お前は”っていう感じですよね(笑)。そしたらね、めちゃくちゃ反応してくれたんですよ。それが「Start To Rain」なんです。

――へぇ。

桜井さんには「これ、シングルで出したほうがいいよ」って言われたけど、「いやいや、英語も多いし、ちょっと難しい」と思ってたんですよね。僕としては、“一応、こんなのもあるんですよ”ぐらいの気持ちで聴いてもらったんですけど、桜井さんに「これでいっちゃいな」って言ってもらえたから、それが後押しになりましたね。

――今回、英語詞が半分ぐらい入ってるのも、このサウンドが呼んだものだったんですか?

そうね。メロディの9割ができてて、これに俺が日本語の歌詞をつけると、“あ、これぐらいの曲ね”っていうのが見えちゃったんですよね。だから、これは自分ひとりでやらないほうがいいなっていうことで、シェーン・ファキネロ(Shane Facchinello)と一緒に歌詞を作ることにしたんです。シェーンは、1年前に初めてL.A.で一緒にコライトで作ったうちの何組かのひとりですね。で、ちょっとしたポイントでアメリカ人っぽいシェーン節がほしかったから、自分で作ったメロディを変えてもらって、そのまま歌詞をのせて、すぐ歌入れですよ。

――ああ、いまのナオトさんの曲作りのペースって、曲作りから、歌詞を書いて、歌を入れるまでが、めちゃくちゃスピーディーになってるって言ってましたもんね。

すぐできちゃう。そこで英語の発音も直してもらって。で、そのボーカルデータを持って帰ってきて、日本でアレンジを始めるっていう。ふつうで言ったら、考えられない順番ですよ。ふつうは全部楽器をレコーディングしたうえで歌入れだけど。全く逆だね。

――こういう曲だと、声も楽器の一部みたいな感覚だからできるんですか?

うん、素材というかね。あとは、自分のなかでアレンジのアイディアも設計図があって、そのグルーヴ感だったり、跳ね、シャッフルの度合いなんかも(頭のなかで)鳴ってるから、先に歌を録っても大丈夫なんです。これ、他の人に(アレンジを)やってもらうと、難しいと思うんですよね。歌を録ってから、楽器を合わせるのはグルーヴがちぐはぐになりそうだけど、自分でやってるからフィットできるんですよね。

――エレクトロな音のなかで、ちゃんとバンドの生音も感じられるグルーヴが、ナオトさんらしくて心地好いですよね。

そこのハイブリッドは意識しましたね。いまのトレンドの音は入ってるけど、ちゃんと生のぬくもりがあるっていう。

――ちなみに「Start To Rain」っていう歌詞のテーマは切ないです。

テーマもシェーンと話しながら作ったんだけど、あなたと一緒にいる素敵な時間から、“じゃあ、またね”って離れるときは、いつも自分の心のなかに雨が降り始めるっていう瞬間ですよね。それぐらいあなたを愛しく想っている。その10秒間を切り取った歌です。

――最初に聴いたときは、もっと明るい歌かなと思ったんですよね。でも、よく歌詞を読んだら、切なくて。

不思議ですよね。爽やかなのに切ない。さわ切ない。なんて語呂が悪いんだろう(笑)。

――(笑)。いまのナオトさんの勢いのある制作のモードは、まだしばらく続きそうですか?

うん、精神的に健康的な流れは続きそうですね。今回のシングルを出すことで、いまの自分がやりたいことを100%やっちゃっていいんだと思えたので。

ナオト・インティライミ 撮影=菊池貴裕

ナオト・インティライミ 撮影=菊池貴裕

12月29日のナゴヤドームは、誰ひとり置いていくことなく楽しんでいただけるようなエンターテイメントショーをご用意したいなと思います。

――最後に12月29日のナゴヤドームの話も訊かせてください。これはもう、“帰ってきたぞ。ナオト・インティライミを忘れさせないぞ”という意味合いかなと思いますが。

挑戦ですよね。ナオト・インティライミがドームに挑むのは、かなり無謀なことなんですけど、それでも挑戦したい、立ち向かっていきたい、そこに向かってがむしゃらに走りたいっていうのはあるんです。当日は、キッズから若者はもちろん、中高年のみなさままで楽しんでもらえるように。ファン・インティライミの方から、ティライミの曲を1曲も知らないあなたまで、誰ひとり置いていくことなく楽しんでいただけるようなエンターテイメントショーをご用意したいなと思います。いままでの史上最多数のバンドメンバーとダンサーでお届けするので、そのスケール感はドームでしか見られないと思いますね。

――ひとりきりでまわった47都道府県ツアーとは全く違うものになりそうですね。

うん。それぞれの辛かったことや悲しかったこと、うまくいかなかったこと、悔しかったことを、全部持ち寄って遊びに来てくれたら、そういった想いから解放できるような、そんな時間と空間を確実にご提供できると思いますね。で、午後3時からですから。全国どこからでも日帰りができるように、ちゃんと調べてますので。

――北海道も?

日帰りできます。

――沖縄も?

日帰りできます。あと、29日という日取りは、大体28日金曜日に仕事が収まりますよね。で、30日以降は家庭の行事でお忙しい。だから、ここしかないんです。29日、土曜日。深すぎず、浅すぎない。ここしかない!(笑) 29日にナゴヤドームに来てもらったら、30日以降はゆっくりしてください。ぜひ、大忘年会やろうぜ、という感じです。

取材・文=秦 理絵 撮影=菊池貴裕

ナオト・インティライミ 撮影=菊池貴裕

ナオト・インティライミ 撮影=菊池貴裕

 

YOSHIKI feat. HYDE オーケストラを従え魅せた「Red Swan」、『YOSHIKI CLASSICAL 2018』オフィシャルレポート

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11月15日(木)、東京国際フォーラムにて開催されたYOSHIKIのクラシックコンサート『YOSHIKI CLASSICAL 2018 ~紫に染まった夜~YOSHIKI with Philharmonic Orchestra』に、スペシャルゲストのHYDEが登場。約5,000人の観客を前にオーケストラを従え、息をのむほど荘厳な「Red Swan」のパフォーマンスを披露した。

前日に「NHK紅白歌合戦」への初出場が発表されたばかりの2人に、客席からは割れんばかりの盛大な拍手が送られ、YOSHIKIは紅白のステージに向けて、皆の“度肝を抜く”ような構想が既に出来上がっていることを明かした。さらにHYDEから、「「Red Swan」は“歌詞から意思が伝わってくる楽曲」と言われたYOSHIKIは、感動しきりの様子で、「この曲に素晴らしい命を与えてくれてありがとう」と感謝の言葉を口にし、互いに大晦日のステージでの再会を誓い合った。

2017年1月の米カーネギーホール公演以来、約1年10カ月の凱旋公演となった本公演は、12日の公演に、世界的ソプラノ歌手、サラ・ブライトマンがゲストとして登場し、共演楽曲「Miracle」を披露。オーケストラをバックに16名のクワイアと共に見せた圧巻のパフォーマンスが、各メディアで大きく報じられた。

本公演では、「THE LAST SONG」「紅」「ART OF LIFE」などのX JAPANの楽曲や、天皇陛下御即位10年奉祝曲「Anniversary」、米ゴールデングローブ賞テーマ曲「Golden Globe Theme」などYOSHIKIが手掛けた名曲の数々が48名のオーケストラとともに披露された。さらに、「Forever Love」と「SWAN LAKE」では牧阿佐美バレエ団のバレエダンサーたちが華麗な舞いでステージに華を添えた。

YOSHIKI、HYDE

YOSHIKI、HYDE

最高のショーを作り上げる為に、ボーカリスト、オペラシンガー、指揮者、コンサートマスター、照明、音響のスペシャリストたちがアメリカやヨーロッパなど世界中から集結した。

公演終了後には、「天才の奏でる音。時間が経つのを忘れるほどの空間」「YOSHIKIが世界を舞台に活躍している訳が今夜よくわかった。世界水準の音に触れることのできる最高の空間だった」「I am so glad it’s available in YouTube channel!!! I have now watch the show, it was magic 」「まさに“奇跡”の空間。 死ぬまでに一度は聴くべき音と演奏」「演奏、 トーク、 ステージのライティングや会場、すべてにおいて神がかっていた。 世界レベルとはこういうことか」「新しいクラシックの時代は、このYOSHIKIという天才が作っていくんだと確信した」「今年の紅白歌合戦の1番の目玉はYOSHIKI feat. HYDE で間違いない。今夜このコンサートをみた全観客が確実に思ったはず」など、SNS上には多くのコメントが飛び交った。

15日の公演は、『YOSHIKI CHANNEL』、『YOSHIKI CHANNEL International(YouTube有料・海外専用)』、WOWOW及び、WOWOWメンバーズオンデマンドで全編生中継され、公演終了後からはYOSHIKI CHANNELの会員限定でアーカイブ動画として1週間の視聴が可能となっている。このアーカイブ放送では、12日に共演したサラ・ブライトマンとの共演ステージも視聴することができる。

今回スペシャルゲストとして登場し、『YOSHIKI CLASSICAL』でしか見ることのできない特別なステージを作り上げたサラ・ブライトマンとHYDE。本日16日には、サラ・ブライトマンの新譜アルバムにも収録されている共演楽曲「Miracle」のデジタルシングルが全世界リリースされており、来年2019年は彼女のワールドツアーの一部にYOSHIKIの出演も予定されている。

また、1月23日にリリースが決定したHYDEの2019年第一弾シングル「ZIPANG」に、YOSHIKIがピアニストとして参加することも決定。そして大晦日「NHK紅白歌合戦」の2人のステージには、各方面から熱い視線が注がれている。

 

MERRY 活動17年を迎え、大きな変化を遂げたバンドが見せた鋭い牙

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今年2018年で活動17年を迎えたMERRYが11月7日、恵比寿LIQUIDROOMにて開催したアニバーサリーライブのオフィシャルレポートが到着した。


2001年に活動を始めたMERRYは、今年17年を迎えた。

初期のMERRYのライブと言えば、ステージ中央に置かれた学習机の上での三点倒立や、墨汁を吐いたり縄跳びをしたりというガラ(Vo)の奇行や、習字の筆談で行われるMCが真っ先に浮かんで来るほど、とにかく異質な空間だった。

とにかく我武者らに反社会性を訴え、衝動的に反骨精神を音に変えていたと感じた過去のMERRYは、他を寄せ付けない尖った勢いがあった。故に、哀愁歌謡的な切なさが滲み出る楽曲では、尖った楽曲との落差が激しく、余計に深くその哀愁と刹那を感じさせていた様に思う。

そして今。2018年のMERRYは大きな変化を遂げて此処に居る。

MERRYのライブのシンボルであった学習机は、最近も時おり見かけることはあるのだが、縄跳びや習字の筆談でのMCという奇をてらったガラの姿は、近年見かけることがなくなった。

ステージのバックに誇らしげに掲げられたバンドフラッグの前で、素舞台に近い飾りっ気のないステージから音と唄を放つ。それが2018年現在のMERRYの姿である。

バンド歴が17年となり、守りに入ったのか?

いや、決してそんなことはない。反社会性を感じる攻撃的なサウンドは説得力を増し、ボーカルのガラが吐露するむき出しの生き様はより露になり、自らを防御する武器を持たずして丸腰で戦いに挑む彼らの姿は、むしろ、尖りまくっていた当初よりも鋭さが増したと言っても過言では無いだろう。

本当の意味での、内側から滲み出る鋭さとでも言おうか。生き様そのものがMERRYというバンドを通して伝わってくる。

2018年11月7日『MERRY Autumn Tour 2018 「哀愁のダンスホール[羊想]異形 tiki」 ~帝都、華散る~』。この日見たMERRYの姿は、17年という歴史の上に成り立ったMERRYの形と、まさしく今、彼らが生かされている意味そのものだと感じた。

MERRY 撮影=中村卓

MERRY 撮影=中村卓

この日のライブは、10月12日の名古屋の地からスタートさせた『MERRY Autumn Tour 2018 「哀愁のダンスホール[羊想]異形 tiki」』(※名古屋Electric Lady Landで~尾張、華咲く~)の最終日。名古屋・大阪・そしてここ、東京・恵比寿LIQUIDROOMで行われた3ヵ所での限られた本数のライブのファイナルであった。

この日会場限定でリリースされた、羊と人間を合体させた造語を意味するタイトルがつけられた「sheeple」を、シニカルに表現したかのような、リアルかつ幻想的なオープニングVJから始まったライブは、ダークサイドが匂う新曲からの始まりだった。

何処かの部族が用いる羊の仮面を被ったガラが紗幕の向こうで蠢きながら唄う新曲は、インダストリアルでありカオスが匂う猟奇じみたサウンドの上に吐き出される、欲しいモノは手に入らない世界で、ただ死んで行くのを待つのかと唄われる激しい嘆きだ。

とことん沈んだ暗く深い漆黒を思わすその新曲が醸し出す世界は、何故かとても愛おしく美しい空間だった。

紗幕が取り払われ、ネロ(Dr)のカウントから勢い良く始まったのは「夜光」。結生のループするギターフレーズがサウンドの中心を担い、出口のない真っ暗な世界の中でもがく心をガラが唄い。ガラの震えた声が高く伸びるこの曲では、MERRYという個性を色濃く臭わせた。間髪入れずに届けられた「犬型真性MASOCHIST」では、空虚に響く鐘の音を切り裂くようにイントロのサウンドが攻める上に、普段は“支配されたくない”と唄う彼らが、ここでは“支配されたい”と懇願する。この矛盾と歪みにこそ、“絶対”とは言い切れない世の中の有り様を突きつけられる気がした。音数を減らし、ネロのバスドラだけで唄われる後半の見せ場では、この曲の刹那をより引き出していたようだった。

MERRY 撮影=中村卓

MERRY 撮影=中村卓

テツ(Ba)のスラップベースから始まった「絶望」では、オーディエンスがガラの唄に重ねて歌う声が轟音となってフロアに響きわたった。そんなオーディエンスの声に触発されたのか、ガラは完全に崩壊。いつも以上にシニカルに、人を食ったかのような威圧的な表現でこの曲を歌い切って魅せたのだった。愛すべき変態。そんな言葉がステージ上のガラには似合う。

結生(Gt)と健一(Gt)のツインギターのハモリが絶対的な個性として交差する、ザッツ・MERRYなナンバー「迷彩ノ紳士」「[human farm]」「sweet powder」では、古くからMERRYというバンドを支えて来たオーディエンスが特に熱を上げていたという印象。奥行きを増した楽器隊のプレイがサウンドに更なる厚みといなたさを与えていたと感じた。まさに、17年という歴史の年輪を感じさせられた瞬間でもあった。

後半ブロックで届けられた「SIGHT GLASS」では、欲望を露に吐き出していく。歌詞を見るとガラがこの曲に込めた2つのメッセージが浮き彫りになる言葉遊びをしっかりと受けとめることができるのだが、“遠慮しないで 口に出して、、、”と唄われる曲の最後でガラは、“何か”を呑み込む音を口で表現した。エロティックな場面を想像させるそのギリギリな仕草に、会場はライブは聞いたことのない様などよめきにも似た歓声を上げていたのだった。

本編ラストに届けられた「エムオロギー」はMERRYとしてのイデオロギー。広がりを感じるサウンド感とメロディのこの曲は、弱さと強さが葛藤する人間らしい体温を感じさせながらも、ひとつ未来に踏み出せた決意を魅せてくれる曲。5人はこの曲をとても清々しいステージングで届けてくれたのだった。

MERRY 撮影=中村卓

MERRY 撮影=中村卓

「恵比寿LIQUIDROOMありがとうございます。無事17年目を迎えることができました。ここまで同じメンバーで17年続けてこれたことを誇りに思います。人間は明日どうなるか分からないので、この先のことは僕も分からないんですけど、この5人とみなさんが居る限り、僕は唄っていきたいなと思うし、このメンバーが健康なうちに、またツアーがしたいなと思います。まだまだやっていないこともあるし、みんなと見たい景色もあるし、“やっぱMERRYってすごいよな”って言わせてみたいし、まだまだ俺らはもっともっと強いメッセージを出して、MERRYだからできること、MERRYにしかできないことというのを、より追求していきたいと思っているので、是非、しっかり着いて来て下さい。バンドとしてまだやっていないこと、まだまだやれることがある。あまり背伸びをせず、自分達の等身大の今が出せるように、ひとつひとつの壁をクリアしていきたいと思います。ライブは僕らの生き甲斐でもあるし、そこが俺らと一番通じ合える場所なので、ライヴで会えたらいいなと思っています————」(ガラ)

アンコールでガラが語ったこの言葉。丸くなったのではないかと思える、普通とも思えるその言葉こそ、彼らの本気が詰まっていたと感じた。

17年という歳月をMERRYとして生きて来た彼らが、“MERRYにしかできない、まだまだやりたいと思える、やっていないことがある”と言い切れる素晴しさこそ、彼らが今ももがき続けている証拠。

MERRY 撮影=中村卓

MERRY 撮影=中村卓

この後、ガラは2019年の春にミニアルバムをリリースすることと、そのミニアルバムをリリースする前後で、2マンツアー、5月にはワンマンライブを企画していると告知したのだった。

アンコールで届けられた「そして、遠い夢のまた夢」は、ガラがMCで言葉にした“この先もMERRYとして生き続けていく決意”を感じさせるものでもあり、共に夢見た仲間への深い愛情を示すものであろうと感じた。だからこそ、彼らは今も、この先も音を放ち、唄を唄うのだろう。

ただただ攻め込むだけではなく、焦らず、大きく構え、すべてを受け入れた人間的に成長したガラが唄うこの曲は、バンドとして大きくMERRYを成長させた結生、健一、テツ、ネロが奏でるサウンドに包まれながら、オーディエンスの胸の奥へと深く運ばれていた気がした。

このツアーのファイナルのこの場所に、この曲が置かれていたことの意味をとても深く感じたのは、この曲に注いだ彼らの想いが伝わってきたからだったに違いない。

ダブルアンコールでは、17年という年輪を感じさせる説得力のなるインストを「gaudy」のイントロへと繋げ、飾らぬ言葉で心の内をぶちまけ、「ジャパニーズモダニスト」でオーディエンスと声を重ねて会場の温度を頂点まで上げた後、彼らは、このツアーをまわるきっかけと、この先のMERRYの道標となった「sheeple」を届けた。

MERRY 撮影=中村卓

MERRY 撮影=中村卓

「sheeple」を届ける前に、ガラはこんな言葉を挟んだ。

「まだまだMERRYは、ここからもっともっとすげぇバンドになっていくので、しっかり俺らに着いて来て下さい。まだまだ若いのには負けないし、上にも噛み付いていくんで。“MERRY、やっちゃってんな”って思って下さい。来年もこうして11月7日、みんなと一緒に迎えられるように1年気合い入れて突っ走ります!」(ガラ)

この日の最後にガラは尖った鋭い牙をむき出しにした。

やはりガラは、そしてMERRYは丸くなどなっていない。17年かかって磨き上げた牙を、そっと内に秘め、誰にも負けない戦いに備えているのだ。

MERRY 撮影=中村卓

MERRY 撮影=中村卓

「sheeple」はMERRYの新しいテーマ。いままで社会や世界に向けて発散してきたMERRYであったが、この先は、もう少し内に秘めたパワーというか怒りテーマを歌っていきたいのだという。

この曲の歌詞は、17年間MERRYの歌詞のすべてを担ってきたガラではなく、結生が初めて手掛けるという、“まだまだやったことのないMERRY”なのだ。

これからのMERRYの道標となる曲、「sheeple」——。

それは、重なり合う4つの音が激しくスピーディにぶつかり合いながら突進む力強いサウンドと、結生らしい言葉ながらも、そこにガラが培ってきたMERRYが滲む新たなMERRYだ。そんな新たなMERRYに、オーディエンスは高く手を掲げて応えた。

人間は羊飼いと羊の関係の様に社会に飼われている存在。そんな現代社会を集約した「sheeple」は、この先のMERRYの第一歩だ。

「17年バンドやって来て、いいことも悪いことも悔しい想いもいっぱいしたけど、いまだにこうしてみんなが来てくれて、一緒にライヴが出来て、今日、唄っていて、信じるものは自分とみんなだなと思いました。俺は今日からまた自信を持って唄えるので、どうぞ期待して下さい」(ガラ)

素晴しく確固たるMERRYを魅せつけた『MERRY Autumn Tour 2018 「哀愁のダンスホール[羊想]異形 tiki」 ~帝都、華散る~』は、新たなるMERRYの提示であったと確信した夜となった。

12月24日には先日の恵比寿LIQUIDROOMで会場限定販売された最新音源「sheeple」の全世界配信を予定。そして、2019年、年始には『Free-WiLL SLUM DAY-1』に出演することも決定している。

取材・文=武市尚子 撮影=中村卓

 

そらる×まふまふ×うらたぬき×あほの坂田 年越し&新年ライブの開催を発表

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そらる、まふまふ、うらたぬき、あほの坂田のユニット“そらまふうらさか”による年越し&新年ライブの開催が決定した。

『そらまふうらさかのふゆやすみ!~年越し忘年会~』と題した年越しライブは12月31日(月)にTOKYO DOME CITY HALLにて、『そらまふうらさかのふゆやすみ!~明けまして新年会~』と題された1月20日(日)に横浜アリーナにて開催される。また、チケットの受付もあわせてスタートしている。

そらまふうらさか

そらまふうらさか

そして、そらまふうらさかによる新曲「エフピーエス」の動画も本日18時に公開されているので、こちらもあわせてチェックしてみてはいかがだろうか。


さかいゆう 連続配信第3弾はファン待望の極上バラード「You’re Something」

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さかいゆうのデビュー10年目を記念した3ヶ月連配信リリースの第3弾が、12月6日より配信されることが決定した。

連続配信の第1弾は、フレンズのおかもとえみと共作したアッパーソング「確信MAYBE feat.おかもとえみ(フレンズ)」。第2弾は、ニューヨークで活躍中のジャズミュージシャン・黒田卓也が参加した「Brooklyn Sky feat. 黒田卓也」。そして第3弾は、ライブでもすでに披露している楽曲で、ファンの中では早くも名曲と名高い「You’re Something」(ユー・アー・サムシング)。

さかいゆうが作詞作曲を手がけた今作「You’re Something」は、生きぬくことの意味、大切さを訴えかけるように描いた歌詞と、さかいゆうの優しく添い遂げるような歌声が重なった極上バラードとなっている。

なお、配信開始日には、Spotifyユーザー限定のイベントを行うことも決定。こちらはすでに配信されている「Brooklyn Sky」をSpotifyから #ブルックリンスカイ を付けてTwitterでシェアし、@SpotifyJPをフォローすることで応募ができる。詳細はオフィシャルサイトにて確認を。

■さかいゆう コメント
曲を書くとき、自分の外側から聴こえる音と、自分の内側から聴こえてくる音があるけど、この曲は後者でした。
具体的に言うと、Maybe someday wow wowという、言葉と音が自分の中から聴こえて来て、その時最初に感じたのは「ん?たぶんいつの日か、なんなんだよ?好きな音楽をできてこんな安全ないい国に住み、あとは何を望む?」って事。
自分にも、日々無意識に蓋をしている苦しみやもどかしさがあるのか?なんて、今朝見た夢を思い出しながらする「セルフ夢占い」さながら、「歌占い」でした。
僕の心の叫びの一瞬を切り取ったような曲ですが、聴いていただく貴方にも通ずるSOMETHINGがあれば、僕は嬉しいです。

SUPER BEAVERがキュレーター『Bowline 2018』ーBRAHMAN、NakamuraEmi、bacho ーー徹底的に現場至上主義な大阪公演

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『Bowline 2018』 curated by SUPER BEAVER & TOWER RECORDS@2018.11.12(MON)大阪・なんばHatch

タワーレコードが主催するライブイベント『Bowline 2018』 curated by SUPER BEAVER & TOWER RECORDSが11月12日、大阪・なんばHatchにて開催された。『Bowline』は、毎回1組のアーティストがキュレーターとなり、テーマの設定や出演者のブッキングなどを行うが、今年はSUPER BEAVERがそのキュレーターを担当。「現場至上主義」をテーマに掲げ、初日の大阪公演にはSUPER BEAVER 、BRAHMAN、NakamuraEmi、bachoの4組が出演した。

bacho

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「SUPER BEAVER、俺たちを呼んでくれてありがとう!」(北畑・Vo&Gt、以下同)と今年の『Bowline』の開幕を担ったのは、姫路発のエモーショナルロックバンド、bacho。1曲目の「これでいいのだ」からザラついたバンドサウンドを響かせ、沸々とたぎるような熱いメッセージがなんばHatchに突き刺さる。派手な演出も、きらびやかな照明も何もない。『Bowline』の漆黒のバックドロップを背に、ステージ上の4人が己の音を鳴らすだけ。たった「それだけ」がこんなにも胸を揺さぶるのは、このバンドがこのステージに立つまでにかけた決して短くはない時間が、問答無用に音に宿っているからだろう。「僕が今日なんばHatchで目指す、奇跡の萌芽」とずっしりと重たいビートを鳴らした「萌芽」に続き、「自分の終わりは自分で決めるんだ」と歌い上げた「ビコーズ」ではたまらずダイバーも発生。満場のフロアから次々と拳が突き上がる。

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そんな客席から思わず上がった「bacho最高!」の声に、「俺も最高やと信じてるからここまでやり続けて、これからもやり続ける」と返す北畑。MCではなんばHatchでのライブが初めてだったため道に迷ったことや(笑)、楽屋に着くなりBRAHMANのTOSHI-LOW(Vo)からの愛あるいじりに触れ、「でも、引き立て役が勝つときもある」と言ってのけたラリーはもう最高!

一転、「夢破れて」ではなんばHatchがその言葉の1つ1つにグッと聴き入る静寂が生まれる。男の誇りも、弱さも、意地も、後悔も、喜怒哀楽の全てを刻み付けたbachoの音楽。なぜSUPER BEAVERがbachoをここに呼んだのか。その意味は語らずともオーディエンスに伝わっていることだろう。

bacho

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「またカッコいい曲を書いていくんで、よかったらみんなの好きな音楽の1つに加えてほしい。俺たちは音楽をやるので精一杯だから……それぞれの生活を頑張って、またライブハウスで再会しましょう」(北畑)

bacho

bacho

そう語り歌い出した「決意の歌」には、またも魂を鼓舞される。メッセージとメロディがあれば、こんなにも人の心を突き動かすことができるのか。いつだって聴く者のそばにいて、どん底からでも空を見上げるようなbachoの音楽、広いなんばHatchの一番後ろまでまじりっけなしに届くその言霊は、どんなにデカいステージにだって通用することを、目の前でまざまざと証明してくれてる。ラストの「NENASHIGUSA」では、オーディエンスと共に歌う絶景を作り上げ、現場を愛し現場に愛された4人の男たちは、大きな感動と衝撃を残してステージを後にした。

bacho

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二番手は、猛者揃いのこの日にあって唯一のシンガーソングライターとなった、NakamuraEmi。まず1曲目は、「20代のときにいろんな職業の人たちに出会って生まれた曲」と「YAMABIKO」を。自らの名を世に知らしめるきっかけとなったこの曲を、真っ赤なニットにキャップ姿というキュートな佇まいで、大きなステージを横断しながら堂々と歌い上げる。普段はアコースティックギター/プロデューサーのカワムラヒロシとのデュオ形態でライブをすることが多い彼女だが、この日はSUPER BEAVERのたっての希望で鉄壁のバンドセットで挑む。そんな頼もしいサウンドに支えられ、「何かあるとすぐ人のせいにしたり、環境のせいにしたり、SNSのせいにしたり、そんなダサい自分に書いた曲です」とブチ上げた「かかってこいよ」でも、独特の視点で描かれる言葉の弾丸をフロアに撃ち込み、しょっぱなからキラーチューン2連発でオーディエンスをフックアップする。

NakamuraEmi

NakamuraEmi

MCでは、「bacho、BRAHMAN、SUPER BEAVER……そこに名前を並べたときの胸のざわつきがピークで、もうダメかもしれない(笑)。今日は日本が誇るバンドが揃った、ダイブが起こるようなステージに初めて立つんですけど、本当に呼んでくれてありがとう!」と緊張しっぱなしだったという心境を述べると共に、SUPER BEAVERとは長年レコーディング・エンジニアが同じであることや、柳沢(Gt)とはサバイバルゲームで撃ち合っていた仲だったという接点を伝えるなど(笑)、この日に呼ばれた理由を丁寧に紐解いていく。

NakamuraEmi

NakamuraEmi

ここで、「すごく久しぶりに歌います」と、彼女がかつて幼稚園の先生だった頃、子供たちを見て、見られて、感じたことをしたためた「プレゼント~繋ぐ~」を。ひと足早いクリスマスソングであると同時に、大人社会への彼女なりの警鐘を忍ばせたこの曲の世界観には、じわじわ引き込まれる。「携帯もパソコンも手放せない毎日に、こうやってYouTubeじゃなくて直接ライブを観に来てくれて、目と耳で感じてくれる皆さんに、そういう大人でいたいなと書いた曲です」。カワムラのつま弾くギターと彼女の言葉だけが響くなんばHatchで、「新聞」の優しいメッセージが胸に染みわたる。そこにゆっくりとSOKUSAI(Ba)とTOMO KANNO(Dr)のビートが溶け合っていく様も心地よく、緩急自在に楽曲を届ける彼女のソングライティングの妙には、改めて感心させられる。

NakamuraEmi

NakamuraEmi

「自分がデビューしてもうすぐ3年になります。30を過ぎて、音楽でやっていこうなんて1ミリも思ってなかったんですけど、竹原ピストルさんのライブを観たときに、自分の人生は変わりました。竹原さんに出会ってできた曲です」。そうやって披露した新曲「痛ぇ」を息を呑みキャッチするオーディエンス。彼女が曲前にジャストなセンテンスで誘うことがこの日のライブでも抜群に機能していて、初見のオーディエンスも楽曲の持つ景色がまるでフラッシュバックするような想いだったのではないだろうか。

「『Bowline』ってロープの結び目のことで、その中でも一番堅い結び方らしくて。今日はアーティストもお客さんもギュッと結ばれた一日です。最後まで楽しんでください。またいろんな形で皆さんに会えるように頑張ります。最後に、私が仕事をしていたとき、少しでも笑った方が職場がいい雰囲気になって。皆さんの笑顔はすごい力を持っているという曲を歌います」。

NakamuraEmi

NakamuraEmi

ラストに放った「モチベーション」まで全6曲。言葉とグルーヴで己の音楽の真髄をしっかりと届け続けた、NakamuraEmiの充実のステージだった。

BRAHMAN

BRAHMAN

暗闇の中、メンバーが1人1人とステージへと現れ、KOHKI(Gt)が奏でるイントロに呼び寄せられるようにTOSHI-LOWがゆっくりと登場。切々と言葉を重ねる「FOR ONE’S LIFE」の「静」から、「ライブハウスのステージも、客席も、学校も、職場も、全てが現場。いただいた現場で、全力でBRAHMAN始めます!」(TOSHI-LOW、以下同)と沸点到達の「動」へ。「賽の河原」「SEE OFF」「DEEP」と、殺す気かと言わんばかりのアンセムでたたみかけ、瞬時になんばHatchは音と魂がぶつかり合う戦場に。その後も一切を手を緩めることなく、スカのビートで扇動する「GREAT HELP」、そして「警醒」ではTOSHI-LOWがフロアの大海原へと飛び込み、途切れぬダイバーをかいくぐりながら「鼎の問」をオーディエンスと共に熱唱。その姿は何とも神々しく、人の渦の上に立ちながらTOSHI-LOWはこう続ける。

BRAHMAN

BRAHMAN

「今や現場はライブハウスや家庭だけじゃなく、あちこちに増えちまったんだけれども、東北や熊本だけじゃなくて、今年は西日本にたくさんの現場ができちまった。さぁ現場至上主義の皆さん、お近くに現場があります。まだ土の中に埋まった家があります。何をしようか、この歌を歌って考えてください」

BRAHMAN

BRAHMAN

この夏の西日本豪雨を思い捧げた、名曲「満月の夕」。阪神大震災を機に生まれたこの曲を、数え切れない現場で歌い継いできたBRAHMANは、途中アカペラでも歌い上げ、なんばHatchに集った現場至上主義の同志と共に大合唱する。だが、やっぱりBRAHMANは今日も超えてきた。

BRAHMAN

BRAHMAN

「卑怯だ。あのにっくき黄色と赤のCD屋(笑)、タワーレコードをバックにつけて、やりたい放題やってるキュレーター。卑怯だ。前の世紀からやってる、時代遅れの俺たちみたいなかよわいおっさんを(笑)、今イケイケのバンドが見せ付けるようにこれからライブをする。そんな卑怯なキュレーターから、リクエストが来ました。1曲だけ「あれ、その曲をリクエストすんの?」みたいな曲があって、分かりやすい曲でもなければ、みんなに頑張れとか、勇気を分け与える曲でもない。その曲を何で選んだんだろうと思って、当時その曲を作った背景を自分でも考えたのさ。10何年か前、同世代のバンドはどんどん辞めていって、自分たちの時代が終わりを迎えていく。そんな中でいつか俺たちも、まっすぐまっすぐ進んで、そのまま穴に落ちるように死んでけばいいと思ってた。だけど、そうじゃなかった。少しでも進もう。どんな恥をかいても進もう。それを選んだ。それまでは、コンクリートみてぇに硬くなって、ぶっ壊れないようにすることが、強くなることだと思ってた。でも、そこから変わったのさ。どんなに風に吹かれても、右に揺れ、左に揺れ、倒れない草木のように、たおやかに。それがホントの強さなんだ。ブレないことが強さじゃない。ブレてもいいから立ち上がる。倒れてもいいからもう一度立ち上がる。そんな願いを込めながら書いた曲をキュレーターが選んだってことは、バンド人生の中でどんなことがあったかが、すぐに分かる。bachoも、NakamuraEmiも、順風満帆では来てない。そりゃまっすぐ来たかったさ。でも、まっすぐ来なかったから、今日ここに俺たちの現場がある。現場至上主義っていうのは、強いヤツが現場でイバることじゃない。現場を捨てなかったアーティストが持つ、優しい強さなんだって、今日は教わりました。どうも呼んでくれてありがとう。そんな歌になったら嬉しいな」

BRAHMAN

BRAHMAN

心を貫くような「Oneness」は、オーディエンスはもちろん、ステージ袖にいる出演者やスタッフ、なんばHatchに集った全ての現場至上主義者たちに降り注ぐ。そしてラストは、「真善美」。最後の最後に「さあ幕が開くとは 終わりが来ることだ 一度きりの意味を お前が問う番だ」を言い放ち、暗転と共に凄まじい余韻と強烈なメッセージを残したBRAHMAN。今日もBRAHMANは最強で最高だった。そして、自らが選んだbacho、NakamuraEmi、BRAHMANの名演により、これ以上ないくらいハードルを上げ切ったSUPER BEAVERの運命、これいかに。

SUPER BEAVER

SUPER BEAVER

おなじみのCap'n Jazzの「TOKYO」のSEとオレンジ色の光に照らされながら、ついに現れた本日の真打。「キュレーターを務めます、卑怯者のSUPER BEAVERです(笑)。今日はよろしくお願いします!」(渋谷、以下同)。BRAHMANのバトンを受けたそんな挨拶と共に、「27」で幕を開けたSUPER BEAVERのライブ。自らが選んだ強力な3組の後、気合が入るしかないだろうというステージで、「現場至上主義へようこそ! 俺たちがカッコいいと思うバンドだけ呼ばせてもらいました!!」と「歓びの明日に」を投下。TOSHI-LOWが代弁したように、彼らとてこのなんばHatchに容易にたどり着いたわけではない。彼らが絶体絶命の窮地から這い上がっていく過程で生まれたそんな1曲を、オーディエンスと全力で作り上げていくSUPER BEAVER。

SUPER BEAVER

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そして、「現場至上主義、どう? いいだろ!? 現場至上主義は、自分の目で観たものだけが、自分の耳で聴いたものだけが、自分の心が動いたものだけが本物だっていう、俺たちの意志表示」と語った後は、bacho、NakamuraEmi、BRAHMANとの出会いと感謝を、ステージ袖にいるであろう3組を見つめながら告げる渋谷。

SUPER BEAVER

SUPER BEAVER

「おしなべて3組全力のステージ。あと、知恵を貸してくれた黄色と赤のレコード屋さん(笑)、こんな素敵なイベントをやらせてもらってどうもありがとうございます! 何よりも来てくれたあなたに、めちゃくちゃ大感謝でございます。何かが起きる気がするんだ、何かが変わる気がするんだ。先輩からいただいたバトンではございますけども、俺たちの記憶しか残らないぐらい塗り替えていくんで!」

SUPER BEAVER

SUPER BEAVER

超満員の会場で拳と声が上がる光景からも、SUPER BEAVERがいかに待ち望まれていたかが如実に分かる。とは言え、そんな追い風ムードに甘んじる気などさらさらない4人は、今年も全国各地で鍛え上げたストロングなビートで圧倒する「うるさい」「閃光」をトップギアでたたみかけ、クラップに乗って始まった「美しい日」では、ハネるオーディエンスになんばHatchが揺れる揺れる! シンガロング巻き起こる「青い春」といい、最高を更新していく様には希望しかない。それはこの日出演した全てのアーティストの共通項でもあり、インスタントに消費されるようなやわな表現ではなく、年齢やキャリアを重ねても経験を血肉に変えて前進する凄みがここにはあった。

SUPER BEAVER

SUPER BEAVER

「図らずとも、力んだ(笑)。今日はすごく楽しかったです。それは大好きな先輩たちとステージに立ててるのもあるし、1日ずっとライブを観てて、あなたが楽しそうだったから。こういう日を作れて、最後にバシッとあなたの前で歌うことができて、めちゃくちゃ嬉しいです。bacho、NakamuraEmi、BRAHMAN、タワーレコード並びに、今日真剣に音楽と向き合ってくれたあなた。そして、我々SUPER BEAVERに大きな拍手をお願いします!」

SUPER BEAVER

SUPER BEAVER

いつまでも鳴り止まない拍手に、思わず「できてよかったー! やったったぞ!!」と笑みがこぼれる渋谷が、こう続ける。「日々の生活、あなたが当たり前だと思ってることに目を向けたとき、どの日も、いつでも、誰かの特別と、誰かの想いの上に成り立ってるのを知るんです。それが今日はこうやっていい空気になって表れた、素敵な1日でした。こういう歌を、こういう日に、あなたの前で歌えることに誇りを持って」と、最後に生声でフロアに想いを伝えた後は、「ありがとう」を。何度も歌われてきたであろう名曲が、音楽は時を超えていくという綺麗事を目の前で現実にしてくれる。「最後に本当のコール&レスポンスを、あなただけのレスポンスをよろしくお願いします!」。このMC1つでコール&レスポンスという集団行動を、1対1の土俵まで鮮やかに持っていくSUPER BEAVER。大きくハネ上がったレスポンスに包まれた「秘密」を終えたとき、「素晴らしい時間を、あなたと共に過ごせて嬉しかったです」と渋谷が残した言葉は、まさにオーディエンスの気持ちそのものだったのではないだろうか。

アンコールでは、「もう一度俺たちの大好きな先輩に拍手をお願いします! バチッと気合の入った1曲、最後にやってもいいですか?」と、渋谷がステージを駆け降りオーディエンスのもとで「証明」を完遂! 最近はフェスやイベント出演、ワンマンツアーが多かったビーバーにとっても、自らが責任をもってキュレーションする宴は、大きな財産になったことだろう。

SUPER BEAVER

SUPER BEAVER

こんな激アツな一夜を経て、残す東京編は11月17日(土)東京・新木場STUDIO COASTにて開催。出演は、Azami、eastern youth、錯乱前戦、spike shoesに加え、澁谷逆太郎をオープニングアクトに招いて行われる。

取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=青木カズロー

大黒摩季 元プリプリ&WANDSメンバーも参加した8年ぶりアルバム『MUSIC MUSCLE』から「LOVE MUSCLE」MV公開、前作からの伏線も!?

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大黒摩季の8年ぶりとなるオリジナルアルバム『MUSIC MUSCLE』(12月5日発売)から、表題曲「LOVE MUSCLE」のミュージックビデオが公開された。

前シングル「Lie, Lie, Lie,」同様に、ドラマシーンと大黒摩季の歌唱シーンの2つの軸から構成されており、今作で特に目を引くのはバンドを従えての歌唱シーン。ツイン・ベースで演奏するのは、アレンジを務めているdoaの徳永暁人とプリンセス プリンセスのベース・渡辺敦子。ドラムにも、プリンセス プリンセスの富田京子が出演している。そしてギターに柴崎浩、キーボードに大島こうすけという、元WANDSのメンバーも大黒摩季のために集結。

「LOVE MUSCLE」は、実際にこのメンバーでレコーディングされており、その時にミュージックビデオも撮ろうと盛り上がったことから今回の共演が実現したという。演奏シーンでは、曲名の通り、パワフルかつマッスルなパフォーマンスが繰り広げられている。関係者いわく「キメで入ってくるポースは愛嬌!」とのこと。

そしてドラマシーンのテーマは“純愛”とのことで、中学生の男の子・マコトが年上の女子高生に抱く想いを元に展開される。

なお、「LOVE MUSCLE」のミュージックビデオのストーリーは前作「Lie, Lie, Lie,」のミュージックビデオへと繋がっていくというオチになっているという。

「Lie, Lie, Lie,」にも登場する“CLUB MAKI”の摩季ママとマコトの関係など、「Lie, Lie, Lie,」のミュージックビデオをすでにチェックしている人には特に気になる展開だが、その全貌はアルバム『MUSIC MUSCLE』のBIG盤のDVDを見てのお楽しみ。

 

ラーメンオタク“ラオタ”のシド Shinji、料理番組第4回は「二郎風豚骨醤油ラーメン」レシピ

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シドのShinji(Gt)のラーメン料理番組『シド Shinjiの今日何ラーメンにする?』の第4回が、11月23日(金・祝) 17:00~配信、「二郎風豚骨醤油ラーメン」のレシピを公開することが決定した。

スープや麺から自作するほどの“ラオタ”(ラーメンオタク)として、『有吉反省会』や『ラーメン店 軒先の明と暗~孤高のラヲタ!旬の一杯決定戦~』などのテレビ番組にも出演し、Twitterのトレンドに入るなど話題を集めているShinji。年間400杯以上のラーメンを200万円以上つぎ込んで食べ歩き、さらに自前の製麺機で麺を自作するなど、全て一から作ってしまうほど大のラーメン好きのShinjiのレギュラー番組がcookpadのクッキングLIVEアプリ「cookpadTV」にて配信中の『シド Shinjiの今日何ラーメンにする?』だ。

その第4回の生放送では、番組MCにムートン伊藤を迎え、「二郎風豚骨醤油ラーメン」のレシピを公開。スープもチャーシューも煮込まずにできる作り方をポイントごとに紹介し、番組を視聴しながらユーザーと一緒に作れる内容とのこと。番組では Shinjiへの質問も受け付けている。

SHE’Sの2019年ツアー対バン相手にフレンズ、SIX LOUNGE、Saucy Dog

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SHE’Sの2019年2月からはじまる全国ツアー『SHE’S Tour 2019』の対バン相手として、福島にはフレンズ、京都はSIX LOUNGE、香川はSaucy Dogが、それぞれ登場する。

これは、本日11月16日(金)に開催された『SHE’S Autumn Tour 2018 “The One”』の初日公演において発表されたもの。なお、残る静岡公演の対バン相手は後日発表される。チケットのプレイガイド先行もスタートしているので、チェックをお忘れなく。

フレンズ

フレンズ

SIX LOUNGE

SIX LOUNGE

Saucy Dog

Saucy Dog

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